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サラリーマンが不動産投資に失敗する三つの原因
【サラリーマンのための投資戦略(17)】
このマガジンでは、サラリーマンが「信用資産=お金を借りる信用力」を活用して「年収の10倍以上の資産」を作るための方法を解説しています。
マガジンに記事をまとめています。➡【サラリーマンのための投資戦略】
今回は、サラリーマンが不動産投資に失敗する三つ原因について、考えてみたいと思います。
【大原則】不動産を売って儲けている人のアドバイスを信じてはいけない。
騙される人が沢山いると思うので最初にお伝えします。
「地方の築古RC一棟ものを買いなさい」とか「家賃保証があるサブリースは安心」という話は、貴方以外の人が儲かるためのセールストークです。
もちろん、中には、貴方が儲けを出せる物件があるかもしれません。でも、それは、売り手や販売会社が意図したことではありません。
購入後に儲けが出せるかは貴方の関心事であって、売り手や販売会社の関心事ではないのです。
例えば、物件の販売会社から、貴方にとって都合の良いことが書いてある企画事が提示されたとしても、それは販売会社が儲けるために提案されているのです。
悪意があるとまでは言いませんが、売り手や販売会社が儲かるためだけに作られたもので、貴方のために書かれたものではないのです。
売買の関係者の誰一人として、貴方が儲けられるかどうかなんて考えていない世界。それが不動産投資の世界です。
これは、サラリーマンが不動産投資を始める前に、頭に叩き込んで置かなくてはならない大原則です。
儲かるかどうかは、自分で家賃と物件売買の相場を調べて、自分で計算しなければなりません。
儲かるかどうかの収益計算を他人任せにしたら、必ず失敗します。
【失敗原因1】値段が安いからと言って、築年数の古い物件を買ってしまう。
(1)サラリーマンが副業で行う不動産投資では、築年数が古い物件を買ってはいけません。
不動産投資は、新築してから税務上の耐用年数が過ぎ、さらに建物の物理的な耐用年数が過ぎて取り壊さなくてはならなくなるまでの期間のなかで、収益物件として十分な収益を残せる時期が決まっています。
そうです、不動産投資は『耐用年数の中での利益の取り合い』なのです。
サラリーマンが不動産投資で資産を作るためには、収益物件として一番稼げる期間だけ物件を所有して、その期間が過ぎたら物件を手放さなくてはなりません。
不動産から得られる利益は、「①購入価格」、「②所有期間の賃料収入」と「③売却価格」で、物件の所有者が得られる利益が決まってきます。
「②+③-①」なのです。
サラリーマン投資家は、この金額が最大となる期間だけ所有するようにしなけばなりません。
不動産は期間が経過するにつれて稼げる賃料収入が下がってきます。築古物件は、一番収益を稼げる時期を過ぎてしまった物件なので、家賃収入を目的とした投資には適していません。
(2)「築古RC一棟」物件は将来大きな解体費用が必要になる。
最近、サラリーマン投資家に「地方都市の築古RCマンション1棟」を売りつけようとしているセミナーや不動産業者が増えています。
サラリーマン投資家は、ぜったいに「地方都市の築古RCマンション一棟」を購入してはいけません。なぜなら「築古RC一棟」物件は取り壊し高額な費用が掛かるからです。
よほど立地が良く、土地そのものの価値が高い場所で、立て替えた建物の利益で取り壊し費用がすぐに回収できるような物件でなければ、オーナーは将来に向かって大きな損失をかかえることとなります。
これが「ババ抜きのババ」です。
築古RC物件は取り壊しコストをきちんと反映すると「③売却価格」が大幅に減額されてしまうので、あの手この手で物件を魅力的に見せ、「③売却価格」を釣り上げようとしています。
「築古物件を数多く購入している大家」という人もいるようですが、ブログ等をみると、ボロボロになった柱や壁を見た目だけきれいにするために、壁の表面を塗り替えたり、柱の欠損した部分に適当な詰め物をして、「建物を再生した!」と自慢げに書いています。
他にも、ボロボロで入居者がいなくなった物件を購入し、見た目だけきれいして(再生したと本人は言っている)、入居者を募り、満室になったら高値で売るとも書いています。
将来、大きな地震が来てしまったら、将来その建物が倒壊するかもしれないということは、頭の片隅にもないのでしょう。
ひどい話です。
「築古RC一棟」物件を、不動産ローンを紹介してまで、サラリーマンに薦めるオーナーや不動産業者は、早くだれかに「ババ抜きのババ」を押し付けたいだけです。
絶対にだまされてはいけません。
【失敗原因2】他の条件がそろっていれば、値段が高くても買ってしまう。
(1)投資用不動産は、購入時点で何年後に売却するのかを決めておかなければなりません。
サラリーマンの不動産投資では、「築年数ごとの家賃相場の推移」と「中古物件の売却相場」をつかむことが大切です。
◆築年数が何年くらいまでの物件が売れているのか?相場はどうか?
◆築年数と家賃相場との関係はどうか?
このあたりの情報は、ネット上でいくらでも収集することができます。
購入する物件の候補が見つかったら、ローンが完済するまでの家賃相場を予想し、ローン完済時点での売却価格を調べます。
そして、「②所有期間の賃料収入」+「③売却価格」-「①購入価格」の計算結果がプラスになる「①購入価格」を見積もります。
だれにも十数年以上先のことはわかりませんので、この計算は「貴方の不動産投資の目標値」にすぎないのかもしれません。
それでも、収益性が一番高い時期だけを保有して、その後は「中古マンションを自宅として購入する人」に適正価格で売却するという計画を、あらかじめ立てておくことが大事です。
大まかな計画があれば、適切なローンの返済期間を設定できますし、途中で「家賃相場」や「中古マンションの売買相場」に変動があったときに、計画を見直すことができます。
(2)不動産投資は物件を購入した時点で、成功するか失敗するかが8割くらい決まります。
サラリーマンが不動産投資で資産を形成するためには、「②所有期間の賃料収入」+「③売却価格」-「①購入価格」の計算結果がプラスになる「①購入価格」をきちんと計算しなければなりません。
そして、こうして計算した「①購入価格」以上では、物件を購入してはいけません。
マイホームと収益物件の価値基準は、大きく異なります。
マイホームは所有して生活する上でのメリットが大きければ、それに見合った値段で購入すればよいのです。
マイホーム購入の価値基準は人それぞれです。
でも、収益物件の価値基準は違います。
収益物件は「期待される家賃収入」と「将来の売却価格」に見合った「購入金額」でなければ、収益を残すことができません。
逆に言えば、マイホームと違って収益物件は「100点満点の物件」である必要はないのです。
賃貸物件は借り手の価値観が多様なので、「平均的な借り手の期待値の70~80点くらい」を満たしていて、「家賃もそんなに高くない」という物件が、結果的に借り手が付きやすい収益物件なのだろうと思います。
(3)不動産の希望価格は、売り手の都合の良い値段が書いてあるだけのいい加減なものです。
不動産価格はいい加減です。
1年もマーケットを眺めていると、売り主のつける値段がいかにバラバラで整合性がないものかかがわかります。
築浅物件の場合、多くのオーナーは自分の住宅ローンの残債がかなり残っているので、その残債の金額をもとに売却金額を決めることになります。
新築から中古になって、売却物件の市場価値が大幅に下がっていても、売り主はローンの残債以下では売ろうとしません。
オーナーの希望する売り出し価格は、マーケット価格ではないのです。
ですので、希望価格はいい加減なものだと割り切って、収益物件として利益が残せる適正価格でなければ買わない決断をするしかありません。
【失敗原因3】借り手のニーズがわからない物件を買ってしまう。
(1)収益物件は、建物のスペックより借り手のニーズの方が大事です。
ピカピカの建物でも、借り手が借りたいと思えない立地では、借り手を見つけるのに苦労します。逆に、駅近の利便性の良いところであれば、外見が古めかしくても、入居者は絶えないでしょう。
ファミリー向けのマンションを、人気のない学校区に購入してしまっては、狙っているファミリー層を呼び込むことはできません。
自分が「サラリーマンとしてその地に転勤してきたときの気持ち」を想像してみて下さい。
◆単身で借りるなら、どこが楽しいだろう?いくらなら払えるだろう?
◆家族で借りるなら、子供の遊び場や学校区はどうなっているのだろう?
こうした「あなた自身の考える借り手のニーズ」が、購入物件を決める際に重要な物差しになると思います。
逆に言うと、借り手の気持ちの分からない物件は買ってはいけません。
自分自身が借り手の立場で候補物件を眺めてみて、誰が借りるのかイメージできない物件は、購入後に借り手を見つけることがむつかしい物件だということです。
(2)サブリース契約は「百害あって一利なし」です!
サブリース契約なら、入居者の分析など面倒なことはサブリース業者やってくれるので楽だと考える人がいるかもしれませんが、大間違いです!
サブリース契約は、貴方以外の人が儲かるから提案されるのです。貴方自身が儲かるかどうかについては、誰も興味がありません。
サブリース契約がうまくいくのは、その収益物件がサブリース業者と分け会えるだけの十分な収益があるということが理由です。
サブリース業者の努力によるものではありません。
サブリース業者は、自社の利益にために、「その物件が一番稼げる期間の一番家賃が高い期間だけサブリース契約が存続すればよい」と考えています。
多くの不動産は、築年数が経過すれば家賃が下がってきます。
サブリース業者は、いつでも保証する家賃を引き下げられますから、家賃がさがってきたら保証する家賃も下げればよいだけです。
耐えられなくなったオーナーが契約を解除しても、サブリース業者自体はまったくデメリットがありません。
そうなんです。
だれも、あなたの不動産投資がうまくいくかどうかなんて考えていないのです。
収益性を考えなければいけないのは、あなた自身です。
ここまで読んでいただいて、ありがとうございました。
山海弘