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海へつながる道

少しずつ坂道になっているようだ。突き当りは堤防のはずだけれど、坂になっているから堤防は見えない。

堤防の向こうは太平洋になっていて、地震が起きたら、津波が来ると言われている。だったら、堤防を高くしろよ! 海抜十数メーターでは何だか不安だろう。たしか1940年代に大きな地震があったとそうじゃないか。南海トラフはいつ揺れるのか、そういうのを心配していると、まあ、日本なんて安心できるところはないのかと諦めてしまう。

ほんとに私たちは、2011年の地震による津波を共有してからというもの、臆病になっている。だったらいっそのこと首都直下型でもいいから、トーキョーにいた方がいいやと、みんながトーキョーで暮らしたがっている。まあ、トーキョーは高いビルがたくさんあるし、高いところに避難はできるのか。

けれども、どっちにしろ大きな地震に襲われたら、いのちを守ることで精一杯だし、安心なところはないぞ。どこも同じように不安なのだと思う。それでも、外国の人たちは物価の安いニッポンに来たがっている。好きなものが買えるし、不思議な風俗はあるし、お買い物は楽しいのかもしれないな。みんなニホンに住むわけではなくて、通り過ぎるだけだから、スイスイやってきて、どこかへ去って行くんだろう。二十年くらい前には考えられないことが起こっている。今だけのブームなんだろうか。

海食崖というんでしょうか。波に削られた岩山が町の中にひょっこり存在します。

海辺の町で、山が迫ってきて圧迫感はあるけど、人々は暮らしている。外国の人たちが来てもらったら、それなりにおもてなししたいけれど、どれだけ外国の人たち・観光客がこの街の魅力を探してくれるのか。あの人たちは、何を求めているんだろう? 映え? 食べ物? 掘り出し物? 

求めているものが何なのか、わかったらホイッと提供するんだけど、そして、お金を落としてもらうんだけど、人の楽しみのツボって、なかなかわからなくて、簡単には提供できない。とりあえずキャッチーな観光地であり、見栄えのするところであり、おいしい食べ物であり、人と出会うことなんだろうけど、それが意外と簡単に提供できないように思う。

田舎は、人がいなくて、歩くところが限定されていて、おもしろさを提供できていないし、そこに住む人たちそのものが、「こんな田舎を早く出ていきたい」なんて思ってるから、なかなかそこでの楽しみが伝わらない。

田舎で、楽しくイキイキと生きていること、そういうのをどれくらい実践できてるだろうな。


これは地元の銭湯、中に入って見たかったなあ。

都市にあるいろんな仕掛け、どれくらい人に伝えて、楽しんでいるのかを見せられたらいいな。それは私も問われている。お休みでもずっと家にこもってちゃダメだ。出歩いて楽しいところを見つけなきゃいけないな。

海へつながる道を真っすぐ歩いて行ったら、太平洋が見えるはず。そして、太平洋は何もない絶壁で、向こうにたどり着くには船と勇気が必要だ。それがなかったら、町でしっかり生きていくしかないのか……。