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キャットボンド

●いつもご高覧賜りありがとうございます。今夜は下北沢ライブホリックなるライブハウスに来て「シロピア」さんの応援に来ております。あきままは楽器も歌も出来ません、聴くだけです。下北沢は東京以外の方はご存知無いですかね。新宿から小田急線で大体5キロメートル位ですかね、電車に乗って10分もかかりません。ライブハウスと古着屋の街、中々オシャレです。
下北沢を拠点にする素敵なバンドの一つに「キャットフードリテラシー」さんがあります。イケメンのバンド、是非チェックしてみてくださいね。

●「キャット」というと、あきままは「キャットボンド」なるものを思い浮かべます。これは猫の接着剤ではありませんよ、カタストロフィー・ボンドという債券の略称、カタストロフィは災害という意味になります。猫に引っかかれたら補償してもらえる債券ではありませんよ。

キャットボンド発行時のおカネ、契約の流れ図(イメージ、例示)

●災害に係るリスクヘッジ=例えば台風災禍が来たら補償を貰う契約を農産物を扱う会社と、損害保険会社とデリバティブ契約を結び、損害保険会社がおカネをもらいます。
損害保険会社はたくさんの災害リスクを抱えると激甚災害発生時にデリバティブの支払いが出来ません。損害保険会社が支払うおカネが無くて破綻するかもしれません。激甚災害から来る支払リスクを移転させるため、これを特別目的会社や特別目的ビーグル(SPCやSPV)とデリバティブ契約を結びます。このSPCやSPVが発行する債券がキャットボンドです。

●SPCやSPVは損害保険会社と災害に係るデリバティブ契約しておカネをもらいます。その代わりに災害が発生したら損害保険会社にデリバティブ契約に従い補償となるおカネを払わないとなりません。その裏付けとしてキャットボンドを発行して集めたおカネを持ちます。実際はは集めたおカネは信託会社や信託銀行に信託します。

●キャットボンドを発行したSPCやSPVは、災害が無ければ、デリバティブ契約でもらったおカネはもらえ、災害の補償もしなくてもよいなら儲かります。キャットボンドはデリバティブで得たおカネが利益の源泉になります。
その代わりに災害が起きたらSPCやSPVはデリバティブ契約の相手となる損害保険会社におカネを払います。デリバティブ契約でもらったおカネをはるかに上回るおカネです。キャットボンド発行で集めたたくさんのおカネです。結果としてキャットボンドに投資した投資家は、キャットボンドから狙える収益はおろか、キャットボンドの元本の一部、最悪の場合は元本すべてが償還されないリスクを負います。

キャットボンド 償還時のおカネの流れ(イメージ、例示)

災害等のイベントが発生しなければ
デリバティブ取引で得た資金はキャットボンドの償還資金に含まれ、投資家の利益となります。

●キャットボンドは事業法人が事業資金調達目的で発行される一般的な債券と信用力や価額の動きとは独立したものとなりますから、株式価額が上がったから債券価額が下がる的な動きとはならないと思われます。災害の発生が価値変動の大きな要因とすればその意味ではリスクを散らすことが目指せます。
しかしながら前述の通り災害が発生したら、もう大変です。猫に顔を引っ掻かれたのとはわけが違います。特殊なリスクを持つ債券です。

●以前この債券にたくさん投資した世界的に有名な保険に強みのある金融法人が、巨大台風により多額の損失を被りました。結果として一部部門の売却など手痛い打撃となり、あきままが取り扱う商品にも影響が出ました。
リスク分散は大切ですが、リスク分散はリスクが無くなるわけではありません。リスクがまさに散るだけです。オルタナティブ投資の投資対象には、上場株式や公社債の価額のような正規分布みたいなリスクとは異質な価額変動や元本棄損リスクがあります。コモディティもそうですが滅多に起きないリスクも発生し、多大な損失を被る危険があります。算数だと3σの確率でも起きる覚悟が必要です。

【おことわり】この文書は投資対象の紹介であり、特定の金融商品の勧誘や推奨を目的としてません。当方は投資助言や金融資産のお預かりや仲介など一切行いません(する奴はいないでしょうけど)。高度な金融運用手法はそれ自体がリスクを内包してますし、これが成功するなんていう保証も示唆も一切できませんし、この文書の正確性も保証できません。オルタナティブ投資やオルタナティブ運用戦略には流動性が極めて乏しいものがあります。投資は自己責任です。焼き鳥屋あきままは金商業者ではありません。

【追記】(1) 図、写真を入れました。あくまでイメージです。
(2) キャットボンドを「CATボンド」と書いている金融機関さんも多いですね。カタストロフィ=Catastropheの先頭3文字ですね。

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