李鋭《資産階級と私有制の肯定》2009
《李銳新政見》天地讀書有限公司 2009。部分訳:小島晋治編訳『中国民主改革派の主張』岩波書店 2013。(以下は小島晋治訳『中国民主改革派の主張』第6章に収録。かなりはっきりしたことを言っている。一つは毛沢東の評価で功績よりは失敗が多いということ。二つは資本制生産の肯定でそれが先進的生産性を示すとしている。ただこの言い方だと、否定面がかなり過少評価。三つ目として新民主主義論こそ毛沢東の貢献だという話がでてくる。最後の4つ目はスウェーデンの民主社会主義がモデルというもの。疑問はとくに4つ目である。二つめまでで資本制生産肯定まで議論したあと、スウェーデンをもってくる意図が説明がよくわからない。いくら民主派といえ、李鋭が資本制生産のマイナス面や、企業の巨大化がもたらすリスクにほとんど無頓着に見えることには違和感が残る。どういった点を政府の役割として何を認めるのか?)
小島訳p.124 作者は次の結論を下した。「毛沢東の誤りは功績より大きく、むしろ功績三分失敗七分で、偉大な革命家で、失敗した建設者である。」
原書p.103 作者的結論是:毛澤東過大於功,倒三七開,是偉大的革命家,失敗的建設者。
小島訳p.128 前世紀90年代の社会主義陣営の崩壊と失敗は、プロレタリア革命とプロレタリア独裁」の道が根本からまちがっていたからだ。私有制の消滅を窮極とする革命、一種の先進的な生産力の排斥を特徴とする社会制度は、どんな堂々たる名義をかかげようとも、すべて前途がない。先進的生産力を代表するブルジョアジー(資産階級)と私有制は、大きな誤解を受けようが、いかほど悪魔化されようが、最終的には人類によって賛同されるだろう。
原著p.105
小島訳p.129 新民主主義は民主社会主義の思想に属し、毛沢東思想の精華だといいうる。毛沢東思想を堅持するとは、つまり新民主主義を貴重なものとみなすことである。(中略)中国の特色をもつ社会主義とはマルクス、エンゲルスの民主社会主義思想と中国の改革開放の具体的実践が結合しあった産物で、それは今日のヨーロッパのように、中国を一つの豊かな文明と、公正で調和した民主社会主義国家として建設しようとするものだ。
原著pp.105~106
小島訳pp,132~133 社会主義とは何であり、どのようにして社会主義を建設するか、という問題で、われわれはかつて一方にかたよった、ソ連式の道を歩み、暴力社会主義を実行し、やればやるほど貧しくなって、失敗した。改革解放後、実際にはスウェーデン式の道を歩み、民主社会主義を実行し、私有制を保護し、ブルジョアジーを団結させ、大きな成功を取得した。
原著p.108