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67歳母の来京 南こうせつコンサートへ

3年前に乳がんを患って以降行動力がぐっと衰えていた67歳の母。治療が完了してからは旅行をできるぐらいの体力も戻ってきているのだが、人混みが苦手だとかで東京には来ようとはしなかった。そんな中、此度はわざわざ愛知県豊橋市から東京にやってきた。わたしが東京に住んで5年になるが、母が来るのはこれがはじめてのことである。

母が東京に来た目的は、武道館で開催される「南こうせつ ラストサマーピクニック」である。若い頃から南こうせつさんの大ファンの母、そのためなら嫌いな人混みにでも行こうということで、やってきたのである。

当日は品川駅で新幹線を降りる母をホームまで迎えに行き、ふたりで電車で武道館へ向かった。思えば2人で電車に乗ったことはなかったかもしれない。いっしょにコンサートに行くのも初めてだ。新鮮さとなんかそのぐらいのことをしておけたのはとても良かったなと。もっとやっておいても良かったなと、そんなことを思いながら武道館へ向かった。

コンサートは激しい盛り上がりだった。38歳のわたしよりも何十年も長く生きてる先輩方がおそらくほとんどの中で、終始たちあがって踊るひとや叫ぶ人、手拍子をする人、母のように大人しく座って楽しむ人。わたしもずっと拍手をしていたのだが、それは超満員の客席をそれだけ人をかきたてる75歳のこうせつさんに対しての拍手であり、それに応える観客の先輩方に対しての拍手でもあった。母はこの体験をみなさんとともにするためにわざわざ東京に来たのだなと、深く納得ができた。

南こうせつさん、同じ空間を共有したみなさん、母を動かしてくださってありがとうございました。元気に愛知県に帰って行きました。