イベントの境目
これまでオンラインイベントについていろいろと書いてきました。2020年2月からはじまったコロナ過。ほとんどのひとが想像できなかったコロナウィルスによるパンデミック。それにより外出が制限された。空気感染をして命の危険があるウィルスのためにどういう対策をしたらいいのか。そしていつまでがまんしなければいけないのか。
アメリカは自然免疫をつける方策をとった。自然免疫とは感染をして体内で免疫をつくる。人間の身体が外の敵に対して体内で戦わせることによって免疫力をつけるというものだ。それにより多くの死者がでた。日本はワクチン免疫という方針をとった。死者の数は少なかった。しかし4回のワクチン接種で副作用に苦しみ、症状が重くなった人も出た。
どちらの方法をとったにしても外出は制限された。それにより仕事はリモートでやることになったところが多い。その期間は4年といわれた。すでに4年と半年が経過している。どこでもマスクは外しており、すでに感染の恐れは遠のいたようである。そうなると仕事をリモートでしているというところはないでろう。
4年間仕事をするのがやっとだった。ところがひとはいろいろと好きなことをやりたがる。そこで暇な時間を見つけて学習をしたいというひとがいた。そうしてイベントに集まってくる。中にはまともそうな案内があって、それなりのことを学習できるのではないかと思わせるイベントがあった。実際、参加してみるとときどきなるほどという気づきはあった。しかし期待とは程遠く多くのものが失われる。ではそういった学習イベントのどこがいけないのだろうか。
ここでは4年間いろいろな学習系イベントに参加した振り返りをしてみます。イベントはZoomを使って行われ、ほとんどが無料でした。開始時間、開始時の状態、そして参加人数という指標で良いか悪いかの境目を見てみましょう。
まず開始時間があります。さて社会人の学習ですから当然週末にイベントが開催されます。土曜日は完全休養日ということもありましょう。そういうわけで毎週1回、あるいは毎月1回開催されました。そして曜日は日曜日というのがほとんどです。学習系で土曜日に開催というのはなかなかない。というのは主催者が忙しいサラリーマンである場合が多いからです。
そうなると日曜日に行われる。その開始時間です。普通は朝の時間帯を使う。しかも通常は朝の早い時間帯を使って行われるはずです。学習系のイベントは読書会が多く、課題図書が指定されています。あるいは著名な雑誌を使う場合もあります。雑誌であれば一度決めたものを固定する。課題図書であれば運営側が厳選をして指定をして読了を案内でお願いしています。
その課題図書、指定雑誌はまともなものが多い。ただ問題は開始時間です。どんなに遅くても朝8時までにはじめるのがよい。特に夏場では7時でもいいでしょう。6時というのは早すぎますが、朝ごはんの前1時間くらいの読書会ではその時間でもありえます。
千葉県我孫子市である年配の人が孫氏の兵法という本を読もうということで読書会を主催したそうです。その開始時間は朝6時。だれも参加しないのではないかと思ったところ、結構な人が集まったそうです。
そうなると7時から朝ごはんと食べたとしてどんなに遅くても朝8時から開始したほうがいいでしょう。1時間の読書会であれ、2時間の読書会であれ、イベントが終了したことには10時になっています。朝の時間は貴重であり10時までになにかを学びたいということはあるでしょう。9時に終わるという読書会であればなおいいでしょう。
遅くとも8時に始まり、10時には終わる。そんな読書会がいいでしょう。だらだらとながくやっても効果はありません。朝の9時以降に始まる読書会というのはまともなものが多くないと言えるでしょう。
次に開始時間の参加者の状態です。9時であれ、10時であれ、日曜日にイベントは開催されます。土曜日というのは先ほども言いました。休む曜日であるため開催されることはありません。そんなイベントがスタートする時の状態です。遅刻が多いイベントはまともではないといえるでしょう。少なくとも開始5分前には全員がそろっていなければいけない。そうでないと開始が遅れてやがてスタートが5分遅れ、10分遅れます。
そうなると新しく入ってきた参加者のために読書会の注意事項を説明する。それを毎回するために5分間ロスします。これはロスとわかっていてもしなければならない。というのはルール違反、マナー違反をするひとが必ずいるからです。好き勝手にやりたい放題でイベントを荒らすひとも出てきます。ソーシャルメディアを使ってSNSの雰囲気に慣れてしまっているためにマナー違反をしてもだれもとがめません。迷惑になっていても主催者が厳しく注意をしない。
そうなると主催者自身がだらけて案内通りにやらなくなります。中には主催者が課題図書を読んできていないと平然とイベント内で発言する。あるいは参加者にもそういうことを隠している人が出る。読んできていない読書会がまかりとおる。そしてルール違反をして反則をするようなひとたちが増えてきます。こういうのは学習効果がない読書会といえるでしょう。
遅刻者がいるような読書会はまともには機能していないといえます。
日曜日の開始時間が遅い。遅刻者がいる。それに加えて悪い読書会というのは参加者1%というものです。なんの1%かというとグループに入会している人の数、あるいはメーリングリストに登録されている人の数。その数に対して1%の人が集まってくるのか。そして定期的に例えば3年くらいで新しいメンバーが入ってきて出ていくかというものです。
ほとんどの成功しているイベントは3年くらいで入れ替わる。主催者が管理事務を交代する人を見つけてくる。固定で定期的に来る人達というのは主催者かあるいはファシリテーターの人たちです。その人たち以外に読書会が好きで定期的に参加してくる人がいる。3年以上毎回のように参加するひとたちというのは固定メンバーでしょう。
ところがそういったひとたちがいるとはいえ1000人の登録メンバーがいたとします。そしてイベントに何人集まってくるか。1000人の1%は10人です。10人は集まってこなければいけないでしょう。そのうち1人はホスト役。他の2人はファシリテーター役をする。そういった構成でしょう。これが毎回固定されているとなると読書会としてはよくない。どちらかというと趣味の読書会になってしまって学びがそれほど多くない。
登録しているひとたちもそれなりのひとがいるはずです。大学院を卒業したひともいることでしょう。しかしそういったひとたちが来ないイベントになってしまう。例えばマッキンゼー、ハーバード・ビジネス・スクール、イギリスの雑誌The Economistといった好奇心が強く、向上心の高い人たちが読む定期刊行物や雑誌を読む読書会がある。そういったところを意識したひとがはじめた読書会というのは本気で始めたものが多いのです。
それにこれらの書籍を発行しているところは問題意識が高い。その意識がむけらているところは人工知能、気候変動、そして人権問題といった簡単には解くことができない難題に取り組む人が多い。
にもかかわらず1%以下しかこないというのはどこかおかしい。おかしなことが起きているとしか考えられない。事件や事故が起きてしまっている。悪ふざけや悪質ないたずらが発生している。向上心の高い人や立派な経歴を持った人というのはそういうところを敏感に察知します。なので切磋琢磨できない場所であるとわかると参加してこないのです。
かなり長く続けていればそれなりの効果もあるのかもしれません。しかし時間に追われているような向上心の高い人がロスが多いようなところには参加しません。わざわざ参加しようとも考えないでしょう。
まとめるとこういえます。
朝8時までに開始する。遅刻者を許さない。そして3年続けて登録者の1%以下しか参加してこないのであれば読書会として失敗。そんなことが境目でしょう。
コロナによりZoomによるイベントは増えました。しかしコロナは終わった。対面の方がはるかにコミュニケーションとしてはいいに決まっている。リモート会議にしたままというのはおかしい。対面で読書会後に昼食をとる。そうやってイベント内での誤解を解いていく。そんなことが必要でしょう。そうでないと単なるエンタメになってしまい学習効果はないでしょう。
対面にもどすべきでしょう。