見出し画像

ヘッジファンドの最大の欠点

●ヘッジファンドは前に話した通り複雑かつ高度な投資戦略を取っていること、成功報酬制を採用していることから流動性が悪い、言い換えると換金申し込みから実際に手元に資金が来るまでの日数を要します。場合によっては数カ月というケースも過去にありました。裁定取引なら他の投資家に迷惑にならないよう換金分だけポジションを換金したりすることは容易ではないこと、プライベートエクイティやディストレスト証券みたいに市場取引が出来ない証券類を換金するためです。実運用としては、新規投資資金と換金資金を相殺して、それでも相殺しきれない残額を投資または換金(これは伝統的な投資信託も同じ)しますが、その頻度(窓開け)が月に一回かこれより期間を延ばしているのが一般的かと思います。
不意の出費が発生してもヘッジファンドを換金しなくても十二分な換金性が高い金融資産や現預金がある方以外はヘッジファンド投資はおすすめしません。

●成功報酬制度、これはファンドが儲かった分だけ期中の信託報酬をいただきますというもの。儲かった分の20%がよくある条件でした。これ、投資家が投資する時期によりNAV(ネットアセットバリュー。公募投信だと基準価額と同じ)が異なるので、投信家ごとに計算するのが大変なので、成功報酬を含む換金完了まで何ヶ月もかかる場合もあります。
成功報酬制度の欠点として、運用者(運用会社)が成功報酬ほしさに乱暴な資産運用を行う危険があることです。信託約款で投信運用ルールは決まっていますが、運用成果はもちろん、元本保証もしないのが投信の世界。悪く言えば客のカネでバクチをしているわけです。
これは成功報酬制度を取らない場合も同じで、努力をしなくても毎月決まった信託報酬を抜ける、株式指数を上回ることを目指すアクティブファンドで大したリターンが無くても信託報酬だけはキッチリ取るという危険があります。
(下図は成功報酬制度の一例。水色がNAV(公募投資信託の基準価額と同じ)、オレンジ色がHWM=ハイウオーターマーク=NAVの過去最高値とお考え下さい。NAVが過去最高値、すなわちHWMを更新した時に、その分は成功報酬制度として計算する対象とします。下図の赤丸がその対象です)

●伝統的な投資もそうですが、ヘッジファンドの場合は特に数年間は換金しなくても良い、換金申し込みしてから半年後に資金が帰ればよい、それくらいの預貯金等がある、言い換えると換金性を捨てて投資する金融商品と考えられます。

【おことわり】この文書は投資手法の紹介であり、特定の金融商品の勧誘や推奨を目的としてません。当方は投資助言や金融資産のお預かりや仲介など一切行いません(する奴はいないでしょうけど)。高度な金融運用手法はそれ自体がリスクを内包してますし、これが成功するなんていう保証も示唆も一切できませんし、この文書の正確性も保証できません。投資は自己責任です。写真はヘッジファンドの投資家をイメージしたものであり、何ら関連性はありません。焼き鳥屋あきままは金商業者ではありません。文中のグラフは説明として数値を出しただけで、このような金融商品が存在するわけではありません。


いいなと思ったら応援しよう!