黃明志「漂向北方」2016年12月♪
黃明志(1983-)は一種のマルチタレント。この歌は数年前に初めて聞いたとき、衝撃的だった。以来、中国のことを考えて疲れた時にこの歌を聞く。この歌の日本語訳はいろいろされているけれど、言葉の意味に沿ってここでは途中まで訳してみた。語義解釈が誤っていたらぜひ教えて欲しい。黃明志はお笑いをとるような音楽(たとえば 東京盆踊り)を一方でつくるが、この曲はなぜかおそろしく真面目で歌詞も深い。実はすごく真面目な人なのではないかと思う。
なお漂と飃はともにさすらうという意味。漂は生活のために流浪する意味。
漂向北方 北へ流れてきた
別問我家鄉 聞かないで故郷のことは
高聳古老的城墻 見上げる古い城壁も
擋不住憂傷 悲しみを遮ることはなかった
我漂向北方 僕は北へ流れてきた
家人是否無恙 家のみんなは元気だろうか
肩上沉重的行囊 肩に食い込む旅行袋は
盛滿了惆悵 失意で膨れ上がってしまった
憂傷youshang 無恙wuyang
行囊xingnang 惆悵chouchang
有人説他在老家欠了一堆錢 親に借りたカネを返せないので
需要避避風頭 顔を出せなくなったと
有人説他練就了一身武藝卻機會嶄露
学んだことを発揮する機会が欲しいのだと
有人説失去了自我 手足無措四處漂流
どうすればいいかもわからなくなって
なすこともなく漂っていると
有人爲了夢想爲了三餐爲了養家糊口
夢のため 食べるため 家族のために
他住在燕郊區殘破的求職公寓
燕郊區のボロアパートに住んでいる
擁擠的大樓裏 人が一杯のビルの中は
堆滿陌生人都來外地 地方からやってきたよそ者ばかりだ
他埋頭寫着履歷 履歴書を書きながら
懷抱多少憧憬 かすかな期待を抱く
往返在九三零號公路 930号線を往復しながら
内心盼着奇跡 心の中で奇跡を期待する
失去自我shiquziwo 養家糊口yangjiahukou
嶄露zhanlu 憧憬chongjing
履歷lvli 奇跡qiji
不聽也不想 もう聞かないし思いもしない
不聽回頭望的遺憾 振り返って残念だとも
扛下了夢想 夢は捨てて
要毅然決然流浪 堅い意思で流浪するのだ
御下自尊光環 自尊心も
過去多風光 過去の思い出も捨てて
就算再不堪敗仗 もう一度負けるのは耐えられないが
也不能投降 敵に従うこともできない
(親愛的) (親しい君へ)
再見了南方 南に僕は別れを告げた
眺望最美麗的家鄉 はるか遠くに美しい故郷がある
(在遠方) (はるか遠くに)
椰子樹搖晃 ヤシの木が揺れて光っている
夢璄倒映着的幻象 まるで夢の中の世界のようだ
(這城市) (この町は)
霧霾太猖狂 スモッグがひどくて
不散 都看不清前方 前はなにも見えない
敗仗baizhang 幻想huanxiang
霧霾wumai 猖狂changkuang
我漂向北方 僕は北へ流れてきた
別問我家鄉 聞かないで故郷のことは
高聳古老的城墻 見上げるほどの古い城壁も
擋不住憂傷 悲しみを遮ることはなかった
我漂向北方 僕は北へ流れてきた
家人是否無恙 家のみんなは元気だろうか
肩上沉重的行囊 肩に食い込む旅行袋は
盛滿了惆悵 失意で膨れ上がってしまった
也是最後寄望 最後の望みは
回不去的遠方 帰っていない遠いところ(故郷)に戻ることだ
(以下略)
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