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社会の分断とフィルターバブル

 国内では、東京都知事選(2024年7月7日投開票)における「石丸伸二現象」、兵庫県知事選(2024年11月17日投開票)における「斎藤元彦現象」。海外では、米大統領選(2024年11月5日投開票)における「トランプ現象」。さらには韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領による戒厳令(2024年12月3日-4日)。これらの案件に或ることが共通して指摘されている。
 3つの選挙選では、それぞれの候補者の支持者が、フィルターバブルfilter bubbleあるいはエコチェインバーecho chamber(注:正しい発音は米英ともに、チェインバーだが、日本ではチェンバーが一般化している)に陥っていたのではないかと指摘されている。フィルターバブルというのは、自身の検索履歴などからアルゴリズムalgorithm:計算式によって、自分の好みに従った検索結果が表示される結果、好みの検索結果の泡(バブル)に包まれた状態にあることを指す。エコチェインバーは、自分が好きな情報をフォローすることで、閉鎖された部屋(チェインバー)のエコー(反響)に浸っていること:自分が好きな情報以外を遮断した状態に陥っていることを指す。
 最後の戒厳令では、尹錫悦(ユンソンニョル)大統領自身が、フィルターバブルfilter bubbleあるいはエコチェインバーecho chamberに陥っていたのではないかと指摘されている。
 このような指摘は、インターネットを通じた情報検索、またネットを通じた情報発信が一般化した社会で、人々が取得情報において分断divisionに陥りやすいことを良く示している。それは結果として、社会内の対立conflictを激化させることになる。ではどうすればいいのだろうか。一部の解説は、旧メデイアの活用を対策に掲げている。テレビを見て、新聞、本を読めと。ーしかしこうした対策は時代遅れに感じる。そもそも旧メデイアに正しい多様な情報があるとは、断定できないのではないか。
 私は少なくとも現代の問題については、ネットを活用して、対立する双方の情報、また第三者の情報を意識して見ることでかなり自身の情報の歪みを補正できると考える。たとえば、私は中国について情報記事を書いているが、市民運動側の情報も見れば、一般市民の発言、中国の役所の情報も見るようにしている。そんなことしていたら毎日Noteを書けない!と叱られそうだが、日々の生活や時々の雑感などは気楽に書いていいと思う。他方で事実関係の確認が絡む情報記事の発信は慎重さがあっていいように思う。


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福光 寛  中国経済思想摘記
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