【競馬】善戦マンとライバルの対戦成績を調べてみた

思い入れのある善戦マンと同時代の一流馬との対戦成績を調べてみました。ここでの「対戦成績」は、どんな順位でも先着していた方を「勝ち」と集計します。結果を表示する対象は3戦以上対戦したことがある強豪馬たちです。
何故、このような調査をしようかと思ったかは忘れてしまいましたが、GⅠ馬ではなく善戦マンを対象にしたのは、強すぎる馬よりは勝ったり負けたりの馬の方が何となく楽しそうだったからでしょう。
なお、netkeibaのデータを用いた地道な手作業のため間違いがあったら悪しからず。

1.ナイスネイチャ

自分が競馬に興味を持ち始めたのは90年代の前半。初めて予想が的中した本命馬ホクトベガ(予想の理由:1番人気のベガよりホクトがついている分強そう。)、初めて目にした三冠馬ナリタブライアン。この辺は好きな理由がはっきりしている馬なのですが、その2頭の次、3番目ぐらいに好きな馬はナイスネイチャでした。何となく好きでした。寄付総額が跳ね上がる1つ前の年にバースデードネーションに参加したことがあります。
ということで以下が調査結果。

さて、いかがでしょうか。以下は自分が特に注目した事柄です。

(1)フジヤマケンザンともライバル関係
対戦回数最上位は、フジヤマケンザンマチカネタンホイザイクノディクタスの3頭で8回でした。タンホイザとイクノと対戦多いだろうというのは「ウマ娘」二期から大体想像がついたのですが、フジヤマケンザンもタンホイザ、イクノと並ぶ8戦の対決で戦績も4勝4敗の互角。香港での勝利が有名なフジヤマケンザンですが、国内でも息長く渋い活躍をしていたんだなあと改めて気づかされました。

(2)年上~同世代の馬に1頭も勝ち越しを許していない
自分の集計が間違っていなければ・・・の条件付きになりますが(間違ってそう)、3戦以上戦った年上~同世代の馬との対戦成績は悪くて互角。ムービースターフジヤマケンザントウカイテイオーの3頭との対戦成績がイーブンで、それ以外の馬には勝ち越しています。これは地味に凄いことでは?
これを以て、ナイスネイチャとトウカイテイオーの能力が互角ということにはなりません。しかし、ナイスネイチャが有馬記念以外のレースでも高水準のレースを安定して続けていた証明にはなるのではないでしょうか。

(3)ロイスアンドロイスの存在感
能力が衰えた後も長く現役を続いたため、後の世代の馬との対戦成績は悪くなっています。91年生まれの世代では、ナリタブライアンヒシアマゾンはともかく、同じようなキャラのゴーゴーゼットにも全敗しています。
しかし90年生まれの世代との対戦ではまだまだ善戦。ウイニングチケット、ベガマーベラスクラウンといったGⅠ馬にも勝ち越しています。そんな中、一度も先着できなかった相手がビワハヤヒデ、そしてロイスアンドロイスビワハヤヒデは流石の一言ですが、ロイスアンドロイスに4戦全敗はちょっと意外でした。

2.エアシェイディ

有馬記念3着つながりで続いてはエアシェイディナイスネイチャの3年連続にはかなわないものの、こちらも2年連続の3着でした。ダイワメジャーもそうなんですが、2500mより2000mの方が似合いそうな馬たちが有馬連続3着というのはなかなか興味深いですね。

(1)天敵カンパニー
カンパニーと対戦回数が多いのは予想できましたが、1勝6敗と意外にワンサイドな結果が残っていました。ウオッカダイワスカーレットが激戦を繰り広げた天皇賞(秋)ではカンパニーが4着、エアシェイディが5着でした。

(2)エイシンドーバーとも相性が悪い
上に挙げた馬の中で、負け越している馬はわずかに4頭。カンパニーエイシンドーバーサクラメガワンダーウオッカの4頭のみです。この中で一番意外だったのはエイシンドーバー。ここで改めてエイシンドーバーの成績を調べてみると、34戦7勝、重賞2勝、GⅠは安田記念の3着が最高という成績でした。この馬、外国産馬で日本人にとってなじみ深い血統ではないのと、強烈な先行力や差し脚があるわけでもなく平均的に高い総合力で勝負するタイプの馬ということで、実力のわりに印象に残りにくいタイプの馬と言えるかもしれません。

(3)最多対戦はドリームジャーニー
最も多く対戦していたのはグランプリホースのドリームジャーニーで、4勝4敗の五分でした。何度も対戦しているのは予想通りでしたが、微妙に世代が違うので、最多というのは意外でした。ドリームジャーニーは得意のコースがはっきりしていて、好不調の時期もあった馬なので、実績のわりには拮抗した成績です。

3.バランスオブゲーム

続いては、非根幹距離のGⅡではGⅠ馬顔負けの強さを誇ったバランスオブゲームディープインパクトの勝った宝塚記念で、この馬とディープの馬連(本線)とこの馬の方を頭にした馬単少額の2点勝負して、希望が絶望に変わる経験をしたのは苦い思い出です。

(1)最多対戦はテレグノシス
最も多く戦ったのは同期のNHKマイルの勝ち馬テレグノシスで、6勝5敗の成績でした。テレグノシスはGⅠを勝ったとはいえ、古馬時代は追い込み脚質の不利ゆえにGⅠだとちょっと足りない印象の馬だったので、ほぼ互角の戦績はイメージ通りです。

(2)実はローエングリンには大きく勝ち越し
同じく同期のローエングリンは、バランスオブゲームとともにGⅠを勝てそうで勝てなかった馬。距離適性も近く、実力伯仲のイメージですが、直接対決では6勝2敗で大きく勝ち越していました。バランスオブゲームの方が堅実さの分、上だったということでしょうか。なお、同様のキャラクターのリンカーンにも3戦全勝の成績を残しています。

(3)勝ち越しているGⅠ馬も結構多い
テレグノシス
以外のGⅠ馬にも、勝ち越している馬が結構います。
イーグルカフェ、アドマイヤマックス、ファインモーション、アドマイヤグルーヴ、ダイワメジャー、カンパニー、ハットトリック、コスモバルクがこれに該当。改めて能力の高さが感じられます。

(4)全敗の同期たち
GⅠ馬以外で全敗している唯一の相手がメガスターダムでした。これはクラシック3冠全敗によるものです。マイルまでの距離を得意としたニホンピロウイナーの直仔にも関わらず菊花賞3着に食い込み、この年のクラシック3戦で唯一全レースで掲示板を確保したのがメガスターダムです。皐月賞で大穴を開けた馬が菊花賞ではまさかの落馬、ダービー馬は故障引退し、菊花賞も覚醒した上がり馬が制覇。波乱万丈のこの年のクラシック路線の中で、常に好成績を残したメガスターダムの実力を再評価したい気分になりました。
ちなみにアドマイヤドンにも4戦全敗していますが、これはクラシック3冠+朝日杯によるものです。ちなみにこの2頭と古馬になって対戦していないのは、メガスターダムは大きな故障があり、アドマイヤドンはダート路線を歩んでいったからです。

4.サクラメガワンダー

名前から分かるようにグラスワンダーが生んだ名脇役、サクラメガワンダーメイショウサムソンアドマイヤムーンと同期になります。芝2000m前後を得意とする馬で、キャリアハイは宝塚記念の2着でした。なぜかマルカシェンクとセットで思い出すことが多い印象ですが、果たして対戦成績は如何様だったのか……?

(1)マルカシェンクとは2勝2敗
なぜかセットで思い出すマルカシェンクとは4戦して2勝2敗。互角の評価ですが、そこまでたくさん一緒に走っているわけではありませんでした。なぜセットで思い出すのかは謎。調べて見ると3歳時の鳴尾記念でワンツーを決めているのですが、特にそれが印象に残っているレースというわけでも……
ちなみにマルカシェンクはこの年のクラシックの有力候補に挙げられていたサンデーサイレンス産駒で、サンデーらしい差し脚と出遅れ癖で愛された馬です。

(2)最多対戦はカンパニーとアドマイヤフジ
最多対戦はカンパニーアドマイヤフジの7戦でした。どちらにも勝ち越しています。カンパニーは同じような路線で息の長い活躍をしていた馬なので納得。アドマイヤフジは少し意外でしたが、こちらも同じ時代で長く走り続けた馬でした。サクラメガワンダーに比べると、GⅠではちょっとキツい印象があったので、5勝2敗という戦績は能力のイメージ通りです。

(3)GⅡ級らしい対戦成績
対戦成績全体を眺めて見ると、GⅢ級の相手にはおおむね優勢で、GⅠ 馬にはおおむね劣勢。GⅡ級の馬なんだなというのが分かりやすく察せる成績でした。そんな中、アドマイヤキッスに3戦全敗は少し意外でした。牝馬3冠すべてで1番人気の馬とはいえ。敗因を挙げるとするなら3戦全て、この馬には若干短い1600mであること。全体を見ても、中距離馬よりもマイラー相手の方が少しだけ対戦成績が悪いです。少しだけですが。

5.ダークシャドウ

トーセンジョーダンの2着に入った天皇賞(秋)が印象深いダークシャドウ。父ダンスインザダーク譲りの末脚が武器で中距離を中心に活躍しました。世代はローズキングダムエイシンフラッシュと同じ。突出した怪物は不在ながらハイレベルな世代のトップグループのうちの一頭だったと思います。

(1)同世代と年上世代にはかなり優勢
同じ世代で戦績が圧倒的に劣勢なのは、ルーラーシップ(3戦全敗)のみ。それ以外は3勝4敗とエイシンフラッシュに少し負け越しているくらいで他の馬には勝ち越しています。ペルーサトゥザグローリーローズキングダムあたりに全勝なのは意外でしたが、この辺りは全盛期の違いでしょうか?
負けたことのない馬も多く、衰える前までの能力はGⅠ級と言っても差し支えないように思います。

(2)エアソミュールに全敗
年下相手だと負け越している相手が多くなります。晩年は成績を落としていたのでその影響でしょう。その中でもエアソミュールには全敗。エアソミュールは毎日王冠の勝ち馬で、気性と運命の巡りあわせがもう少し良ければGⅠを獲れたであろうレベルの馬ではありますが、気性難ゆえに凡走も多い馬なので、4回走って4回負けているのはちょっと意外でした。

(3)ナカヤマナイトとは好相性
一方でナカヤマナイトには5戦全勝。GⅡ級の実力馬で、格としては大きく劣る馬ではありませんが、GⅠでは惜しいところまでいかないGⅡ級という印象で、GⅠにあと一歩まで迫ったダークシャドウとは思ったより差があるのかも。あとは、ピークを過ぎた後も長く走った馬なので、そこが影響しているのかもしれません。

6.サンカルロ

1200mはちょっと忙しく、1600mは末脚が鈍る。1400mのGⅠが欲しかったサンカルロ。1400mの重賞では阪神カップ6回、阪急杯5回、京王杯SC4回、1200mのGⅠでは高松宮記念5回、スプリンターズS5回、という出走回数を誇ります。辻三蔵さんがよく重い印を付けていた記憶があります。

(1)最多対戦はマジンプロスパーとガルボ
最多対戦は同じ時代の1400m常連、ガルボなのでは?と事前に予想していました。予想通りでした。ちなみに、サンカルロは1200m寄り、ガルボは1600m寄りという距離適性のイメージがあります。
マジンプロスパーは予想していませんでしたが、結果が出たら納得のいく馬。ヴィルシーナに出会い「ヴ」にこだわる前の大魔神佐々木オーナーの持ち馬です。5勝8敗と負け越していたのはちょっと意外だったかもしれません。

(2)マイラーよりスプリンター相手の方が全体的に相性がいい
サンダルフォン
ヘッドライナーなど、対戦成績で圧倒している相手は大体スプリンターです。例外はフラガラッハくらいでしょうか。
一方、格では同等~やや劣るレベルの馬に負け越している場合、その馬はマイル寄りの馬であることが多い印象です。アブソリュートライブコンサートクレバートウショウなど。
この辺りはスプリンター寄りの1400m巧者だったサンカルロの特徴が出ているような気がします。

(3)圧倒されているスプリンターはGⅠ級ばかり
(2)の続きになりますが、対戦成績で圧倒されているスプリンターは、どの馬もGⅠ級の強者ばかりです。カレンチャンキンシャサノキセキがそれに当てはまります。一度も勝てなかったスプリンターたちは全てGⅠ馬ですね。ドリームバレンチノはJBCスプリントなのでダートのGⅠですが、芝GⅠでも2着なので、芝でもGⅠ級。

ということで謎調査でした。予想通りのこと、予想外のこと、それぞれあって興味深い内容でした。記憶のかなたにあった馬の名前を思い出せたのも良かったですね。わりと手間のかかる作業ですが、面白くはあるので、気が向いたらまたやるかもしれません。

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