指板上の音を覚える
指板上の音を覚えることは当然、
演奏行為全般に役立ちますし、
コード伴奏の際の即戦力ともなります。
言語におけるコミュニケーションは、単語、
お決まりの言い回し、文法などの要素から
成り立っていますが、
楽器のどこに何の音があるかを
理解することは、この場合の単語を
覚えることに似ています。
とにかく、文法云々の前に
ある程度の単語力が必要なように。
ぼくもギターを始めた頃は、タブ譜に
頼っていたので、自分が今、
何の音を弾いているのか
よくわかりませんでした。
タブ譜は五線の楽譜を、ギターの指板に
見立て六線にして数字を配置したもので、
楽譜が読めなくても知っている曲ならば
弾けてしまう便利なものです。
しかし、数字で把握しているので音名が
わからなかったり、音と音の高低関係や、
音の長さが理解しづらいといった
弱点があります。
ロックのギターソロはばりばり弾けるのに、
コードが全然ダメといった人も
時々見かけますね。
おそらく、タブ譜だけを読んできたためでしょう。
指板の音を覚えることも、コードフォームを
覚えることも集中してやればかなり短期間で
マスターできるのでもったいないことと思います。
世界が広がる
指板上の音と、コードの基本フォームを覚える→
コード譜の初見演奏ができる→
コードの初見演奏ができれば・・・
・歌の伴奏が即興的にできる
・ジャズやブルースのセッションができる
・自分の弾きやすいポジションに変更できる
・曲を丸覚えする必要がなくなる
・知らない曲が弾ける
・・・など、結局はその他多くの技術をも
身につけたことになります。
そして、一番の収穫は楽器に関係なく音楽を
演奏する人同士のコミュニケーションが
スムーズになるということでしょう。
自分の部屋の中だけで完結してしまう
音楽ではなく、外に飛び出し世界を
広げることができます。
図1
図1が1フレットから
12フレットまでの12音を
それぞれの音別にまとめたものです。
ギターは1フレットごとが規則的な半音の
配列になっているので、1オクターブ内の
すべての音を覚えるにはまず
1フレットから12フレットの範囲を覚えるように
するといいです。
13フレットから先は1フレットからの配置が
まるまる1オクターブ上がっただけなので
特別覚える必要はありません。
覚えるための練習
図をただ眺めているだけでは、覚えられません。
1.メトロノームを用意する
2.テンポ=60でCの音を
6弦から1弦まで順番に弾く
3.その後、テンポを徐徐に上げていき
120くらいを目標にする
(速く弾ければ弾けるほどよい)
4.もちろん、段階的にすべての音を練習する
(これは長期的でかまわない)
ポイント
1.指が指板の音をとらえる前に
目線が先にそこにいくように!
2.指板の音を覚えてコードフォームも
作れるように!
指板上のすべての音を覚えるまでの時間は、
練習量や個人の能力とも関わりがあるので、
一概にはいえませんが
数ヶ月といったところが平均的でしょう。
(何年もかかるようでは、おそらく練習方法が
間違っている)
この練習は頭に記憶させるというより、
からだに叩き込むといった感覚で
取り組むべきです。
また、練習を続けていれば、わかると思いますが
音と音は無秩序に配置されているわけではなく、
関係を持ちながら配置されている
ことに気づきます。
例えば、どの弦上にあってもCとDは
1フレットをはさんだ隣同士であるとか。
この関係性も理解できてくると覚える
スピードもアップしますし、忘れにくくなります。
苦しい修行と思わないこと。
この練習を続けながら、実際の曲で、
これらのことを少し意識しながら楽しく
練習することが大切。
目標はある音を出したい時に無意識に
指がそこにいくことです。
からだで覚えたことは一生忘れないことが
多いですね。自転車に乗ったり、
泳いだりなどは一度できるようになったら
習得過程を忘れたにしても、
その運動だけはなかなか忘れないように。
ギターを弾いているならば、一生役立つ
能力になることは間違いありません。