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お勧めのポットキャスト
2007年に画期的な発表があった。ところはカルフォルニア州シリコンバレー。発表のために満員の会場に登壇したのはあのスティーブ・ジョブズだった。ジョブズはこれまで3つ分けられていた機能をまとめて製品として発表した。メール、電話、そしてウェブ閲覧。それらをまとめてあのiPhoneが発表されると市場では瞬く間に広がった。多くの人が買い求め、いまでもその勢いは止まらないともいえる。
ジョブスのアップル社だけでなくアプリの開発者にとっても追い風となった。スマホを前提とした事業が席巻した。大きな影響をうけたひとつにフリマアプリと呼ばれるものがある。フリーマーケットアプリでインターネット上で手軽に取引ができる。その代表がメルカリである。
メルカリは日本初ではじめて1000億円という資金調達をした。いわゆるユニコーンである。iPhoneがなければメルカリはなかったであろう。スマホは多くの人がどこでもさわれるものとして数々の人気アプリを加速させた。その中で有名なのがYou Tube、TikTok、それらの代表する動画アプリである。わたしもときどき動画は見る。しかしながら意識して動画はあまり見ないようにしている。
ひとつはあまりによく出来すぎていて想像する余地を残さないこと。想像力が助成されない。次に動画を製作する側、いわゆる生産側になかなかなれない。なるには相当の努力が必要であること。動画をつくるのは簡単ではない。また、あまりにも下品なものがありすぎること。ほとんどが意味のないジョークであったり、くだらない情報であったりすること。それに一貫性がないため、ばらばらであり、いいものを探し当てるのに時間がかかりすぎてしまう。それでも探し当てればいい動画は少しはある。認めよう。
しかしながらわたしは普段はポットキャストを聞くようにしている。ポットキャストというのはいわゆるラジオのこと。iPhoneが発表される前にはiPodという製品がアップル社から販売されていた。このポットキャストは気軽に聞けること。動画と違って音だけのため、聞くことに集中できること。それは話すということにつながる。
よく聞ければ、よく話せる。話すために聞くということ。なにかの発表やディスカッションで話す側に立った時に役に立つであろう。それは動画では視覚に気がとれれすぎてできない。ある人によるとプレゼンテーションでは視覚による理解が6割も占めるという。
わたしは都内の大学生には動画サイトよりもポットキャストを聞くことを勧める。もちろんiPhoneを使って聞いてよい。このスマホは進化しすぎていて動画の出来やカメラの性能は一般のひとにはついていけなくなった。ではどんなポットキャストがいいか。
わたしのジャンルはビジネス、教養、ディベートといったもの。これから情報の活用を生業とするひとにはとっては間違いなく関心がわくという番組。それらを紹介してみる。
IdeaCast
まずポットキャストとしてよく聞いているのはIdeaCastという番組。これはボストンのハーバード・ビジネススクールを拠点としている。ここではHBRといってHarvard Business Reviewという隔月誌を出版している。学者や経営コンサルタントのプロモーションとして使われている。研究を一般人向けに紹介する。あるいはコンサルティング会社のプロジェクトをわかりやすく解説するものである。紹介や解説なので省いているところが多い。
ただ学者の学術論文は難解なため副読として記事にして紹介している。一般読者は読まないし、読めない。それに一般の誤解を避けて研究に打ち込む学者は寄稿しない。学会での一流のジャーナル紙で引用を稼ぐのか目的の研究者はHBRに記事にして載せない。あえて避けている。また忙しい若手の現役経営コンサルタントも記事にして紹介はしない。むしろ一般向けに個人あるいは所属する組織の宣伝としてHBRに載せている。それでも内容は難しい。
読んでもわからない。そこでジャーナリズムとして一般の人にもわかりやすく解説してくれるのがIdeaCastである。これは記事を読むよりもすんなりとはいっていく。記事をざっと読んでから聞くというのもいいだろう。ナレーターが専門家に向かって質問をし、専門家が解説をしてくれる。
わたしはこれまでDHBRを6年間読んできた。DHBRとはダイヤモンド社が発行をする日本語のハーバード・ビジネス・レビューだ。何度読んでもよく理解できなかった。日本語で書いてあるのによく理解できない。なんとうことだろうと落胆したこともあった。ところが英語のポットキャストを聞くとよく理解できたのである。
要点や論点といったものがわかりやすく解説されてある。そして英文で記事を読むとさらによくわかったのである。もともと英語で書かれたのだからそういえるだろう。日本語に訳してある方は難解だ。
番組のエビソードは回数を重ねて1000回発信されたという。このHBRによく取り上げられる分野で人材育成、組織開発、企業戦略といったものがある。関心がある人にはよい番組といえよう。動画は見ないほうがいい。
Knowlege Project
次にお勧めな番組としてはKnowlege Projectというのがある。これはわたしが英語の書き手が集まるプラットフォームのMediumというところでたまたま知った番組である。このProjectはカナダ人のShane Parrishという男性の番組である。ひとつのエピソードは1時間ほど。専門家との対話で1対1の形式をとる。これも良質の番組として紹介できる。
Parrishの柔らかいナレーションはみごとなものである。気が向いたときに聞くとよいだろう。どちらかというと朝聴くよりも、夜聞いた方がいい。寝る前の1時間、布団の中で目をつぶって聞いてみるといい。これは研究をしているひとや作家が出演する。そのひとたちがパリッシュに向かってわかりやすく説明してくれる。話題のテーマを見つけるにも役立つだろう。
この二つだけでも十分。ただときどき他のものに寄り道をしたくなる。それを続けて紹介しよう。
Google Talk とOpen to Debate
教養を高めるのと議論に適した番組を紹介しよう。Google TalkとOpen to Debateという番組だ。Google TalkというのはあのGoogle社内での講演記録である。Googleの社員がレクチャーを聞きに集まる。その様子を動画配信して、さらにはポットキャストにして配信している。ここには学者や作家といった登壇者が招かれている。
そのひとたちの研究や書籍が解説されてプロモーションとして使われている。この番組だけは動画と並行して見てもいいかもしれない。
Dainel Goldman、Robert Greenのエピソードは何度も繰り返し聴いてもあきない。よく考えられ、ためになるエピソードである。最後に紹介したいのはOpen to Debateという番組である。
これはわたしのようにディベートが好きなひとにとってはたまらない番組といえよう。特にテーマの決め方に迷ったときにはこの番組を参考にするのがいいだろう。やや抽象的すぎるという意見もあろうが出発点としてはよい。
というのはディベートというのは議論の出発点を間違えるととんでもないことになる。そういった痛い思いをしながらもディベートに慣れてくる。二項対立と両義性というところから学ぶことが多い。議論によって仮説を磨く。より深い論点設定ができよう。そうやって深化させて文章を書くのが学者や経営コンサルタントである。論証や問題解決をすることが彼らの仕事である。そこから顧客への行動とつながればたいしたものだ。
この他にもポットキャストはあるがあまり多くのものに寄り道をしないほうがいいだろう。平日は30分、土日祝は1時間。必ず聴くようにしている。この聞くことによって話すというのが補完されていく。動画よりもポットキャストの方がよい。動画は一般人には向かない。視聴をしてもつくれないからだ。時間があってスタジオを持っていれば別だろう。
スマホの使い方もひとによっていろいろであろう。ただジョブスがいったメール、電話、ウェブ閲覧。これらの機能をどれほど使っているだろうか。ほとんど使っていない。あれからそろそろ20年になる。
わたしはスマホでメールを見ない。電話もしない。ウェブサイトの閲覧はしない。集中がとぎれるからだ。ただポットキャストを聞くためだけに使っている。大学生にとっても動画よりラジオとしてのスマホがためになるだろう。