牧野純夫「ドルの歴史」1965
牧野純夫さん(1907-1969)は1950年代生まれの僕たちの世代には国際金融学者として知られた人物(写真は渋谷駅地下コンコース 2020年1月17日)。僕らの学生時代は思えば、国際金融は花形の部門だった。第二次大戦後のドル体制が動揺し、変動相場制にまさに移行する時代だったからだが、本書は日本放送出版協会から1964年の出版で手元にあるのは1965年の改装版。本書はまさにそうした過程で出版された本だ。
この本は毎日出版文化賞を受賞。研究書ではなくいわゆる教養書だが、今読み直しても啓発されることが多い。内容は建国時から1960年代までのドルの歴史の俯瞰。読んでとくに興味深く感じたのは、インフレを好む議論がドルの歴史のなかで繰り返しあらわれたとの指摘だ。またアメリカに関しては、経済の成長これまで高かったこともあって、結局、インフレ政策がとられてもインフレは大きな問題にならずに吸収されてきたことが分かる。
牧野さんは1907年生まれ。1952年に新聞社から大学(専修大学、その後1960年から東京経済大学)に移り、この本を出してまもなく1969年に急逝されている。
牧野さんの思い出
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