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ある日突然その8

ある日突然、京都にやってきて今日で丸1年になる。
去年の2月26日、世田谷から新幹線に乗って山科の不動産屋に行ってマンションのカギを受け取り、予約しておいたカーテンをMUJIで受け取り、京都駅近くのホテルに泊まり、翌日の荷物の到着を待った。

荷物の整理に1週間、仕事探しに1か月、4月1日から就労継続支援A型事業所の職業指導員として働き始めた。ちょうど、厚労省がA型事業所の助成金の見直しを実施し始めたまさにその日である。

A型事業所にも利益を求めるという矛盾した見直し案はA型事業所の存在自体を根幹から揺るがすものであった。
それまでのA型事業所は利用者に仕事を提供し厚労省から助成金を得ることで経営が成立していた。ところが、その仕事で利益を出すなどということは全く考えたことすらなかった。

わたしは入職と同時に、利用者に支払われる賃金を最低賃金ではなく、2倍にする方策としてIT業界25年のキャリアを生かしてChatGPT、画像生成AI、動画編集、LP制作などを矢継ぎ早に教えていった。

利用者も何とかLP制作に自信を持ち始めた矢先、わたしの勤めている会社が名古屋の会社にM&Aされてしまった。まさに青天の霹靂というべき事件であった。その会社はB型を7事業所、A型を3事業所運営している会社で、事業所の運営で利益を出している会社のようだった。

M&Aから3か月、起こるべきことが起こった。それはまさに一般企業からLPの仕事を取るために利用者がチームとして動き始めたタイミングだった。
名古屋の会社としては、一般企業からLPで仕事を取るなどという海のものとも山のものとも分からないことをやっている事業所を放置することはできなかったにちがいない。

かくして1年後、わたしはまた振り出しに戻ってしまったわけだが、わたしの作った利用者のチームが結束してLP制作を継続する意思を示していると聞いて嬉しく思っている。

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