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ブロックオファー取引
SMBC日興証券がブロックオファー取引において、相場操縦をしたと指摘され批判されている。問題の取引が行われたのは、2019年12月から2021年4月の間。
ブロックオファー取引は、株式の保有者が大量に保有株式を売却したい場合、証券会社が買い手を集めて、取引時間外に売買を成立させるもの。こうした取引時間外取引では、一般に当日の終値が基準になる。
当日の終値の1.5%下で売り手から引き取り、同じく0.5%下で買い手に売るという条件なら、確実に1%の利益が証券会社に入る。売り手は大きな値下がりなく売却でき、買い手は割安に購入できる。ただし売り手には、当日の終値が大きく値下がりした場合、取引をキャンセルする選択権がある。
問題は、SMBC日興の場合、取引日の前日に買い手を探す手法をとっていたこと。取引日がこのように見えると、市場では大量の売りを察知して、空売りが発生しやすい。SMBCが相場を維持する売買操作に追い込まれたのは、このような手法のゆえである。SMBC日興証券では売り注文がキャンセルされないように、売り手が意識する前日終値から大きく割り込まないように相場水準を維持しようと、相場操縦に繰り返し追い込まれた。これに対して他社では、取引日を明示しないで事前に買い手に打診。取引終了後に正式に時間外注文を受けることで、こうした危険を回避しているというのである。
ブロックオファー取引 時事通信2022/03/07
ブロックオファーの問題点 Business Journal 2022/01/29
つまり問題はSMBC日興証券だけに限られるというのが、報道されていることである。ただもしそうだとすると、SMBC内部で、こうした手法の危険性は認識されていなかったのか?あえて他社と違う方法をとっていたのは、それなりに利点があったのではないか?(本当に問題はSMBC日興だけで、他社の手法は本当に違うのか?)など幾つかの疑問が浮かぶ。
摘発内容をみると、情報が遮断されるべき、ブロックオファーの取引を受ける人間(法人営業)と、エクイティ部の自己売買担当者が、顧客情報を共有して売買操作をしていたとされることは、両者間で情報遮断する重要性が理解されていないことを示しており驚きである。また先ほども述べたように、ブロックオファー取引について他社と手法が違うために、リスクの高い取引手法となっていることが認識されていなかったのか、また長年これを改めることができなかったのはなぜか、といった疑問が生ずる。摘発を受けるまで、社内の監察部門が機能しなかったこと、自浄能力が働かなかったことも問題であろう。最後に、副社長やエクイティ部の部長が、つまり事実上のトップといえる幹部が、今回摘発され「違法性の認識がない」と発言していることは、言葉がないほど深刻である。
SMBC日興証券による相場操縦事件の告発について 証券取引等監視委員会2022/03/23
SMBC日興証券による相場操縦事件の告発について(2) 証券取引等監視委員会2022/04/12
参照
引け値を条件とした取引及びこれに伴う自己取引に関する規則 日本証券業協会 平成15.03.19(2003/03/19) 直近改正平成19.09.18(2007.09.18)
引け値を条件とした取引及びこれに伴う自己取引 Q&A 日本証券業協会 平成15.04.02(2003/04/02)
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