空想日記〜隣の他人〜
隣のミチヨさんが亡くなった。
私とミチヨさんは時には喧嘩をし、時には鍋を共につつき、時には旅行にも行った。ミチヨさんはご病気になってしまって入院が決まった時私が寂しがるだろうから早く帰ってくると言った。
それっきりだった。
ミチヨさんが亡くなったと知ったのはご遺族が部屋の撤収に来て騒がしくなってからだった。もう葬儀も終わり火葬もされていたようだった。
私とミチヨさん。誰よりも共に生きていたのに、他人だった。
夫婦でも内縁でもパートナーでもない私たちはただの他人だった。
さようならミチヨさんお墓参り行くね。そう言いたかったがご遺族は変な隣人だと警戒してついぞ墓も教えてもらうことはできなかった。
私はミチヨさんお手製のジャムを惜しみなくパンに塗って家を出た。