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ポリ・リズム
Polyrhythm ポリ・リズム
Polyとは多数の、多量のという意味です。
音楽辞書ではポリリズムは
「異なる種類のリズムを対照的に、
複数の声部で同時に組み合わせる方法」と
ありました。
リズムという言葉は日常でもよく使われますが、
まず、ここでは音楽におけるリズムという
言葉を定義する必要があるでしょう。
リズムとは音量・音程・音色などの
諸関係が組み合わされアクセントが生じ、
それが周期的に現れる現象といえます。
最も基本となる単位は拍(beat)、
そして拍が組み合わされたものを
拍子(meter)と呼びます。
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*ト音記号の横のCは、
Common(一般的な)のことで、
4/4拍子を意味します。
もし、何らかの単一の音が等間隔の時間で
連続して鳴っていたとしても、音量や音程に
まったく変化がければばリズムの周期が
感じられないことになります。
例えば、雨だれが何拍子かを判断することが
難しいように。
音量、音程の変化を端的な言葉にすれば、
アクセントと言えるでしょう。
リズム1のように強弱をつけて机を叩いたら、
音程変化なく、そして楽音
(音楽で使われる音程のある音)でなくとも
4拍子を感じることができます。
これが、音量の変化(強弱)による
リズムの表現です。
リズム1
タン タン タン タン タン タン タン タン
例2は音の強弱が、かりになくとも音程
(ドレミ・ドレミという周期)によって3拍子を
感じるはずです。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/127144826/picture_pc_b1a1aff9fb8a7b3cf54b3025c17d02ad.gif)
リズムの定義のおおよそができました。
そして異なるリズムを同時に演奏するのが
ポリリズムです。
上記の他にも音色の変化によるリズムの
表出も考えられますが、
ここでは音程変化によるリズムを使った
ポリリズムの話を中心にしていきたいと思います。
可能性
拍と拍子という概念でポリリズムを考えたとき、
最小単位である拍のポリリズムと、
異なる拍子のポリリズムという
2つのパターンが考えられます。
1.最小単位である拍のポリリズム
譜例3がわかりやすい例で、
異なる拍分割が同時に進行しています。
(8分音符と3連符)
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譜例4のショパンの曲は、2/2拍子です。
下声部では基本の拍に6つ音が入る6連符、
上声部では8つ入る32分音符の
ポリとなっています。
うねるような音響です。
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キューバの作曲家、ブローウェルのギターの
ためのかっこいい楽曲。
「黒いデカメロン」の第2楽章です。
上声部が基本の拍に3つ入る
3連符の連続に対して、
下声分では16分系リズムが絡んでいます。
2.異なる拍子のポリリズム
音程の周期を利用して異なる拍子を同時に
進行させてみましょう。
譜例6は便宜上4拍子の拍子記号で
書かれていますが、上段では3拍子が
形成されています。
譜例7は便宜上、3拍子の拍子記号で
書かれていますが、上段では4拍子が
形成されています。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/127145964/picture_pc_d6045a68bec16dcd7832b4c7c513e20c.gif)
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きもちわるい?
ポリリズムはとても興味深いものです。
ピカソ*に代表される芸術表現である
キュビスム(立体派)は、モティーフを
解体し再び正面と側面を接合するという方法です。
2次元のキャンパスの上には本来、
見ることの不可能な視点が描かれています。
ポリリズムはこの多重性、
多層性のようなものとの共通するように思えます。
4拍子の音楽を聴いているのに、
聴取の視点(?)を変えると、
3拍子に聞こえたり、
3拍子の音楽がいつのまにか、
4拍子になっていたりと・・。
また、異なるリズムを重ね合わせることに
よって独特の不思議なうねりも生まれます。
愉快なトラップの可能性が、
たくさんあるでしょう。
ピカソ* パブロ・ピカソ(1881~1973)
スペインの芸術家