起業関係のお勧め本/リソース
スタンフォード在学中に授業や他の起業家・投資家等スタートアップ関係者からお勧めされた、起業関係の良書/サイト等の各種リソースをご紹介します。
起業家はどこで選択を誤るのか
自分はいつ起業すべきか、創業チームはどうするか、投資家としてVCを入れるのか、誰を雇うべきか、報酬はどうすべきか等々、スタートアップが必ず直面する難題を、過去の失敗事例にも着目して解説する。米国の本だが、一部を除き日本でも妥当する。これから起業する人には大変参考になる。
ビジネスモデル・ナビゲーター
世に存在するビジネスのビジネスモデルを55パターンに分かり易く分類。そのモデルがどう収益を上げているか等を図を交えて解説。自分のアイデアに全然別のビジネスモデルを適用したら全く新しい形の事業が構築できないか?等を考えていくとアイデアが膨らむ。
アイデアのつくり方
古典的名著。20分で読める。内容も簡単で実践が容易。革新的なアイデアは、実は単に既存のアイデアの掛け合わせ。既存のアイデアを書き出し、ひたすら組み合わせてみる。その後、あえて暫く寝かせる。すると、突如ひらめきがある。起業のアイデア出しに大変有用な本。
ゼロ・トゥ・ワン
「競争をせずにニッチな市場を狙い、他より圧倒的に優れた製品でまずそこを独占し、それから少しずつ独占範囲を拡大していく」という、スタートアップが勝利する定石を紐解く。スタンフォードの今日の起業の授業も基本的にはこれをベースに進む(そもそもこの本自体が、筆者のスタンフォードでの講義がベース)。
Superhuman’s Product Market Fit Framework
プロダクトマーケットフィットについてはこれ。Superhumanというシリコンバレーのスタートアップをケーススタディとして、プロダクトマーケットフィットをいかに達成するか、どうやって達成の有無を判断するか等、スタートアップの成功に欠かせないプロダクトマーケットフィットについて詳細に論じた記事。これだけで本何冊分もの価値がある。スタンフォードで受けた授業中、少なくとも3つの授業がこの記事を必読文献にしていた。
ブリッツスケーリング
スタンフォードの有名な授業がベースの本。今日の不確実性の高い時代では新しいアイデアはすぐ真似されて陳腐化するので、そうした時代で勝利するには、どこかのタイミングで効率性や失敗のリスクを全て投げ出して爆速での成長に全振りし、とにかく市場を独占する必要がある。そうした成長過程では、未完成品をリリースしたり、微妙な人材をも厭わず雇用したり、カスタマーサクセスを放棄したりと、一見不合理なことも厭わない。爆速成長のためにいかなる観点でどう注力が必要かをAirbnbなどの具体例を交えて説明する。
ビジョナリーカンパニー2(飛躍の法則)・弾み車の法則
時代を超えて生存する偉大な企業に共通する要素を探っていく。ビジョナリーカンパニーシリーズは5冊もあって分厚いので手をつけづらいが、実際はいきなり2などから読んでも問題ない。スタートアップとの関係で一番意味があるのは、ビジョナリーカンパニー2(飛躍の法則)と、下記の弾み車の法則。
なお、ビジョナリーカンパニー各巻の本文部分はとても短いし、繰り返し部分も多いので、5冊全部読むのにかかる負担は普通の本を1.5冊読むのにかかる負担程度。できれば全部読みたい。
起業のファイナンス
起業にあたってファイナンスの知識があまりない方は上記を読むと基礎を総ざらいできる。読みやすさがピカイチ。
スタートアップ投資ガイドブック
ファイナンスの知識がある程度ある方は、上記が必要十分な記載量でお勧め。実際に投資家と資金調達の交渉をする際等にも適宜見返して交渉材料にしたりできる。日米のスタートアップファイナンスについていずれも記載がある。弁護士の書いた本だが、スタートアップ関係者でも問題なく読めるよう平易な記載をしてくれている。
なお、シリコンバレーのVC事情を知りたい場合には、VCの教科書が非常にお勧めな本であり、更にもっと突っ込んで知りたい場合にはVenture Dealsのご購入を。
Startup Innovators
上記はMHM増島先生のブログ。日米のスタートアップの資金調達について詳しい。情報が少し古くなってしまったが、それでも細かい所まで各論的にカバーしてくれている。困ったときに辞書的に使える。
スタートアップの知財戦略
米国のスタートアップは起業の一番初期から知財戦略を非常に重視しているが、日本ではまだあまりそういう文化が根付いておらず、起業家は後のステージになって「もっと早くから知財戦略に着手しておけば...」と後悔する事例が多い。この本は起業初期からのスタートアップの知財戦略を解説する日本では他に類書なき本。非法律家でも問題なく読める。
ステージ別ベンチャー企業の労務戦略
経験上、スタートアップは労務管理が後回しにされがちだが、取り返しがつかなくなる前にしっかりと体制を整えたい。この本は起業初期からの労務戦略について非法律家でも分かり易く何をすべきか・してはいけないかを解説してくれており、日本で起業する場合にはとても有用。
OKR
Google等が用いる目標管理手法「OKR」の平易な解説本。スタートアップは業務が流動的でカチッとした目標が立てづらいことが多く、かつリソースが不足し優先順位付けが至上命題であり、そうした環境下ではOKRによる目標管理が適している(但し、実体験を踏まえると、あまりに混沌としすぎている超初期場合のスタートアップには使えないと思う。)。
図解リーンスタートアップ成長戦略
名前が紛らわしいが、単なるリーン・スタートアップの実践版的な本ではなく、どちらかと言えば、スタートアップの成長に必要な多数の要素を総花的に詰め込んだ本。前提知識として、ビジネスモデルキャンバスを起業家用に改良したリーンキャンバスの多少の理解が必要だが、ググれば解説記事が多数出てくるので問題ない。なお、この本を読む前にリーン・スタートアップも読んでおきたい。
実践顧客起点マーケティング
強い訴求力のあるアイデアを生み出すには、1000人の顔の見えない顧客より1人の実在する具体的な顧客を深く知り、その顧客がどう製品に出会いなぜ購入に至ったかを丁寧に理解することが大切。名著ジョブ理論に通ずるところがある。スタートアップ向けに書かれているわけではないが、この考え方はスタートアップの新規プロダクト開発でも同じ。とても実践的なマーケティング本。
サブスクリプション
サブスクビジネスを立ち上げる場合にはまずこちらをざっと読む。
カスタマーサクセス
現代のサブスクビジネスに不可欠なカスタマーサクセスについてはこちら。
SaaS Metrics 2.0
SaaSは各種数値指標をしっかりと追っていくのが重要だが、上記記事ではそうしたSaaSで必要な指標について基礎からしっかりと解説してくれている。スタンフォードの授業では、教授に「SaaSについてはこの記事を読み込むだけで良い」と言われた。なお、上記記事以外にもこのサイト全般が起業家にとって非常に有用。
Acquired
テクノロジースタートアップがIPO/M&Aエグジットに至った背景を1時間以上かけて会社設立、成長戦略、競合との差異等含めて手厚く解説してくれるポッドキャスト。これが無料なのは凄い。Slack/Zoom/Uber/Netflix/Spotify等有名どころもほぼカバーしている。起業もののポッドキャストでは一番お勧め。
HARD THINGS
現アンドリーセン・ホロウィッツ創業パートナーが、自らの半生を振り返り、起業家としての自分に幾度となく降りかかる困難とそれをどう乗り越えて何を学んだかを自叙伝的に語る。スタートアップのCEOとして、困難が生じたときにそれにどうアプローチすべきかという教訓が学べるし、何より普通に物語としても面白い。この本でワクワクするか「なんだか大変そうだな」という感想で終わるかで、自身が起業向きかどうかが分かる気がする。