地方移住についての覚書 (住む場所・家)
15年以上住んだ東京を離れて、釣りのために北海道の旭川市に移住し2年が経ちます。北海道に住んではいるのですが東京に本社を構える事業会社にて勤務しているため、フルリモートという形態で働いています。
コロナ禍で世界的にリモートワークの導入が進みましたが、ここ数年で徐々にフルリモート前提の求人や職場は減少傾向にあるようです。とはいえ、リモートワークや多拠点生活を取り入れたいと思っている人もいるかと思いますので、その辺についての個人的な意見をまとめておきたいと思います。
※ちなみに、私自身は独身で子供もおらず完全に単身での移住でした。そのような背景の方は参考になるかもしれません。
結論から先に言うと「小さな精神的ストレス要因になる、自分を億劫にさせる要素を極力排除する」ために以下のような点を重視するとよさそう、だとおもっています。
移住の目的に対して物理的に近いところに住む
なるべく広い家に住む
駐車場は家の至近、かつできればガレージがよい
車があるなら街から離れてもダイジョウブ
上記の結論に至った自分の経験について、ここから先に書いていきます。
住む場所について
場所
これは、移住の目的にもよりますが個人的にお勧めするのは「目的に物理的に近い場所を選ぶ」が結果的に一番良いと考えています。
私自身、北海道に移住してきた当初は札幌の円山町というところに住んでおり、ここは治安も良く、街にもある程度近く、自然も遠からず、というような場所です。もともと東京に住んでいたこともあって、映画館や古本屋などがある程度近くにありつつも、週末に釣りに行く分には札幌でも十分だろう、ちょっと東京の気分を引きずった選択だったと思います。
住んで分かったことは「札幌市街からは意外と釣り場まで遠い」ということと、「週末は釣りに行くので、古本屋とか映画館とかそんなに行かなくなる」ということでした。
自分が行きたい景観が美しい渓流や湖まで、玄関を出てから少なくとも1時間くらいはかかりますし、少し遠征をしようと思った時にも高速道路の乗り口までも遠かったりしますし、市内の道路はある程度混みます。そうすると何が起きるかと言うと、釣りのために移住したと言うのに釣りに行く気持ちが萎えてきます!
朝や夕方含めたちょっとした空き時間などにさっと釣りに行けることをイメージしていたのに、いざ行くとなると少しだけ自分に喝を入れる必要が出てきます。この「自分を律する行為」というのが案外ストレスになります。また、せっかく移住してきたのに目的が果たせない自分、ということにも腹が立ってきます。なのでやりたいことや行きたい場所などの目的が決まっているのであれば思い立ったらさっとできちゃう距離に住むのがいいと思います。登山が好きなら山の近く、釣りが好きなら川や海の近くが良いと思います。
買い物行くかもしれないし街も近い方がいいな、という気持ちもわかりますが、土日に釣りに出掛けてしまう自分としてはほとんど札幌の街に行くことはなかったです。(結局札幌のことは全然詳しくなれなかった)好きだった映画もU-NEXTとNetflix、Amazon Primeでほぼ完結させました。なので、目的を一つに絞った上で、思い切って物理的に近い距離に住むのがなんだかんだ一番良さそうだと思っています。私は上記のような背景から、札幌での生活に見切りを付けて旭川市に移住し直し、有望な川まで車で30分くらいで行ける距離になり、QOLがとても向上した実感があります。
近隣環境
これは車があるかどうかによって条件が変わってきますが、もし車がない生活を想定しているのであればスーパーやコンビニ、ドラッグストアなどが近いエリアに住むことの優先度は高くなるでしょう。
ですが、もし車がある場合は都心では必須のそれらの条件の優先順位はぐっと下がります。空き時間や遠出の帰りに車で買い物に行き、まとめて食材や物品を買うことができるようになるからです。徒歩で運ぶのが大変な量の食材などを買ったとしても、車で運ぶことができるようになるので大きな問題にはなりません。
これが何を意味するかと言うと、上段で書いた思い立ったらさっとできちゃう距離に住むということがしやすくなります。コンビニなどは近くにあるとついつい行ってしまいますが、遠くなればそこまで頻度高く行くこともありません。近くのコンビニに足繁く通う生活から、週1~2回ほどスーパーでどか買い、のような生活に帰ることができるとより移住した価値を実感できると思います。
家の選び方
間取り・広さ
コロナ禍で自宅で勤務をしている時に、本当に集中ができずに仕事で苦労をした経験がありました。なので、リモートワークを始められる方、そのような職場へ転職を検討している人にはぜひ「広く、仕事部屋を作れる家」をおすすめします。
まず、東京でよくある1R 25㎡のような間取りはお勧めできません。プライベートと仕事の切り替えがとても上手い人でないとまず生産性が下がります。真後ろにベットや自分の趣味のものが散乱しているような状況で、まともに仕事ができるでしょうか?その状態で何年も働けるでしょうか?という話です(できる人は単純にすごい)。これは実際に住んで働いてみてからでないとわからないので、内見の際に気がつくことができないので注意してください。
よくよく考えると、リモートワークにとっての自宅はオフィスのようなものなので自宅を選ぶことの延長線上で考えるべきではないと考えています。また、家の中で一人で働く時間が一日の50%くらいを占めることを考えると閉塞感が少ない家を選択することで、地味なストレスから解放されます。ベッドとデスクの位置が近いと、本当に机とベッドの移動だけで一日が終わってしまいます。家の中といえどある程度歩いて移動するような体験によってモードを切り替えることが重要なのではないかと考えています。日光が入りやすいと言うことも当然ながら押さえておいたほうがよいですね。
もともと東京に住んでいたのであれば、同じ家賃で相当いい条件で物件を借りることができるはずなので、思い切ってファミリー用くらいの間取り・広さを選択するのが良いとおもいます。
ちなみに私は約90㎡の2LDKに住んでおり、広いリビング、仕事部屋、寝室+釣り部屋として3部屋を一人で運用しています。これくらい広い家だと、精神的に大変ゆとりを持って働けますのでお勧めです。都心で同様の条件の物件を探したらとんでもない価格になると思いますが、地方であれば数万円あれば同様の条件の物件はたくさんあります。
駐車場
もし、移住して車を買おうと思うのであれば駐車場は少なくとも家の隣にあるところを選ぶべきだと思います。もし、雪の降るエリア、海が近いエリアなどの場合はできればガレージになっているところが良さそうです。
私が最初に契約した物件は玄関から駐車場までの距離が相当あり、しかも屋外の駐車場でした。釣り道具やキャンプ用品、日々の買い物においては、その往復が、出かけるのが億劫になることが多々ありました。
また屋外であったために、雪かきにものすごい労力をかけましたし、なんなら駐車場で車がスタックしてしまうことすらありました。北海道や北陸など雪がすごいところは、雪が降るたびに雪かきをせねばならず、ちょっとした買い物をするにも車に積もった雪や、道路の雪を退けるところから始まるのでとても大変です。
もし雪や潮風、黄砂などの不安がないのであれば屋外の駐車場でもそこまで問題はないはずですが、玄関から駐車場までの距離もできる限り近いほうが便利だと感じるでしょう。
まとめ
北海道に移住したときに、中間択をとって「札幌」を選択してしまいましたが、ベストな選択肢ではなかったと考えています。 自分の目的を達成するのであれば最初から有名な釣り場に近いエリアを選択するべきでした。
移住自体は大きな決断になりますし、引っ越しでかかる手間や諸々の作業の時間も大きなものです。地図や数値上の距離や時間と身体感覚も東京にいたころとは変わってきます。後悔なき選択のためにも、目的を絞り、自分の身体感覚で移住の目的が達成できるのかどうかを感じてみるということをおすすめします!
※ただし、お子さんや家族がいる方は学校や保育園、役所からのサポートなどの教育環境なども居住地選択の変数に入ってくるとおもいます。その点はこのnoteでは触れておらずなのでご容赦ください。
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