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サプリメントと3分で分かる案内書

本を読む。ハウツーものの本を読む。ビジネス書を読む。小説を読む。それぞれに勉強のためであったり楽しみのためであったり目的はそれぞれだ。

本を読むことの目的が情報を得ることでその情報に特化するとしたら情報のエッセンスだけを取り出してみるというのはありかも知れない。最近3分で分かる○○の本などと題して著名な○○を短時間でレビューするといった本が見受けられる。

読書を楽しみとしてとらえるときこのような書評の様な本というのは正直味気ない気がする。食べ物に例えるとサプリメントを口にするのと同じだ。食べるという行為。これは口にし噛んで咀嚼する。胃で消化する。腸で栄養を吸収し残りを排泄する。そんな一連の行為と身体の中の働きがある。それをサプリメントで代用するとどうなるのか。ビタミンが足りない。足りないビタミンを補う。ビタミンのエッセンスを凝縮した錠剤を飲む。噛むという行為はない。胃の中で消化することもないだろう。はたして胃酸でビタミンは変化しないのだろうか。まあ影響はないとして次の小腸でビタミンとして身体に吸収されれば目的達成。錠剤の中身に身体に不要なものはないから排泄するものもない。サプリメントを採るというのはそんな感じでとらえている。しかし、それで良いのだろうか。食べるという行為はもちろん身体に必要な栄養を取るためだ。ならばその栄養そのものに焦点を当てその栄養のエッセンスだけを取り出して身体に取り込む。一見効率的に見える。無駄がないように思える。

だが人間本来の身体の機能を無視しスルーしたものにはらなないだろうか。噛むという行為。内臓の消化と吸収の機能。これらの働きの出番がない。人間と身体は使わないと怠ける。本来の仕事をしないとさせないと退化するのである。

読書も同じで凝縮した書評の様なエッセンスだけを取り込んで情報を得たら頭の脳のなにがしかの機能をスルーしてショートカットしたことになる。必要な情報を得て目的を達成したかの様にみえる。実際は読んで理解し要不要を分ける。不要な部分を排し必要な部分を吸収する。そんな頭の中のオペレーションがなされなくなり知らず知らずのうちに脳の機能が退化する。内臓の咀嚼機能に相当する脳の理解し判断する機能が使われずに鍛えられること無く働きの場を失っているのではないか。そんな気がしてならない。

何より本を読むこと自体が楽しい。そんな心持ちで臨めばこんな危惧を抱くこともないのだが。

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