うまくいかない職探し

35年間にも及ぶ継続的な職探しをする人は少ないだろう。わたしはその少ない人の一人なのかもしれない。最初に偶然にも就職できた外資系の銀行からはじまり、終着点は大学で教えることだった。それでも一貫してやったことは職探しをやめないことだった。やめたのは最近になってからだ。年金生活に入ったことがきかっけだった。

退職後にある時間を使って大学生に向けて書いている。ここの大学の誰々ということを特定せずに書いているつもり。ただどちらかというと経済学部を卒業して銀行かコンサルティングをしたい人向けかと思う。

大学生の読者にとっては就職活動はやりながら進んでいく。振り返ることはなかろう。そこでわたしの職探しがなんらかの参考になるのかもしれない。結論からいうと大学を卒業をして最初に就職した先がキャリアを決める。転職というのはそれほどうまくはいかない。わたしは転職で1回しか成功していない。

わたしがどういう方法で職探しをしたのかを書いてみたい。方法は知り合いの紹介を受けるもの、人材紹介会社から紹介されるもの、そしてメディアを使うものに分かれる。メディアというのはかつては新聞であった。しかしながらいまではインターネットも含めている。

わたしが職探しをして仕事が見つかったケースは11件ほどある。就職しなかったというのも含めての数だ。もちろん断られた数はそれより多い。職探しというのはそれほどうまくはいかない。時間だけが過ぎていく。なので最初に入った会社で転職活動をしないで65歳で定年退職するのが一番良い。ただしいまは必ずしもそんなことも言ってられないことは承知している。

11件のうち、人材紹介は3割、知り合いは3割、そしてメディアは5割という構成になっている。このことから何が言えるのか。


人材紹介会社


ひとつは人材紹介会社を使うのは40歳までということ。45歳では遅いだろう。紹介会社が相手にしてくれない。よほどの実績があるか、あるいは最初の転職である場合は別かもしれない。しかし40歳を超えて人材紹介会社は使わない方がいい。

なぜかというと紹介手数料がかかるためだ。雇う側の企業が紹介会社に30%を支払わなければならない。1000万円の年収で職を探している人を雇うことになったのならば300万円の紹介手数料が就職先のコストになる。相当な戦力にならなければ雇う会社にとってもよくない。慎重にならざるをえないだろう。

一方で若くて割安な人材は手数料を払ってでも採用するであろう。28歳から35歳までというのはよく働いてくれる年齢だからだ。わたしは40歳を超えてからは人材紹介会社に登録することはしなかった。紹介会社は若い時にしか使えない。

知り合い


この知り合いの紹介で就職するというのはうまくいく。どうしてかというとお金儲け目的の仲介業者ではなく、中間に入って相手先の内部事情を話してくれる。しかも君にはここが向いているのではないかという配慮がある場合がある。それが当たるわけでもないけどはずれも少ない。

35歳を過ぎてからは知り合いの紹介なら少し考えてもいいだろう。わたしの場合は知り合いの紹介で職探しができたことがある。ただし35歳以上になってからだった。良いところ、悪いところをバランスよく話してくれる。誰でも35歳を過ぎて職探しで失敗をしたくないでろう。

メディア


さて一番うまいくかないのはメディアによる職探しというもの。私の場合は5件ある。就職はしなかったところもある。ただし就職したところでよかったというわけではない。新聞広告やネット広告で就職したところはことごとく長く勤務していない。4年以下のところばかりである。その理由は何か。

ひとつにはそれだけ辞めていく人が多い会社ということが言える。常に人材募集をしているという会社はよくない。

次に面接が2回だけというものだ。1回目は一般的な面接で人事が行う。2回目は採用部門の責任者が出てくる。3回やるところはほとんどない。ないということは細かいところまではつめない。一般募集に近い。というよりは欠員補充である。とにかくやれるだけやってもらい、役に立たないとならば放り出すようなところもあった。

まとめ


知り合いの紹介はうまくいくケースが多い。ただしこれは年齢が高くなった場合のみである。次にメディアを使った職探しはうまくいかない可能性が高い。そして人材紹介会社を使うのは40歳までということ。

35年間というのがたまたま失われた30年という時期と重なったこともあろう。しかし職探しというのはうまくはいかない。転職はできればしないほうがいい。時間を有効に使うためには最初に探したところでずっと勤め上げるのがいいだろう。

都内の大学生はどのように職探しをしたらいいだろうか。知り合いといっても大学の先輩になるだろう。ゼミの先生というのはそれほどはない。文系の場合はもうないだろう。理系は残っているのかもしれない。メディアは使うことはない。転職活動ではないから。人材紹介会社も使わない。中途採用ではないためである。