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資本金階層下位企業の営業外利益の爆発的増加について
近年、企業の営業外損益(non-operating income and expenses)について関心が高まっている。直接投資と間接投資を合わせ、海外の投資先企業からの配当収益が企業の営業外利益(営業外収支)を押し上げているとの指摘が多い。もちろん、円安など為替差益が押し上げる側面もある。
なかなかこの問題を綺麗に捉えることがむつかしいのだが、法人企業統計年報を利用して、資本金階層別に(経常利益ー営業利益で求めた)営業外利益の経常利益に占める比率を算出したところ、資本金10億円以上では過去5年度(2018-2022)について綺麗な上昇を確認できた(表1)。
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なお2020年度、つまりコロナの影響を最も受けた年度に、いずれの資本金階層区分でも、営業外収支の急増を確認できる。
資本金階層で下位のところが興味深い。そもそもコロナになる前でもこの階層区分は営業外収支への依存比率が高い。コロナ後、その状態が100%以上へと極端になっている(表1)。実際の数値をみると(表2)、1000万未満のところは2018-2019年度から2020-2022年度で営業外利益が8000億円台が3兆から4兆へと急膨張している。この急増は配当収益では説明しにくい。では何なのか。いろいろの仮説は考えられる。とはいえ、ざっと探した限りでは、立ち入った指摘をした文献はなかった。ここでは結論を急がず、教示を待ちたい。
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なお国民経済計算で把握されている海外からの所得の純受取の増加については以下の私のブログで書いておいた。
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