厲以寧 金融法講座上的報告 1995/07/12
厲以寧 厲以寧·經濟文選 中國時代經濟出版社 2010,pp.39-57
1995年7月12日在“金融法講座”上的報告。(写真は細川庭園 2020年5月30日)(ここでは1995年の中国人民銀行法制定をはじめとする金融立法の意味が語られている。なかでも中国人民銀行を、金融政策の担い手としての中央銀行に改変することが重要だったことがうかがえる。このときに金融関係の法律が一挙に整備されたこともうかがえる。)
中国経済体制改革の目標モデルは社会主義市場経済体制の建設(建立)である。金融体制改革は経済体制改革の一つの重要方面であり、金融体制改革の目標は、社会主義市場経済の要求に符合する中央銀行体制と商業銀行体制とを建設することであり、そうすることで完全で秩序があり、公平競争の金融市場体系を建設することである。
このため関係する金融立法は基本的には3つの種類の法律の制定を含んでいる。
一つは中央銀行に関する立法である。1995年3月全国人民代表大会が可決したところの『中国人民銀行法』、これはわが国中央銀行体制の法律の始まり(一部開始)である。
もう一つは商業銀行に関する立法である。1995年5月全国人民代表大会常務委員大会が可決した「商業銀行法」。これはわが国商業銀行体制の法律の始まり(一部開始)である。
三つ目は金融市場体系に関する立法である。目前すでに可決された『手形(票據)法』『担保法』『金融秩序を破壊する犯罪を処罰する決定』から、現在起草されているか修正されている『証券法』『先物取引(期貨交易)法』『信託法』などすべては、完全で秩序があり、公平競争の金融市場体系に関する法律である。
上述した3種類の法律のほか、銀行以外の金融機構に関係する法律の制定も金融立法の内容である。たとえば1995年6月に全国人民代表大会常務委員会が可決した『保険法』は、(金融市場の構成部分である)保険市場を規律付ける(規範)、(また)(非銀行金融機構の一つである)保険会社の行動を規律付ける法律である。
これらの法律のなかで、中央銀行の立法に関するところが最も重要である。知るべきであるのは、相当長期間にわたり中国は名称と実際が符合した(その名称にふさわしい 名副其實)中央銀行を欠いていたことである。中国人民銀行は1980年代から中央銀行の職責の担当を受けてはいたが、市場経済条件下で求められる中央銀行と比べてかなり大きな差異があった。例えば、中央銀行の主要任務は貨幣の安定であるが、過去数年内において中国人民銀行は貨幣安定の任務をすでにもつほかに、企業貸付業務に従事することを含めて、自身の営利(盈利)目標を保有しており、はなはだしくは経済組織(実体)を創業(興辦)して増収に努めるところさえあった。加えて中央銀行は貨幣を安定させる任務を実現するために、国家の経済状況を根拠に貨幣政策を制定執行するとともに財政及び各クラス政府部門の関与を受けないものであるが、『中国人民銀行法』の施行(実施)前においては、そのようではなかった。さらに中央銀行は銀行の銀行の役割を担い、その貨幣政策の運用は金融管理を発揮するものであり、金融の調節作用は、各金融機構の経営活動に直接関与しないものであった、しかし中国人民銀行は過去はずっと伝統的計画経済モデルに従って自身と各専門銀行の関係を処理してきた。それは各専門銀行の経営メカニズムの転換を阻害し、また中国人民銀行が金融を上手に管理したり経済を活性化したり、貨幣職能を安定させることを妨げた。
『中国人民銀行法』実施以後、上に述べた情況は、根本的に改められた。中国人民銀行は中央銀行の役割を担い、まさに中央銀行の役割を果たすようになった。しかし中央銀行体制を改めるだけでは十分でなかった。もしも中国の企業が依然として自ら損益を負わないとしたら、中央銀行の金融調節作用は多大な作用を起こせるだろうか?もしも中国の専門銀行が依然として商業銀行でなければ、中央銀行はどうして銀行の銀行としての職能を果たせるだろうか?もしも中国の財政体制に対応する改革がなければ、中央銀行と財政の分離(脫鈎)は空文句になるのではないか。これは中央銀行に関する法律の建設と実施には多くの工作が必要だということを表している。
いずれにせよ、中国人民銀行を真正な中央銀行とすることはとても必要なことだ。立法を通して、中国人民銀行の性質、任務、そして動作方式を明確にすること。中央銀行の立法において、中国人民銀行は中央銀行である(作爲)と規定されており、その任務は貨幣の安定、金融秩序の正常および経済発展の促進にある。中国人民銀行と政府部門、財政とその他金融機構の間の関係において、以下の重要な内容が含められた。
中国人民銀行の貨幣供給量年成長規模の決定は全国人民代表大会で批准されたあと、いかなる人もこれを変えてはならない(任何人不得予以變動)。変える必要があるときは、全国人民代表大会あるいは全国人大常任委員会の同意を要する。
中国人民銀行は政府財政に対し超過支出(透支)をしてはならない、各クラス政府に対して貸付を提供してはならない。
中国人民銀行は政府債券を直接購入してはならない。もしも金融の調節のために必要であれば(所需),中国人民銀行は公開市場で政府債券を購入売却することができる。
中国人民銀行は割引率及び再割引率の調整を通じて、金融機構の預金準備率の調整を通じて、公開市場での政府債券の買上げ売却を通じて、などの貨幣政策工具によって、貨幣政策の目標を実現する。また中国人民銀行は、金融機構の正常な業務活動に干渉してはならないし、貨幣市場に直接参加して貸借を行ったり、また経済組織を創業投資してはならない。
中国人民銀行は非金融機構そしていかなる個人にも貸付を行ってはならない。
このような一連の規定により、中国人民銀行は真正の中央銀行になることができる。企業体制、商業銀行体制そして財政体制の改革の深化とともに、中央銀行もますます自身の作用を有効に発揮できるようになる。
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