へたりこむオジサン
今年の夏、クルマで山陰の旅に出かけました。必然的にそうなりました。四国はお盆を過ぎた頃に行くかもしれない(結局は行きませんでした)。信州も行きたいけど、春に電車で旅したことがあった。北陸は秋に行かなきゃいけない用事がある。九州は少し遠い。クルマだと飽きてくるかもしれない。
それで、山陰の旅に出かけたというわけですね。人に出会ったんでしょうか? 旅なんだから、人に出会わなきゃいけないな。
残念ながら、遠くからいろんな人がいるなあと見ているだけで、ことばを交わした人はいませんでした。これが私の旅のダメなところです。
まあ、黙々と写真でも撮って、ブログなどに上げればいいわけですが、自分でもつまらなくなります。大阪弁でいうところの「いちびり」みたいで、楽しいのだろうけど、どこかで「つまらない」という気持ちもある。まあ、そんなにいじけないで、自分らしいものを見つければいいんですけど、それはどんなものなんだろう。
松江の花火大会を宍道湖の向こう側の玉造温泉あたりから見た時には、たくさんの人たちがいたんですよ。花火の下にも見物客がいただろうけど、遠い湖の岸辺から、眺める人たちもいました。ちょうど松江が見える岸辺にホテルがあって、そこは庭を開放して花火を見られるようにしてあげていた。
だから、通りすがりの私もホテルの中に入り込んで、じっと花火を待ちました。かなり遠くて、見上げる花火ではないのだというのはわかっていたんですけど、1時間以上待たされて、やっと始まった花火は、きれいなのかもしれないが、何だかつまらなかった。
私はものすごく短気になっているし、すぐに諦めてしまうオジンになっていました。我慢強くじっと座って1時間以上待つこともできたんですけど、写真もまともに撮れないなと思ったら、興味がなくなってしまった。
そんな写真がすべてだなんて、いつからそんな写真家になったことやら。
花火を見に来た人たちと仲良くお話することはできなかった。玉造温泉のフロントの人とも最低限のことばを交わしただけだった。
そうした人とのふれあいではサッパリだった旅。せめて高速道路を走らないで、国道を走ってみようと、玉造から米子あたりまで走ってみました。ナビはすぐに高速道(無料区間)に行かせようとします。そうじゃなくて、地元の人たちに会いたいんだよと文句を言いつつ安来市に入りました。
有名な足立美術館は安来市にあるといいます。もちろん、私は行きませんでした。申し訳ないことです。それよりも道の駅を探していて、たまたま信号でへたりこむオジサンを見つけました。私は信号待ちです。もしオジサンが立てなかったら、通報しなきゃと心配してみたら、青になった途端にオジサンは立ち上がり、信号を渡っていきました。私の早とちりだった。けれども、へたり込みたくなる暑さだったと思われます。
私の数少ない出会いの一つ。ほんの一瞬のできごとでした。そのあと、私は念願の神社のお札をいただくことができて、これもオジサンのおかげだったのかもしれないけど、出会いが私の旅を変えてくれるし、もっともっと出会いたいと思いつつ、落ち着きなくフラフラ走るのも危険だし、適当に切り上げ・切り捨てて、人に出会えないかな。おもしろいところはないかな。お土産は何を買おうかな。なんて思っていたのです。