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ソフトウェア開発は個人?組織?

ソフトウェア開発は個人の力の方が大きいのでしょうか。それともやはり組織の力の方が大きいのでしょうか。ソフトウェア開発によらず、どのような企業活動でも個人と組織は両方とも大事で、組織を支える個人、個人を支える組織の関係が教科書的な回答です。
しかしソフトウェア開発では個人の力が大きいと言われています。確かに個人のプログラミングやデバッギング、テスティング能力は桁違いです。そして立案でも個人の能力は大きく違います。まさにソフトウェア開発では個人の能力は大きく違います。特に新規開発の開拓者の場合は個人の力は大きいでしょう。
しかしソフトウェア開発においてもやはり組織の力は大きくなります。そもそも新規開発は少なく開拓者はあまりいません。そしてソフトウェアは作って終わりではなく、その後の運用と保守のような継続が大切です。これをするのが組織です。やはりソフトウェア開発でも組織が重要です。

ソフトウェア開発は個人?それとも組織?

ソフトウェア開発は個人の力が大きいと言われていますが、実際、個人の力は大きいのでしょうか。それともやはり、組織の力が大きいのでしょうか。

ソフトウェア開発は個人の力が大きい

(1) プログラミング
前提として、ソフトウェア開発では個人の力は大きいと言われています。確かにプログラミング能力のひとつである生産性は個人によって、数倍どころか桁違いになる場合もあります。

注意:プログラミングの生産性はよく「人月」(一人が1か月で作成するプログラム量を計測する単位)が使われていますが、これは個人のプログラミング能力が桁違いであることを考えれば、おかしいものに思うかもしれません。これについては後述します。

(2) デバッギング、テスティング
プログラミング能力よりも大きな差があるのは、デバッグに関する能力です。バグを見つけて修正するデバッギング能力も桁違いです。プログラミングよりも大きな桁違いです。ある人が一週間でも見つからないバグを一瞬で見つけることもあるのがこの界隈での常識です。これはテスティング能力の差とも言えます。

(3) 企画立案
そして最も大きい個人能力は、ソフトウェアの企画立案能力です。個人の発見的能力がものを言います。ソフトウェアの企画では、組織のブレーンストーミングによる企画立案よりも、ひとりの個人の企画立案の方が優れています(きっぱり)。なおソースは個人の経験です。

組織と個人はどちらも大事(by 教科書)

教科書的には、一般的な企業活動では(1) まず組織が大事。その(2)組織を支えているのが個人。その(3)個人をサポートするのが組織。という回答になります。まるで教科書です。

ソフトウェア開発でも、この教科書的回答は第一義的には成立します。しかし前節で紹介したように、ソフトウェア開発では個人の力が大きいので、そのバランスは異なると思うかもしれません。

やはり組織の力が大きい

ソフトウェア開発は前述したように個人のプログラミング、デバッギング、企画立案能力が大きいものになります。

(1) プログラミングやデバッギング、テスティング
しかしプログラミングやデバッギングのソフトウェア開発に占める割合はあまり大きくありません。企画や要求分析、運用や保守の割合が大きくなります。もちろん個人による差が出ることもある程度事実です。

(2) 企画立案
次に企画立案ですが、実はこれは立案よりも、その企画を組織が承認する方が大きいものです。組織が企画を承認するということが組織が全責任を持って、その企画を推進することになります。
どんなに優れた企画案でも組織が承認しないと成立しません。企画立案した人のプレゼン能力も大事ですが、結局は組織の承認力になります。

ソフトウェア開発は継続こそ大事、そのためには組織

ソフトウェア開発は作って終わりではありません。運用や保守へと繋がり、さらに次期版へともなります。また2000年問題があったように、そのソフトウェアが30年使われ続けることもあります。

このようにソフトウェア開発は継続します。継続こそ大事です。これは個人レベルでは対応できません。継続こそ組織になります。

でもここで教科書的回答を再掲します。教科書的ですがやはり大事です。
(1) まず組織が大事。その(2)組織を支えているのが個人。その(3)個人をサポートするのが組織。

そして今回、これに追加するものは以下になります。
ソフトウェア開発では(4) 個人の力は大きいが部分的であり、(5) 継続には組織の力が必要

今日辺りの結論:「ソフトウェア開発には組織による継続こそ大事」以上です。

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五味弘
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