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ヘッジファンド
●随分前回記事から投稿が空いてしまいました。居ないとは思いますが心待ちにしていた人ごめんなさい。前回はプライベートバンカーの話をちょいしましたが、第一回放送を見たテレビ「プライベートバンカー」は二回目は見てません。録画を忘れててました(笑)。その関連で今夜も投稿しますね。
●プライベートバンカーは販売員で、プライベートバンクはお店です。売り物は金融商品です。様々な商品がありますが、残念ながら焼き鳥とか親子丼とかは売っておらず、主たるものは金融商品です。その中の一つとしてヘッジファンドがあります。ヘッジファンドというと投機的なイメージ、怪しい、あるいは危ないイメージがありますが、そもそもヘッジファンドってご存じでしょうか? 言葉を分離して「ヘッジ」「ファンド」で分けたらわかりますか?
「ファンド」は資金、基金・・・普通の投資信託だと「●●ファンド」とか、音楽バンドが「クラウドファンド」と称して資金集めしますね。特定の目的のために、複数の人がおカネを出し合うしくみがファンドです。
では「ヘッジ」(HEDGE)は・・・もともとは生け垣や囲いという意味で、おカネの世界では危険や資産価値のブレを回避することを言うみたいです。
●最近はNISAとかiDeCoで株式(上場している株式)を買う人が増えてますが、絶対に儲かりますか?そんなことは無いです。どんな株式でも株式市場が下がっている時には同じように株価が下がりますし、逆行高の株価銘柄を見つけるのは至難の業です。株式が怖ければ国債や公社債などの債券もありますが、これも金利が上がれば債券の価値が下がります。金利に見合った価値で売り買いするからです。
損したくないから株式や債券に投資しない!銀行預金一本で行く!とおっしゃる方も少なくありません。でも怖いことに日本には、いや世界にはインフレなる怪物が隠れてます。預金金利よりコンビニ弁当の値上がり率が高い現在、1,000円を円預金にして1年後に金利が数円ついても、1年後にコンビニに行ったら同じ量のコンビニ弁当とお茶が買えるでしょうか? 実は銀行預金もこのような価値が目減りする危険があるのです。この危険もリスクなんです。この危険を回避=生け垣をこしらえて守る工夫=これがヘッジなのかな?とあきままは考えてます。
●世の中は頭の良い人が居ます。おカネ出して株式を借りることをする人が居ます。株を借りてどうするかって?売っちゃうんですよ。返す時にまた買い戻せばいいんです、合法です。たとえばとある自動車メーカーA社が大好きで、世の中の株式相場なんかよりよっぽど値上がりすると信じたとすれば、A社の株式を買いますよね。頭のよい人はさらに別の自動車メーカー(それも株価が下がりそうな会社)B社の株式を借りて、市場で売ってしまいます。
市場全体が上がればA社株価もB社株価も上がりますし、逆に市場全体が下がればA社株価もB社株価も下がります。でもA社株価とB社株価は同じように動かないことが少なくありません、似たようには動くでしょうが。ここでのツボはB社の株式を「借りてすぐに売っている」ことです。返す時に買い戻せばよいのですから、株価が下がっていればいるほど株式を買い戻す資金が小さくすむわけです。1,000円でB社株を空売って、3ヶ月後に500円まで下がっていたらB社株を500円で買って、借りた株を返せばよいのです。この時に大好きなA社株は目利きが正しければ500円まで下がっていないでしょう。仮に500円まで下がっても手数料や貸株料を除けば「ちゃら」です。A社株が750円までしか下がっていなければ250円の損、B社株が500円まで下がれば500円の得、手数料や貸株料を引いた分が儲けです。
●このようにすれば、株式や債券の市場全体の値動きによる「損」から逃げることも「ヘッジ」の一つです。この方法では株式相場全体が上がった場合でもその利益は狙えませんし、目利き(銘柄選定)が間違えれば損失が膨らむ危険もあります。空売りする銘柄をインデックスにすれば日経平均全体の値上がり益は諦めるけど、値下がり益からはヘッジが狙えます。株式ロングショートという戦略で、空売りと買い持ちの価値をそろえ株式市場全体の値動きから独立した利益を狙う場合には、株式マーケットニュートラルなんて言い方もします。ヘッジファンドの伝統的な戦略の一つです。
ヘッジファンドの戦略は、世界中の国や地域の経済や政治情勢を分析したうえで様々な金融資産の値動き狙い投資をするグローバルマクロ、逆に発生した金融資産や天然資源やエネルギーなどの値動きを数理的に分析して利益を狙うCTA、未公開株式への投資(プライベートエクイティ)、不動産への投資、金融資産をはじめ暗号資産を含めた値動きの「さや」をとる裁定取引など様々な投資があります。上場株式や債券を買って値上がり益や配当益だけを狙う戦略以外は全部ヘッジファンドという人もいますし、代替投資(オルタナティブ投資)という人もいます。音楽だと「オルタナティブ音楽」とは、王道?のポップ・ミュージックとは一線を画し、既存の概念を打ち壊すような新しい方法論を取り入れた音楽だそうですが、ヘッジファンドはそんなものかもです。
●焼き鳥屋の店頭で「千円札をプレゼントします。その千円で私とゲームをやって勝ったら賞金を二千円あげます。」というと、まぁ、皆さん気楽にゲームしますね。
これが「百万円の札束をプレゼントします。その百万円で私とゲームをやって勝ったら賞金を二百万円あげます。」というと、皆さんどうされますか?大体の方は、百万円もらっておしまいとおっしゃるのではないでしょうか?でも百万円はもらったもので、仮にゲームに負けても全然あなたは損をしてません。それだけ大きいおカネとなると判断が臆病になったりするのです、そりゃそうですよ、誰だって損はしたくないです。
プライベートバンクをつかうようなおカネ持ちも同じですが、違いは3つ=既に資産があること、ヘッジファンドをはじめとする高級品の資産運用商品に投資できること、資産が大きく毀損(きそん)するような運用はしてはならないことです。資産があるので大儲けしなくてよいこと=逆に言えば「大負けしない」「大損しない」でコツコツ増えること、市場全体の価格・価値変動リスクから独立した資産運用商品の購入ができることです。
●逆に言えば「ヘッジファンド」は危険と言い切る一部メディアや経済評論家と称する人の記事や評論が、必ずしも正しくないとお感じにはなりませんでしょうか? ヘッジファンドの戦略は、市場全体の値動き(特に暴落)から回避=ヘッジするからヘッジファンドなんです。
【おことわり】この文書は投資手法の紹介であり、特定の金融商品の勧誘や推奨を目的としてません。当方は投資助言や金融資産のお預かりや仲介など一切行いません(する奴はいないでしょうけど)。高度な金融運用手法はそれ自体がリスクを内包してますし、これが成功するなんていう保証も示唆も一切できませんし、この文書の正確性も保証できません。投資は自己責任です。写真はおカネ持ちの泊まりそうなホテルのイメージであり、何ら関連性はありません。焼き鳥屋あきままは金商業者ではありません。