空想日記〜犯行理由〜
タバコを咥えながら自動販売機の前でぼーっとしていた。
そこだけが青白い。自分もまた青白い。
「ねえ、おにいさん。」
「どうした坊主。今何時だと思ってんだ。子供はさっさと寝ろ。」
「眠れないの。」
「はぁ?何時だと思ってんの?今午前1時半。大人でも寝てるわ。」
恐竜のぬいぐるみを抱えた子供は口をへの字にして下を向いてしまった。
こんな時間に子供が一人でこんなところうろついているのは流石におかしい。考えなくてもわかる、虐待か……。
「お腹すいた。」
「もうやってる店この辺りにはねぇよ。」
コンビニで飯を買ってやって、まあついでにお菓子も。俺にはタバコを。
近くの公園で街灯の下、今何を掴んでいるのかぼんやりとしかわからない食事をした。子供は泣きながら食っていた。
俺の膝を枕に寝た少年。
黒から青に変わる世界に不安を覚える自分。
どの選択が正しいのか。
しかるべき場所に連れて行ったとしても親の元に返されることは目に見えている。
俺はそうだった。
タバコの煙が朝日に照らされる。俺はこの子を抱えてこの街を出た。
後悔はない。