涙・涙の初大会! さわやかNo,8
1. 初の公式戦 in CT YAKULT
待ちに待った新チームでの公式戦。
今回の大会へのチームのテーマは
・とりあえず楽しもう!!
・試してみよう!!
・ミスはOK!!! もし,ミスをしたとしても上を向こう!!
・常に笑っていよう!!
といったところ。
何せ一発目の大会だったので結果は求めませんでした。
とにかく選手たちに,練習してきたことを試合で試し,
“試合を楽しいと感じてほしい。”
“全員で戦うところに意義を見出してほしい。”
という自分自身の方針を固めた上で試合に臨みました。
2. 試合はあくまでも選手のもの
“試合を楽しむ”“全員で戦う”を最大限に感じてもらうには,どう持っていくのがベストかと考えたときに,
やはり選手が主体の形を作ることだと思いました。
なので,
◎スターティングメンバーを自分たちで決めさせる(守備位置・打順共に)
◎『ピッチャーは全員するよ』と伝え,誰がいつ投げるのかの順番を決めさせました。
なぜそうしたのかというと,練習と試合の一貫性を持たせたかったから。
練習では自分たちで練習を作っていくようにと言っているのに,試合になると監督が全て決めるでは何かモヤモヤが残りますよね。
もし,それでうまくいかなかったらこちらの責任。
“自分たちで決めてやっても良いよ”と言っているのは監督なので,そこは好きにやってやと選手に伝えました。
そして始まった一試合目。
めっちゃイキイキしてる。
目の色が違う。
楽しそう。
というのをベンチから見ていてとても感じました。
9人ギリギリしかおらず,怪我をしたら一発棄権もあり得るという中で,
必死に戦い,16-1のコールド勝ち発進。
“チームの滑り出しとしたら最高やね!”とみんな口々にし,
次の試合に臨みます。
3. 「信じている」ということを態度で示す
1試合目から30分後に行われた2試合目。
序盤から相手にペースを握られます。
それもそのはず。9人全員が制限された球数を投げたら,自動的に次のピッチャーに交代する廣瀬ルールなので,今までピッチャーをしたことがない子もマウンドに上がるのです。
マウンド上での所作もまだまだ練習が必要な段階。
一球一球懸命に投げているのですが,上手くいかない投球の方が明らかに多い。
たしかに見ていたら気の毒になります。
でも全員に課した球数25球は何としても投げ切ってほしかった。
何度マウンドに行こうかと考えましたが,“それは違う”“それをしてしまうと…”と心の葛藤を何度もしました。
他の指導者も「先生!本当にこの子を投げ続けさせるの?」と質問してきます。(気持ちはすごくわかる!)
でも,こんな時こそ選手の気持ちが一番大事。
ベンチから『大丈夫か?いけるか?』とオッケーサインを,苦しんでいるピッチャーに送ると,
今までの練習では見せたことがない力強い顔をしながら,オッケーサインを返してきます。
その顔を見たら,『よっしゃ!』ですよね。
正直私も内心ドキドキ。
“ほんまに大丈夫なんか?野球嫌いにならといてや”と思う気持ちがありますが,その気持ちを信じたい。
苦しい状況ながらも,自分で山を登り切ろうとしてる。
自分がチームにもたらしたピンチを,自分の手でなんとかしないと,というプライドがあるのでしょう。
そして,オッケーサインをこちらに返してきた直後の打者を,何とか打ち取って,「よっしゃー」と吠えながら,みんなとハイタッチしながらベンチに帰ってくる。
私もその姿を見て,ほっとした気持ちとよくやったという両方の気持ちで,グッと胸が熱くなりました。
そういう気持ちを引き出すのにはやっぱり実戦の場と,ここ一番の我慢です。
私がこの大会で経験してほしかったのは,“できた!やれた!”という成功体験をすることと,困難な状況になった時に自分たちで打破すること。
例えば,三振をとるのではなく,ボールがうまく投げられない時にどのような修正が必要かを考えてほしかった。
それはピッチャーはもちろんですが,それ以上に周りで守る全員に。
一人が思ったようにプレーできない時に,どう周りがサポートするか。そこを感じてほしかったのです。
誰もボール球を投げたくてボールを投げているわけではありません。
ストライクゾーンに構えられたミットを目がけて投げるのですが,経験不足で思い通りに投げられないだけ。
そんな時にどんな言葉掛けがあれば,ピッチャーが安心して次の投球ができるのか。
この大会で全員にピッチャーをさせたのはこの意図にあります。
その人の立場に立って物事を考え,行動できるようになる。
これこそがチーム力を高める上で大切です。
それをチーム初の対外試合で感じられたら,きっとこの先のチーム作りに大きな意味をもたらすにではないかと考えました。
序盤こそ,大量リードを強いられましたが,蓋を開けると意外と打力のあるチームで,取られたら取り返すを敢行。
13-18で迎えた最終回。
2アウトから4点を奪い,なおも2・3塁。
一打出れば逆転サヨナラの場面。
しかも,バッターはこの試合全打席でヒットを打っているチームの大黒柱。
チームの期待が掛かります。
が,結果はショートライナー。
あと一歩及びませんでした。
4. この子たちと強くなると心に決めた光景
試合後,
まさか子どもたちがこんなに感情を出すとは予想外でした。
ゲームセットと同時に泣き崩れる子どもたち。
まるで最後の大会で負けた時のように,全員の目に涙が浮かんでる。
その姿を見られたことがすごく嬉しかった。(少しもらい泣きしました。笑)
こんなに熱い気持ちを持った子どもたちやったんやなと初めて知ることができて,すごく幸せな気持ちになりました。
と,同時に少ない人数ではあるけれど,“これは強いチームになるんじゃないか?”と思うことができました。
また,私だけではなく子どもたちのこの姿を見て,客席のお母さんたちも泣いてる。
すごく素敵な光景でした。
“支え合い・分かりあい・やりきる・感動する”が全て含まれた,そんな試合でした。
まとめ
もし,あの時ピッチャーを変えていたら試合に勝てたかもしれません。
でも,そうすればこの涙の経験もなかったはずです。
どちらの方が良かったのか。
これまた人それぞれ色々な考え方がありますが,私個人としては,この大会に掲げた目標に対して,最高の結果だったのではないかなと思います。
ブラジルのこの小さなチームがこの先どこまで大きくなるのか!
これからも自分のやり方で選手と向き合い,選手の成長に役立てるために知恵を絞ってやっていきたいと思います。
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