森川松洋さんと対談
森川松洋(もりかわまつひろ)
1977年12月5日生まれ
福岡県出身
俳優
全てのバカボンド座公演に出演
2017年 「子どもに見せてはいけない祭り」
2018年 engel fes参加作品「美しい国と親愛なる母」
2019年「劇トツ×20分」2019 「サランヘヨ 生命保険に加入セヨ♪」
2021年 タカキキカク「一人芝居其の五」「レスリング」
・主な外部出演
劇団ヒロシ軍「逃走から」(2018年)
大体2㎜「荷物はどこから来たのか 中身は何か あとどこへ置くのか」(2018年)
北九州芸術劇場+市民共同創作劇「北九州の記憶」(2018年)
宮崎県立芸術劇場プロデュース「新 かぼちゃといもがら物語」#3
『たのかんさあレンジャー』(2019年)
劇団きらら「気持ちいい穴の話」 (2019年)
block vol.6「カンパン」 (2019年)
北九州芸術劇場+市民共同創作劇「Re:北九州の記憶」(2019年)
「Re:北九州の記憶」関連企画 リーディング公演「春の夢みたい」(2020年)
「新 かぼちゃといもがら物語」#5『神舞の庭』(2020年)
北九州芸術劇場+市民共同創作劇「Re:北九州の記憶~番外編~」(2021年)
ゲキシビジョンvol.2『モネ、逆さまの睡蓮』(2021年)
「Re:北九州の記憶」(2022年)
大体2mm「水曜日の男」(2022年)
なんで俺なの?
荒木:いきなりの対談企画に参加していただき、ありがとうございます。
森川:なんで俺なの?(笑)
荒木:まっつんさんと喋ることなかなかないと思って。
森川:ないよ~!
荒木:2018年のまちドラ(※1)でヒロシ軍が出演した時にまっつさんに出てもらったじゃないですか。
(※1)まちドラ・・・毎年。三股町で行われる劇団こふく劇場の永山智行さんによる戯曲講座「せりふ書いてみる?」で生まれた短編作品を、リーディング作品として上演。公募で集まった町民チームが九州の実力派演出家とともにつくる3作品、九州屈指の劇団・ユニットが演じる3作品。奇跡のフェス。
森川:そうね。
荒木:つい最近かのように感じたんですけど、もう4年も前ですよ。
森川:そうやんね。
荒木:まちドラの時、何でまっつんさんをキャスティングしたか言いましたっけ?
森川:めちゃくちゃ言いよったやん(笑)
荒木:北九州のプロデュース公演のオーディションを俺もまっつんさんも受けてて、その時、俺はオーディション受けながら逆にオーディションをしてて、まっつんさんが良いなって思って声かけせていただいた。
森川:北九州のオーディションには落ちたけど、ヒロシ軍のオーディションには受かったっていう。
荒木:まちドラで出演してみて、印象に残ってることあります?
森川:あんまり稽古しなかった。
荒木:時間的にタイトでしたし、そん時って、こんな風にオンラインでやることとかなかったですしね。
森川:なかった。
荒木:だから、台本だけは渡しといて、本番2,3日前に全員、初めましての状態で、稽古して本番臨みました。
森川:でも、スムーズに進んだよね。演出がちゃんと頭の中でイメージしてること伝えてて、しっかりしてるなぁって。
荒木:まっつんさんとの共演は初めてだったけど、すごいやりとりが心地よかったです。なんか、めちゃくちゃ自然体で出来るところと誇張してるところを持ち合わせてますし、お互いに面白いと思ってる部分が同じかなって感じました。
森川:それは俺も思ってた。ヒロシ君もアメリカンコメディ好きやん?俺も好きやけん、フィーリングが合うのかもしれないね。
荒木:ああ、なるほど見てる作品は違えども…
森川:多分、好きなものは一緒みたいなね。
荒木:『逃走から』の最後のシーンで、まっつんさんが一言言って、僕がすごい間をとるシーンあるじゃないですか。あれに耐えれる役者って、まっつんさんくらいしか…(笑)普通の役者だったら「ちょっとごめん。あそこ、もうちょっと早く言ってくれないか」と言うところ、まっつんさんって、あと20~30秒、下手したら、1分でも待ってくれますよね。俺、それも込みで、なかなかいないなと思って。そういう役者さん。しかも、これって何が面白いのって言われたら説明出来ないじゃないですか(笑)
森川:出来ないね(笑)
荒木:その何秒までがオッケーで何秒までがアウトとかじゃなくて、なんか、その時その場の全体の空気で間が変わるというか・・・
森川:そうだね。
荒木:だから、あれでなんかすごくやりやすいなってのがあって。まっつんさんとは、また共演したいんですよね。
森川:ほんと、したいね。
荒木:嬉しいな。だから、なんかすごい楽しくやれました。
森川:うん。
荒木:でも、まちドラ以降、全然、共演の機会がなくて…
森川:そうよね。
荒木:コロナ禍になって、全然、北九州とかも行けなくなったじゃないですか。
森川:そうだね。
荒木:ただ僕、去年の12月にツキイチカウサ観に行ったんすよ。
森川:あ、観に来てくれて挨拶した!
荒木:ですです!それ以降、会えてないですね。
観た気分でいるけど
荒木:ヒロシ軍を初めて観た時とかって覚えてたりしますか?
森川:観た気分でいるけど、実際は全然観てない…みたいな。ヒロシ軍、北九州初めて来たのが劇トツで歌を歌ったのかな?
荒木:そうです。
森川:観たことないんだけど、その歌が結構、演劇界隈で流行って、人肉饅頭が(笑)
荒木:まっつんさん達の耳にまで届いたってことですか?(笑)
森川:うん。でも、その時の劇トツは…最下位だったんだよね?
荒木:ダントツ最下位でした(笑)
森川:でも、面白かった。最下位なのに人肉饅頭っていう歌が流行ったから。
荒木:なんか、ありがたいことに結構みんながCD買ってくれました。
森川:それで知ったんよ。ヒロシ軍て人たちがいるんだな~みたいな。そっから、色々なものにヒロシくん出てたイメージ。エゴナクとか。
荒木:出ました!エゴナク「ふくしゅうげき」初演。
森川:北九州、相当来てるイメージはあった。
荒木:2015年の劇トツ以降、毎年北九州来てました。九州ツアーも1回。エンゲルでやってますね。
森川:エンゲルで観た気がする!えっと、内容どんなんやったっけ?
荒木:オムニバス形式でコントやって、最後にチキンを一生懸命作る『まみれまみれ』という20分の短編やりました。
森川:観た!それが初めてのヒロシ軍だ!面白かった!
荒木:でも、二日やったんですが、お盆で初日は満席だったけど、二日目の昼が予約なしでもうお客さん来ないんやないかな~って思ったら、飛び込みで一人来た。だから、エンゲルの店長にも客席に座ってもらってコントやったら、意外に盛り上がりました(笑)
バカボンド座って•••
森川:バカボンド座もね。今、本公演はやってないけど、イイノさんもいるし動いてはいる。
荒木:YouTubeで映像配信のやつ観ました!
森川:ありがと。でも、コロナなってから、本公演はやってないって感じ。
荒木:じゃあ、今のところ、アイアンシアターでやった『子どもに見せてはいけない祭り』以降、本公演やってないんですね。それ、俺、観に行きました。
森川:けっこう観てくれてるね。
荒木:2019年の劇トツで初出場のバカボンド座『サランヘヨ♡生命保険に加入セヨ♪』めちゃくちゃ面白かったじゃないですか。もう優勝するんじゃないかって思ってました。でも、その年は劇団言魂が優勝でしたね。
森川:そうね。
荒木:で、いくつか作品を観てて思ったのが、バカボンド座って作品によって雰囲気変わりますよね?『子どもに見せてはいけない祭り』の時は、フランス映画観てるかのようなイメージがあって。劇トツ2019に出てた時の作品は、すごい爆発力があって、ちょっとブラックな部分が終始あって、でも、全部お笑いにするみたいなパワーがあって。なんか映像のやつは映像のやつでまた違ってて。作品によって違うなぁって。毎回まっつんさん出てるじゃないですか。
森川:出てる出てる。
荒木:だから、まっつんさん、どういう気持ちの切り替えして作品に臨んでるのかなぁって。
森川:大体、渡辺さんが作るものって、個性がすごいじゃん。俺は大体演出どおりに一生懸命やってるだけ。
荒木:まっつんさん的にしっくり来る時としっくり来ない時あったりします?
森川:それが大体しっくり来るのよ。まあ難しいけど、こういう感じなんだろうなみたいなのはわかる。その毎回イメージが違うっていうのが、やってる俺からすると意外と感じない。でも、作風が毎回違った風に見えるのは嬉しいなあ。
荒木:劇団ヒロシ軍の作品は、どの作品やってもいつも通りみたいな感じになっちゃうんですけど、バカボンド座って作品その都度なんか違うけど、バカボンド座らしさってのを感じますね。
森川:そうね。
荒木:まっつんさんは脚本書いたりとか、演出したりとかってしないんですか?
森川:それは全然できない。
荒木:でも、すごいまっつんさんってやってそう。
森川:書いてみたらとか、よく言われるけど…
荒木:なんか世界観を持ってる感じしますし。
森川:バカボンド座のおかげなのかもしれん。謎な部分が多いよね。
荒木:めちゃくちゃ多いです。
怒ったことありますか?
荒木:まっつんさんは怒ったことありますか?演劇で。
森川:演劇ではけっこう怒られることのほうが多い。
荒木:じゃあ人生で怒ることは…
森川:あるある。意外と短気なんよ。
荒木:そうなんすか?
森川:でも、あんまり人に対してムカつくことないやん。アンケートとかSNS見て腹たてたり、バイトとか、しょうもないことで大体腹たてるくらい(笑)演劇でみんなで作ってる時はないかな~。
荒木:何でこの話になったかというと、まちドラで稽古初日のあと初めての飲み会の席で、だんちゃん(※2)がお笑いについて、いろいろ俺に聞いてくるんですが、だんちゃん自体が全然お笑いを見てなくて。
(※2)だんちゃん・・・松永檀(まつながまゆみ)こと、だんちゃん。佐賀のフリーの役者。今度の9月、劇団こふく劇場プロデュース公演『テンペスト』に客演する。
森川:うん。
荒木:それで俺がムキになってワーキャー言ってる時に、まっつんさんがずっと「まあまあ」って間に入ってくれてた。初めての飲み会だったのに。
森川:そんなことあったっけ?覚えてないな(笑)
荒木:それでまっつんさんは座組みとかでも、いつもそういう中間にいてくれる人なんかなとか思って。
森川:まあ、でも、そうやね。
人肉饅頭のイメージ
森川:もう人肉饅頭のイメージが強くて、ヒロシくんは熱い人間なんかなって思ったけど、実際、話してみたら意外とクールやん?(笑)
荒木:普段はですね。舞台に立ってるイメージだと叫んでる感じですが。
森川:いきなり拳、突き上げる人なんかな?って思ったら、いや冷静やんみたいな。
荒木:喋ったらですよね。
森川:冷静なんやけど、舞台立ったら怪我するやん?
荒木:あー、過去に肋骨折ったりとか、初めて劇トツも初端から足の靭帯が切れかかったり。
森川:危ないよ。でも、舞台上でもクールなイメージというか、俯瞰で物を見れてる感じ。ガラパの『甘い手』北九州公演を観た時、そう思った。
荒木:ほんとですか!
森川:あれ、一見、ヒロシくんがわちゃわちゃやるんかなって思ったら、周りがわちゃわちゃしてヒロシくんが周りに翻弄されるのが面白かった。ヒロシくんが周りの反応を受けて「どういうこと?!」って言うのが。すごいハマってて面白かった。そういうなんか冷静さ、というか俯瞰してみれてる感じがしっかりしてた。
荒木:ありがとうございます。確かにこう客演の時は役者のみなんで俯瞰しやすいです。でも、ヒロシ軍の時はいろいろやること多くて俯瞰できてないことが多くて、それを無理くり隠すために全力でやってるところあります(笑)
森川:そう?でも、その俯瞰できないけど熱くやりきる感じもヒロシ軍っぽいよ。
荒木:僕、よく変人のイメージが強いんですけど、普通の役をやらせたら、なんか普通に出来るんやねみたいに言われることが多い(笑)僕的には変な役をやろうと思ってやったことは一度もないのに。
森川:そうなんや。
荒木:今日はありがとうございました!またどこかでお会い出来ることを楽しみにしてます!
↓まっつんさんが噂に聞いた人肉饅頭です。良かったら聴いてください↓