買殼上市・借殻上市 中国経済用語
買殼上市(mai3ke2shang4shi3 买壳上市)は、非上場会社が上場会社(場合によって上場しているものの、実態を失っている会社の場合があり買殼には上場会社という殻を買収する意味がある)を買収して上場すること。反向收購あるいはreverse takeovers(RTO)ともいう。日本語では裏口上場back door listingともいう。
中国企業のRTOという上場テクニックについては、かつて私は論文を書いて報告している。福光寛「中国概念股の危機で見えてきた諸問題」『成城大学経済研究』第199号2013年1月。
よく似た言葉に借殻jie4gou3上市がある。こちらの方はすでに上場会社の支配権を入手している状態からの上場(上市)を指している。したがって買殻上市と同じ意味であり、日本語訳はやはり裏口上場だが、買収という側面を強調するか、上場会社という殻を強調するかが、この二つの言葉の違いになる。
買収が絡んでいるからか、手元の中国の研究書(吳曉求等『中国資本市場制度変革研究』中国人民大学出版社2013年10-13,esp,11-12)は企業買収に伴う企業組織の再編(并购与重组:并購與重組)の一つとして、借殻上市を説明している。しかし意味からすれば借殻上市より買殼上市の方が并購與重組としてはぴったりくるのではないか。なお并購bing4gou3はmergers and acquisitionの中国語訳、合并和收購の短縮形。重組zhong4zu3は英語のrestructuring,reorganizationの中国語訳である。
なお買殼上市・借殻上市と対比的に使われるのがIPO:initial public offeringである。IPOに必要な時間、タイミング(IPOは株価がよい時期が条件となる)、手続きなどを、買殼上市・借殻上市は、省略しているのである。
IPO は中国語では、首次shou3ci4上市,首次公开上市,首次公开募股などの訳となるが、中国でもIPOで通じる。日本語では、新規公開買付である。