トマス・ハーディの短編を読んでみた
ハーディ短編集の中から、「妻ゆえに」「幻想を追う女」「呪われた腕」の三遍を読了。どれも面白かった。
特徴としては、短い物語の中で主人公の人生をうまく描き切っているということ。そうなると、ストーリーを急いで追うような状況説明になりがちだが、ハーディはそうではない。
絶妙のタイミングで入れてくる風景描写。効果的な場面の切り取り方。上手く書くもんだなあ、と思わず唸ってしまう。プロットも秀逸で、全体的に暗い話が多いのだけれど、最後に読み手を驚かせるオチもきちんと用意されている。
短編とはこう書くべきだ、という一つの見本を提示された形。