1. 悩めるマネージャー
いきなり初回から、超でかいテーマを選びました。私自身、マネージャーとしての悩みや葛藤があったからこそ、大学院に行き、今こんなことを書いてます。何か行動のきっかけになるのって、悩みが起点と多いんだろうなと思ったので、マネージャーの悩みを1回目に取り上げます。
要約
悩めるマネージャーがいる場合、マネジメントハプニングス(マネハプ)というマネージャー同志で話し合う場をもってみてはいかがでしょうか。まず、話すことで気分が楽になりますし、相手の考えを聞くことで、新しい視点や気づきも生まれ、マネージャー育成にもつながります。私もやったことがあり、オススメです。(悩んでない人にも役立ちます)
万能薬はない
これをすれば、悩みがなくなりますという万能薬は残念ながら無いと思います。人それぞれ何に悩んでいるかも違います。同じ悩みでも、会社の業界、規模、風土などいろいろ背景が違う中で、どこでも使える解決策なんか無いですよね。
何がお勧め?
とはいえ、私がお勧めできるものがあります。私も実際にやったことがあり、学びは大きかったなと思います。
それは、マネージャー同志で話すことです。マネージャーって孤独なんでよね、上司になった途端に部下がいて、チームとなって、それで手一杯になっちゃいがちです。孤独なんだから、マネージャー同志を意図的にくっつけることが大事。
何も難しいことはなく、まずは仕事で近い方で、一緒にランチを食べに自分から誘うとか軽くでいいと思います。ちょっと困ってるんで、一緒にご飯食べませんか?みたいな程度で。
毎日一緒に昼飯くってるよ!という方から、隣のチームと話したことがないという組織まであると思いますので、ここから始めるのもありかもしれません。自分から誘ってみるのがポイントかも。ドロ吐きしましょう、でもグチ大会だけで終わらせるのもやめましょう。
そして次が大事です。まず上司(部長さんとか偉い人)に働きかけ、勤務時間内に話し合いをできるようにしたいです。一人だけで突進すると浮いちゃいますので、他に協力してくれそうなマネージャーを味方として見つけて一緒に提案するのも有効と思います。
得体の知れないものに時間をとる心理的な抵抗があるものなので、部署の定例会議等で時間をとるのがいいかもです。経験上、別途時間を取ろうとすると日程がない等、いろんな点で開催は難しいです。
例えば、こんな感じで1回やってみるのはいかがでしょうか?
グラウンドルール・目的の説明(5分)
マネージャーでペアになって話し合う(10分)
全体で気付いたことを共有する(10分)
これだとバッファー込みで約30分ですね。どれだけ時間をとれるかで、適宜調整してください。詳しい進め方は、最後に書きますね。
一人で抱え込まず、仲間をつくって一緒に相談しましょう。
私だけじゃないんだってきっと思います。
マネジメントハプニングスとは?
紹介した手法は、マネジメントハプニングス(マネハプ)と呼ばれています。マネージャー同士で、自分のまわりで起きた出来事を振り返り、マネージャーとしてどう対応したか、どう感じたか等をシェアすることで気づきを得て、学びにつなげます。
この本で詳しく紹介されていますが、ググるとたくさん出てきますよ。
マネハプは、経営学で超有名な、あのミンツバーグ先生が開発した手法で、ミンツバーグ先生ご自身はこのようにおっしゃってます。
実際の進め方
グラウンドルールを作って、まず会の冒頭で説明します。
例えば、
この場は安心・安全な場所です。何を話してもOK
でも、相手の人格を否定するような発言はNG
話したくないことは話さなくてOK
ここで聞いたことは、ここだけ。他で絶対に話さないこと
目的を説明します。ここが、一番大事です
マネージャーが安心安全な環境で悩みや成功事例をシェアできます
マネージャー同士で助け合う、学び合う場所です
マネージャーが話すことで、自分を深く振り返り、また相手から聞くことで気づきを得る場所です
話し合いに入ります
典型的にはこんな感じで進めます。自由にアレンジください。
話し役:悩みや成功事例について話す(5分)
最近どういう悩みや課題があって
どんなアクションをとって
それで私はどう感じた
聞き役:質問する(5分)
役割やペアを交代して繰り返す
最後に、気づきを全員でシェアする(5-10分)
話すテーマ設定
この1ヶ月で成功したこと、失敗したこと、悩んでることなど、少し具体的に決めた方が、自由に話すよりも話しやすくなると思いますが、組織の現状にあわせて設定ください。
実施頻度は?
私は定例がいいと思います。何でも1回だけではまず定着しません。組織の規模や目的次第ですが、週1から四半期に1回程度まで、会社の状況にあわせてご検討ください。まずは月1、30分で始めるのはいかがでしょうか。
慣れてきたら
マネハプを機能させるには、いろいろなコツが必要と思います。これらは、意識して行い、慣れることでできるようになります。
話す側は
事実と意見、感情をわけて話す
なぜそうなった?本当はどうしたかったのだろうか?と深く深く考える
相手の意見もまずは受け止めることが大事(受け流してOK)
聞き手側は
聴く力が大事。
質問も大事
相手にぐっと考えてもらうような問いかけ(でも詰めない)
相手のためを思って、アドバイスや感じたことをプレゼントする
これらの要素を意識すると、マネハプもやらされ事にならずに、自分事として受け止め、実務で役立つと思います。何度かやるにつれて、今日は質問を意識しましょうとか、今日は相手への伝え方を意識しましょうとか、講義的な説明を少し入れるのもいいかもしれません。
せっかくなので全社展開までしては?
自分の部署で成功したら、次は部門をまたがって実施できるともっといいかもですね。同じ部署だと似た考えになりがりですが、部署を超えると新鮮な発見があると思います。
そのため、部門横断の会議体があれば、ぜひ紹介してみてください。きっと他部署の方が興味をもって、「ちょっと教えてよー」とか言ってくれたらしめたものです。
会社の規模次第で、本部や事業部単位、全社レベルになるかもしれません。大きくなるほど、人事の理解やサポートも重要で、全社レベルになると、人事主体でやってもいいと思います。
こんな場合はオススメしません
マネージャー同士の関係性がぎくしゃくしてる(たぶん、話し合いにならない)
マネージャーの上司が納得してない(数回やって中止になるリスク有)
すでに他にやってる施策がある(そっちをやり切りましょう!)
マネハプをオススメはしましたが、いつでも、どこでも、誰にでも使えるわけではないので、職場の状況に応じて、ご検討ください。
上司との想定問答
ここまで読んでくださった方。たぶん、やってみようかな〜と思われた方ですよね。実施するには上司の理解が必須ですので、想定問答例を考えてみました。笑
Q:なんだか怪しそうじゃない?
A:僕もちょっとそう思ったんですよ。でも実際やってみたら、めっちゃよかったです。他人の話ってぐっと刺さるんですよ。実際に、例えば、日産自動車さんや富士通SSLさんやJTさんでもやって成果を出してるようですよ。
Q:根拠あるの?
A:元々は、著名なあのミンツバーグ先生が開発したプログラムです。
Q:日本だけでしょ?うちグローバルだし
A:あのミンツバーグ先生が開発しており、海外発です。
Q:飲み会でいいんじゃないの?
A:飲み会での愚痴とは似て非なるものです。仕事としてやるんだと部長が打ち出すからこそ、先ず本気度が組織全体へ伝わります。マネハプは、悩みの相談会を超えて、振り返りによるマネージャー自身の学習が肝の部分で、次の行動やマネージャーの成長につながり、そうすることで最終的に部の成果にもつながると思います。そんな組織を目指しませんか?(ご自身の言葉で、ぜひ熱く語って下さい)
(初版:2023/12/2)