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前例のないワクチン: マサチューセッツ工科大学 (MIT) の総説論文から

前回の記事でお話ししたマサチューセッツ工科大学 (MIT) の総説論文から。今回はコロナウイルスの遺伝子ワクチンがどのように「前例の無い」ワクチンなのか、という話を紹介します。

Worse Than the Disease? Reviewing Some Possible Unintended Consequences of the mRNA Vaccines Against COVID-19
Stephanie Seneff, Greg Nigh
International Journal of Vaccine Theory, Practice, and Research 2021
https://ijvtpr.com/index.php/IJVTPR/article/view/23

病気よりも悪い?COVID-19に対するmRNAワクチンがもたらしうる予期せぬ結果を検証する
前例のない事
Covid-19とそれに続くワクチン開発の多くの側面は、一般の人々に使用するために開発されたワクチンとしては前例のないものです。その中には以下のようなものがあります。
1. 注射剤に初めてPEG(ポリエチレングリコール)を使用した事
2. 感染性物質に対するmRNAワクチン技術を世界で初めて採用
3. モデルナ社が初めて製品を市場に投入した事
4. 公衆衛生当局が、ワクチン接種を受ける人に副反応を予想するように伝えた初めての事例
5. 有効性に関する予備的なデータしかない状態で公に実施された初めての事例
6. 感染率、伝播性、死亡率の低下について明確な主張をしなかった最初のワクチン
7. 人で試みられた初めてのコロナウイルスワクチン
8. 遺伝子組み換えポリヌクレオチドを一般の人々に注射した初めてのワクチン
ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団が主催する2018年の出版物では、ワクチンは3つのカテゴリーに分けられました。Simple(単純)、Complex(複雑)、Unprecedented(前例のない)です(Youngら、2018年)。
前例のないワクチンは、開発に12.5年かかると予想されています。さらに不吉な事に、第2相試験(有効性の評価)に成功する確率は5%、そのうち第3相試験(集団の有益性の評価)に成功する確率は40%と推定されています。つまり、前例のないワクチンが、第3相臨床試験の段階で成功する確率は2%と予測されたのです。著者が単刀直入に言うと、"特に前例のないワクチンの成功確率は低い "という事になります。(Young et al., 2018)


ここで言う「前例の無い」ワクチンは、例えばこれまで適切なワクチンが存在しないHIVやマラリアといった疾患に対するワクチンなどです。前例のないワクチンの開発には少なくとも12.5年はかかると推定されており、第2相試験(有効性の評価)に成功する確率は5%、そのうち第3相試験(集団の有益性の評価)に成功する確率は40%と推定。つまり前例のないワクチンが、第3相臨床試験の段階で成功する確率は2%という事です。実際に何十年も研究が続けられているにも関わらず、HIVワクチンもマラリアワクチンもまだ実用化には至っていません。

理想のワクチンとは「安全でほとんど副反応を生じず、感染の危険があるすべてのサブタイプに対して強力な免疫応答を誘発する」ものでしょう。ワクチンは基本的に健康な方達が対象になるために、非常に高い安全性が要求されます。ワクチンの開発で難しいのは安全性の評価です。通常ワクチン開発が長期間に及ぶのは、有効性のみならず「長期間の安全性」を確認するために長い時間がかかるからです。

コロナ遺伝子ワクチンも多くの理由で「前例の無い」ワクチンです。RNAワクチンとしても初めて。コロナワクチンとしても初めて。遺伝子導入を健康な人々に試すのも初めて。有効性に関する予備的なデータしかない状態で大量接種を始めるのも初めて。「長期的な安全性がわからない」と懐疑的な意見が出るのも当然でしょう。最終的に治験が終わって成功する確率はどれくらいになるのでしょうか。上記の理由から、前例の無いワクチンの成功率は2%程度ではないかと言われています。

また、COVID-19ワクチンの開発に関して、ここで検討したmRNAワクチンに直接関連する重要な追加の質問を提起している人もいます。例えば、Haidere, et.al. (2021)は、これらのワクチンの開発に関連する4つの「重要な質問」を特定しており、これはワクチンの安全性と有効性の両方に関連する質問です。
- ワクチンは免疫反応を刺激するか?
- ワクチンは持続的に免疫力を維持できるのか?
- SARS-CoV-2はどのように変異していくのか?
- ワクチンの逆効果への備えはできているか?
この2つのmRNAワクチンについては、標準的かつ長期的な前臨床試験や臨床試験が行われていないため、これらの疑問には時間をかけて答えていく必要があります。

例えば、コロナワクチンが自己免疫反応を誘発しないか、ワクチンの効果が思うほど持続せずブースターワクチンを接種しないといけなくならないか、ワクチンがコロナウイルスを悪性に進化させないか、ADEを起こさないかなどです。これらは現時点では明確な答えが出ておらず、未知の課題です。実際、ブースターワクチン接種が始まるのも時間の問題でしょう。

これらの疑問を解決するためには、一般の人々にワクチンを広く届ける事で得られる適切な生理学的および疫学的データを観察する事が必要です。そしてこれは公平な結果報告への自由なアクセスがあって初めて可能となりますが、何としても成功を宣言しなければならないと考えられているためにワクチン関連情報の検閲が広く行われている事を考えると、これはあり得ない事のように思われます。

現在は治験の最中ですので、重要な事は「誰もが公平な結果報告への自由なアクセスができる事」なのですが、実際にはそうなっておらず、むしろ多くの問題があります。

毎日発表される感染者数に対し、ワクチン接種後の死亡者を含めた副反応報告の公表はリアルタイムではありません。日本では死亡者は85名 (5月末) -> 196名 -> 356名 -> 556名 (7月初旬)と報告の度に急速に増えています。そのうちワクチンとの因果関係ありとされたのは1人だけです。

ほとんどの方は「副反応とワクチンとの因果関係がわからない」という事を知りたいわけでは無いでしょう。現在、多くのSNS上やネット上のニュースではワクチン批判の記事やコメントには検閲が入るために実際の多くの声がかき消されています。今のところnoteでは記事を自由に書ける事はありがたい事です。「ワクチン関連情報の検閲」を無くし「公平な結果報告への自由なアクセス」を認める事は治験の経過を知り、理解するためにも不可欠なのです。


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*記事は個人の見解であり、所属組織を代表するものではありません。


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