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旭川での体験
昨年末、旭川にて、車いすラグビーとタグラグビーの体験会を実施した。
体験会の前夜は「心のバリアフリー」をテーマとしたトークセッションだった。
僕は、皆がどこにでもアクセスできる・生きやすい社会を作るためにどうしたらよいのか、を考える際、まず自分自身が、人にどう寄り添っていくか?を考える。
そのためには座学よりも体感が重要だと思っており、体験する、直接話を聞く、自分の目で見る、といったアクションを繰り返している。
(参考リンク:WheeLog!とのコラボ / オムロン太陽訪問 / 大分車いすマラソン)
今回、印象的だったのは、障がいを持った人たち自身も周りの人へ寄り添うことが大事だと、トークセッションに参加した3人が口を揃えて伝えていたことである。
障がいのある人が自ら話しやすくなる環境を皆でつくり、本人が一歩でもアクションしやすくなると、周りも変化し、お互いが支え合う構造が生まれる。
メンタルヘルスの問題も同じなのかもしれない。
どんな人でも、一人で生きていくことは難しい。誰かに支えられ、誰かを支えて生きていく。支え合うために、違いを認める。車いすも違い。色盲も違い。体型も違い。考え方も違い。色んなものが違うだけ。
違うことが当たり前の世界でどう共生社会を作っていくのか。「心のバリアフリー」、改めて学び多きセッションだった。
車いすラグビーのメンバーに加え、トライアスロンのパラリンピアンである円尾敦子さんも参加くださっていた。目が見えにくい中で、ガムシャラに泳いで、自転車に乗って、走る。なんてタフなんだろうと思った。
しかも円尾さんは底抜けに明るかった。お酒も大好きだそうだ。たくさんのエナジーをもらった。
今回の行程は、何度か屋外での移動があったのだが、車いすでの移動は本当に大変だった。
雪の上で車いすが滑る。手が冷える。
雪国で生活されている車いすユーザーは東京とは異なる厳しい環境にいるのだと実感した。
また、食事会場は掘りごたつだったのだが、車いすラグビーの選手の中には体幹が使えない方もいて、堀ごたつだと前のめりになるしかなく食事に集中できない。
そこで急遽、運営の方が座椅子を用意してくださった。車いすのシートを使い、座って背中をもたれられるつくりになっていた。数日でサッと作ったそうだが、素晴らしかった。ちょっとした工夫で皆が楽しめる場になることが良いなーと感じた。
翌日の体験会は、子どもたちを対象に、タグラグビーの体験と、車いすラグビーの体験を交互に行った。
タグラグビーの体験会では、ルールを自分たちで設定することに取り組んでみた。当たり前と思っているルールに疑問を持ち、自分たちで新しいルールを作って、全員が参加でき、力の差が僅かになるようにする。そのような発想を持って欲しいなと思って取り組んだ。
車いすラグビーの体験会は、車いすの操作をしてみてから、タックルを体験をする。このぶつかり合いが堪らない。
このタックルと車いすの操作にハマる子どもは多く、いつも、楽しかった!!!と言ってくれる。
今回は、地元の車いすラグビーのチームから車いすが8台を借りられたので、試合もしてみた。子どもたちは試合となるとさらに集中力が増し、とても楽しそうであった。
最後に僕も参戦してみた。久々の試合。しかも相手は普段から練習に取り組んでいる車いすラグビー選手たち。僕のパフォーマンスは散々であった。
特に操作に慣れたり、仲間の特徴を掴んだり、相手チームの特徴を把握するのに時間がかかった。最後の方は少し慣れ、良いプレーも少し見せられるようになっていたかもしれない。
車いすラグビーは、ルールと工夫次第で、車いすユーザーの人も、そうでない人も参加できる。やはり、皆が楽しめるスポーツを作るためのヒントはここにある。
久々の真剣試合で、スポーツの良さを改めて感じられた。
体験会後は、旭川ラーメンを食べて、イベントを手伝ってくれた会社を訪問し、意見交換をした。
旭川で障がい者の方と共に歩んできている歴史を聞き、信念を持ち続けることの重要性を感じた。
旭川の滞在時間は24時間程度だったが、マイナス8度の寒い世界でたくさんのギフトを頂く旅だった。