ある日突然その５

ある日突然、わたしの勤めるA型事業所が愛知県の会社にM&Aされてしまった。2024年9月末のことである。
事業所の職員は厚労省の報酬制度変更にもどこ吹く風と変わらぬ日常を送っていたが、経営者はこの半年の間、重い選択をしていたようである。
経営が成立しなくなっていたことはこの選択を見れば明らかなことである。このM&Aによってこれまで無期雇用の待遇であったものが全職員が1年契約になってしまった。
さらによくないのは、プレスリリース自体が止められてしまったことである。これによって、一般企業に対する営業活動が禁止されてしまったことになる。
おまけに、トヨタカレンダーなるものに基づく就労が義務付けられ、国民の休日はすべて出勤日という非国民的労働義務が課されることとなった。
業務の愛知化は急速に進み、1ECサイトは廃止となり、別ECサイトに吸収され、そのECサイトへの誘導LPの制作を行うことになった。
また、別のECサイトは膨大な不良在庫を処分するための「在庫処分サイト」を立ち上げることとなり、「在庫処分サイト」内の全ページの作成依頼が来た。
さらに、本体の企業が実施している企業研修サイトへの誘導LPをWIXではなくWORDPRESSで制作するよう依頼が来て「デジタル町家チーム」は大忙しの状況ではある。
しかし、プレスリリースで一般企業からの受注を取るという目的からは引き離されて行っていることはチームの誰の目にも明らかなことであった。
「デジタル町家」では広告予算を持たないことから、Instagram、thread、FACEBOOKなどのSNSに頼るしかないのだが、M&A企業側の一般企業からの受注は取らないという方針から、これらの運用も止められてしまった。
現状のままでは、利用者の時給を2倍にするという目的は達成されないのではないかと危惧する。
利用者が利用者の力によって一般企業からの受注を取り、自分の力で時給を2倍にすることはA型事業所に通う利用者の夢である。
これを実現するための方法論を見出すために年明けからまた知恵を絞って行くことになる。

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