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空港搭乗口で通訳・・・イギリス・フランス5年間の赴任生活<第28話>

デトロイト空港での出国

時々、アメリカ(デトロイト)にあるグループ会社に出張で行きます。アメリカの入国審査・出国審査はけっこう厳しくて面倒です。

今回も出張を終え、イギリスに戻るためにデトロイト空港で出国手続きをしました。
まず航空会社のカウンターでの搭乗手続き、手荷物検査、パスポートコントロールを終えて搭乗ゲートに行くと、飛行機に乗り込む時に再度、検査官からアメリカ滞在の目的や訪問場所や滞在日数などいろいろ聞かれます。
これもクリアして、無事飛行機に乗り込めました。

 座席に座ってくつろいでいると、前方より客室乗務員が “Japanese passenger? (日本人はいますか?)” と呼んで周りを見渡しながら歩いてきます。日本人を探しているようです。
手を挙げて申し出ると、搭乗口のところでの再審査の質問の受け答えがうまくできない人がいるようです。多分、旅慣れない観光客が戸惑っているのでしょう。それほど英語が堪能なわけではありませんが、搭乗口での質問程度なら何とかなります。助けてあげなければ!

搭乗口で通訳

 客室乗務員に付き添って搭乗口へ行くと、なんと出張ビジネスマン風の40才代くらいの男性でした。不思議に思いながらも、”通訳をお手伝いします" と伝えて、とりあえず検査官との間の通訳を行いました。
大体次のようなやり取りです。

検査官が「アメリカには何日間いたのか?」と聞くので、男性に日本語で伝えると「1週間だ」という答え。そのように検査官に英語で伝えます。
検査官:「アメリカのどこを訪問したのか?」
男性:「ワシントンとデトロイト。」
検査官:「この後の訪問先は?」
男性:「イギリスとドイツ。そのあと東京に帰る。」
検査官:「アメリカ訪問の目的は?」
男性:「グループ会社との会議。」
・・・
・・・
検査官:「あなたの会社名は?」
男性:「〇〇社だ。」

え?あの有名な日本の三大自動車メーカーの○○社なの? と内心思いつつ、検査官に伝えると、これで質問は終わりで搭乗できることになりました。

無事 搭乗できたのに…

 二人で飛行機に搭乗し、それぞれの席へ向かいました。でも男性はえらくブリブリ怒っています。
曰く、
「私はこれまで何度も世界中の自社のグループ工場を監査して回ってきたが、こんな仕打ちを受けるのは初めてだ!全く怪しからん。なんでこんな扱いを受けなきゃいかんのだ・・・」 とさかんに不満をぶちまけ、そのまま私とは反対側の通路に行ってしまいました。
“ありがとう”の一言もなしに です。

 私は搭乗口で困っていたあなたのためにわざわざ通訳してあげたのよ。
なぜ “助かりました。ありがとう” の一言もないの?
世界中を回っているのなら、このような入国・出国審査のやり方ぐらい知っているはずでしょう? こんな人が、あの世界的に展開している○○社の工場監査をしているのか...

この件がトラウマとなって、その後 私は○○社がちょっと嫌いになりました。もちろん、その一人が変な人だからと言って、会社全体がだめなわけではありませんが・・・。

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