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LLMによるヘルスケア

こんにちは。
初めて記事を書くので簡単な自己紹介から始めたいと思います。

自己紹介

私は地方に住む国立大学院生です。学部では情報工学を専攻しており、大学院では医工学分野の研究を行っています。具体的には光電容積脈波(photoplethysmography: PPG)と呼ばれる脈波センサから得られる生体信号を用いたストレス推定モデルの研究を行っています(最近は就活で一旦研究はお休みしてますが…)。

光電容積脈波という言葉はあまり聞き馴染みがないと思いますが、Apple WatchやFitbitなどウェアラブルデバイスにはすでに搭載されている脈波センサで、意外と皆さんの身近に存在しています(興味があったら調べてみてください!)。

念の為、すごく簡単に原理を説明したいと思います。PPGセンサはセンサから近赤外光や緑色光を皮膚の表面から血管へと発し、血管からの反射光を計測することで血液の変化量を計測することができます。なぜ変化量がわかるのかというと、血液中の酸化ヘモグロビンが光を吸収する特性(吸光特性)を持っていることから、発射光と反射光に光量の差が生まれるためです。脈波波形は個人差がありますが、綺麗な形が取れると図1のような形になります。

図1:PPGセンサによって得られる脈波の例

PPGセンサを用いて心拍数を計測することはもちろん、睡眠の質を測ったり、ストレス値を推定することができます。具体的には得られた脈波の情報を周波数解析することで交感神経や副交感神経の指標を算出することで推定を行うことができます(心拍数は時間領域データから算出可能)。

しかし、デバイスの面でもアルゴリズムの面でも精度の改善の余地はまだまだあるのが現状です。実際、医者の方々からはPPGセンサから得られる情報に対する信頼が得られていない現状もあるようです。市場に出回っているウェアラブルデバイスも"医療機器"ではないので、専門的な診療はお医者さんが行わなければなりません。現状はあくまで健康意識を高めるためのツールに過ぎないということですね。

LLM-HealthAssistant

そんな感じで私の研究はざっくり言うと、医工学、特にヘルスケア分野に関する研究となっていますが、最近このヘルスケアの分野にLLMを活用するとしたらどういった活用方法があるのだろうと漠然と考えています。

なぜここでLLMが登場するのかというと、現在私が長期インターンとして開発業務のインターンをさせていただいており、そこでLLMを扱ったシステムの開発を行っているからです。要はせっかくならインターンで学んだことを研究にも活かしたいなってことですね笑。

安直に「LLMヘルスケア」と調べてみると、以下のようなリポジトリを見つけました。今回はこれを軽くご紹介したいと思います。

すでに一年も経っていますが、以下の論文内で用いられているデモコードのようですね。

この研究ではヘルスケア領域におけるLLMの有効性の評価に焦点を当てています。検証の際にはオープンソースのデータだけでは異常値を取るデータが含まれていないので、追加で低圧環境下での実験を行い、データを補強しているようです。

論文内で提案しているフレームワークは図2の通りです。

図2: Framework of HealthCarer(論文内から引用)

フレームワークには明確に書かれていませんが、個人的には生理指標をcsvデータで渡すだけでなく、脈波波形などの画像データもLLMに解析させている点が面白いなと思いました。

論文内では今後の応用方法として具体的なシナリオ例が提案されています。

User: 最近体調が優れません。私のバイタルサインから健康に関するアドバイスをいただけますか?
LLM: もちろんです。あなたの心電図と脈波のデータによると、心房細動の可能性があります。できるだけ休養をとり、クリニックを受診することをお勧めします。

4.2 Applicationsの内容から抜粋(日本語に翻訳)

最後に

今回はLLMによるヘルスケアということで「ALPHA: AnomaLous Physiological Health Assessment Using Large Language Models」の内容をすごく簡単にですが、紹介させていただきました!

まだまだ改善の余地はあると思いますが、自分の健康管理をしてくれるLLMエージェントはめちゃくちゃ需要があると思うので、今後もAI×ヘルスケアの分野に注目したいですね。

LLM-HealthAssistantのようなLLMエージェントがApple Watchなどのウェアラブルデバイスに登場する日も遠くはないはず…

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!



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