在留外国人統計(3) 2019/2020
2020年末の統計が公表され、在留外国人数に対するコロナの影響がみえてきた。2019年末の数字はコロナの影響を受ける前の一つの頂点の数字。2019年末から2020年末にかけて、コロナ下で在留外国人が減る中、東南アジアや南アジアの国からの在留外国人数には増えているものもあり、在留外国人数全体では1年で1.6%減にとどまった。総人口比は2.3%前後に高止まりが続くことになった。今後この数値がどのように変化してゆくかは、大変注目される。
注目される変化はベトナムが在留外国人数で第三位になったことである。近年のベトナム国籍の人の増加は注目される。この情況をみると、増加の割に、ベトナム籍の人への社会の対応はかなり遅れていると感じる。他方でかつて日本では在留外国人と言えば韓国籍の人だったがその地位は構成比で2位から遂に3位に転落しその存在感は急速に薄れている。韓国籍の人に変わって台頭した中国籍の人の比重はなお大きいが、その比率は今4分の1を切ろうとしている。他方では、欧米の人たちが減る中で、南アジアの人たちが増えている。大きく言えば、中国化の増勢は相対的にダウンし、南アジアへのシフトが鮮明になりつつあるのではないか。こうした変化が持続的かはなお判断がつかないが、はっきりしていることは在留外国人の比率が目に見える水準に高まったことであり、社会がそれに合わせて変化すべきであることは明らかだろう。たとえば役所だけでなく、さまざまなサービスを提供するときの多言語化は必須で法律あるいは条令で義務化の必要があるのではないか。サービスの提供における差別の禁止、宗教上の配慮も必須だろう。
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2020末 2019末 2020末
中国 778,112 813,675 -35,563 -4.4% 27.0%
ベトナム 448,053 411,968 +36,085 +8.7% 15.5%
韓国 426,908 446,364 -16,456 -3.7% 14.8%
フィリピン 279,660 282,798 -3,138 -1.1% 9.7%
ブラジル 208,538 211,677 -3,139 -1.5% 7.2%
ネパール 95,982 96,824 -842 -0.9% 3.1%
インドネシア 66,832 66,860 -28 -0.0% 2.3%
台湾 55,872 64,773 -8,901 -13.7% 1.9%
アメリカ 55,761 59,172 -3,411 -5.8% 1.9%
タイ 53,379 54,809 -1,430 -2.6% 1.8%
ペルー 48,256 48,669 -413 -0.8% 1.7%
インド 38,558 40,202 -1,644 -4.1% 1.3%
ミヤンマー 35,049 32,049 +3,000 +9.4% 1.2%
スリランカ 29,290 27,367 +1,923 +7.0% 1.0%
パキスタン 19,103 17,766 +1,337 +7.5% 0.7%
バングラ 17,463 16,632 +831 +5.0% 0.6%
イギリス 16,891 18,651 -1,760 -9.4% 0.6%
フランス 12,264 14,106 -1,842 -13.1% 0.4%
総数c 2,887,116 2,933,137 -46,021 -1.6%
総人口d 12,588.0万 12,616.7万
c/d 2.29% 2.32%
総人口は10月1日現在の推計値。
上位5ケ国の推移(2016-2020)
2020末 2019末 2018末 2017末 2016末
中国 778,112 813,675 764,720 730,890 695,522
ベトナム 448,053 411,968 330,835 262,405 199,990
韓国 426,908 446,364 449,634 450,663 453,096
フィリピン 279,660 282,798 271,289 260,553 243,662
ブラジル 208,538 211,677 201,865 191,362 180,923
参照
台湾 55,872 64,773 60,684 56,724 52,768
朝鮮 27,214 28,096 29,559 30,859 32,461
総数 2,887,116 2,933,137 2,731,093 2,561,848 2,382,822
過去統計については以下も参照。
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