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ワクチン有効率95%は本当か?: マサチューセッツ工科大学 (MIT) の総説論文から

マサチューセッツ工科大学 (MIT) の総説論文の紹介の続きです。今回はワクチンの有効率についての話です。

著者は論文中でBMJ誌のシニアエディター、Peter Doshiによるコロナワクチンに対する批判についても触れています。

BMJ誌のシニアエディターであるPeter Doshiは、ワクチンメーカーがFDAに公開した生データのうち、高い有効性を主張する根拠となるデータについて、2つの重要な分析結果を発表しました(Doshi 2021a、2021b)。

BMJ誌はブリティッシュ・メディカル・ジャーナルの略称で、1988年からはBMJが正式名称となっています。世界五大医学雑誌などと呼ばれる代表的な医学専門誌の一つです。

さらに引用元の文献を当たってみました。記事に連続性を持たせるため、タイトルに「マサチューセッツ工科大学 (MIT) の総説論文から」との副題を付けましたが、今回はさらにその総説論文中にある引用元の文献の紹介が主になります。いわゆる査読付きの論文では無いのですが、権威ある雑誌のBMJ誌の査読責任者でもあるPeter Doshi執筆によるBMJのブログ記事ですので、文献としての信憑性は高いと考えて良いでしょう。

Peter Doshi: Pfizer and Moderna’s “95% effective” vaccines—we need more details and the raw data
January 4, 2021
https://blogs.bmj.com/bmj/2021/01/04/peter-doshi-pfizer-and-modernas-95-effective-vaccines-we-need-more-details-and-the-raw-data/

Peter Doshi: ファイザー社とモデルナ社の「95%の効果がある」ワクチン-詳細と生データが必要だ
すべての注目は劇的な有効性の結果に集まっています。ファイザー社の報告によると、PCRで確認されたcovid-19症例は170例で、ワクチン群とプラセボ群で8対162の割合でした。しかし、この数字はPCRで確認されなかったが症状を持つ「疑い例 covid-19」と呼ばれる病気のカテゴリーに比べて小さくなっています。ファイザー社のワクチンに関するFDAの報告書によると、「研究集団全体では3410件のcovid-19が疑われたが確認されなかった症例があり、ワクチン群では1594件、プラセボ群では1816件であった」とされています。
疑い例が確定例の20倍もある事から、PCR検査で陽性の結果が出なかったからといって、このカテゴリーの疾患を無視する事はできません。だからこそ理解が必要なのです。PCR検査の結果が陽性であるか否かに関わらず、covid-19症状の発症に対するワクチンの効果を概算すると、相対的リスクの減少は19%(脚注参照)であり、規制当局が設定した認可のための50%の効果基準をはるかに下回っています。ワクチン接種後7日以内に発生した症例(ファイザー社製ワクチン:409例、プラセボ:287例)を除外しても、ワクチンの有効性は29%と低いままです。

以前の記事で触れた、ファイザーのRNAワクチンの有効度の試験結果についてです。ここでDoshiの批判を元にもう一度計算し直してみましょう。

Safety and Efficacy of the BNT162b2 mRNA Covid-19 Vaccine
Fernando P Polack et al. N Engl J Med. 2020 Dec
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33301246/

Doshiが指摘するように不自然な点は少なくとも3つあります。1)PCR陽性者が少なすぎる事。感染群21720人でもたった8人、プラセボ群21720人で162人。2)PCR陽性者に比べて疑い例 (コロナ感染の症状あり) が非常に多い事。ワクチン群では1594人、プラセボ群では1816人。プラセボ群で11倍、ワクチン群で200倍(!)  3)ワクチン接種後7日以内に発生した疑い例がプラセボ群よりもワクチン群で多いという事。ワクチン群で409人、プラセボ群で287人。

疑い例はコロナ感染の症状があるにも関わらずPCR陰性だったケース。ここにもPCR検査の弊害があります。検査手法やキット、閾値次第で陽性/陰性が容易に変わります。PCR偽陽性もあれば、PCR偽陰性もあっておかしくありません。症状がなくてもPCR陽性なら「コロナウイルス感染者」、症状があってもPCR陰性なら「非感染者」。これはコロナ感染の判定を専らPCRに頼っている事が問題なのかもしれません。


再計算1)疑い例もコロナ陽性だと仮定しましょう。コロナ陽性はワクチン群で8+1594 = 1602、プラセボ群で162+1816 = 1978にそれぞれ増えます。これを元に計算し直すと

ワクチン有効率は
(1978-1602)/1978 = 0.190 = 19.0%

再計算2)ワクチン接種後7日以内に発生した疑い例(ファイザー社製ワクチン:409例、プラセボ:287例)は、仮にワクチンの効果が間に合わずにコロナウイルスに感染したものとして計算から除くと、

コロナ陽性はワクチン群で8+1594 - 409 = 1193、プラセボ群で162+1816 - 287 = 1691。

ワクチン有効率は
(1691-1193)/1691 = 0.294 = 29.4%


症状があるものをコロナ感染と仮定すると、厳しく計算して有効率19.0%。甘く計算して有効率29.4%。いずれにしても規制当局が設定した認可のための50%の効果基準をはるかに下回っています。

PCR陽性、陰性は基準を恣意的に決める事ができるため、またウイルスの「生死」を区別できないため、コロナウイルスの感染力を測るには不向きです。症状があってもPCR陰性なら計算から排除。PCR検査のみに頼って出した数値が有効率95%です。

ここにも統計の嘘が隠れているかもしれません。厚生労働省のwebサイトには当然のように、ファイザー社の新型コロナワクチンの「発症予防効果は約95%」と記されています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_pfizer.html


しかし、有効率95%そのものに大きな疑いの声があるという事です。


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*記事は個人の見解であり、所属組織を代表するものではありません。

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