ゲーム紹介#05 ガンハザード

こういうゲームがやりたい(作りたい)とか急に思い立ってしまった結果、このゲームの操作性で探索型アクションを作ったら(俺は)面白いんじゃないかと思ったので紹介するエントリ。

概要
メーカー:スクウェア/大宮ソフト
ジャンル:アクション(LV・装備概念あり)
プラットフォーム:SFC

・フロントミッション2作目として1996年発売。「フロントミッションシリーズ」と銘打たれてはいるが完全にアナザーというかパラレルというか、ゲーム的にも内容的にも方向性の違う作品であろう。続編は出ていない。リメイク等も無い。
・基本的にアクション部分は開発会社である大宮ソフトの過去作「重装機兵ヴァルケン」(発売はメサイヤ)が下敷きになっている。

全体評価
・10点満点中10点!
・動かしていて楽しい、かつ装備による自由度がある操作性、LVや装備の存在による難易度の柔軟性、ツッコミどころも含めた物語やキャラ立ち、素晴らしい!バランス調整に難はあるが、縛りプレイの自由度があるとも言えよう。

あらすじ
・主人公アルベルトは軍属。国内でアーク大佐によるクーデターが発生、なんやかんやで単身で大統領を護衛し逃がすことになる。
・が、大統領の護衛・亡命に失敗したアルベルトは国を追われ、傭兵として様々な国で仲間や協力者を集めながら打倒アークを目指す…という導入。

映像
・必要十分以上に美しいドット表現だが96年当時のスクウェア社のドット絵技術が世界最高レベルの一角にあったと考えると背景などでFF6やロマサガ3に一歩譲る印象か。しかしメカの表現などはしっかりと描写されており、こだわりを感じる内容。動きもとても良い。
・顔グラフィックに関しては十二分以上に天野絵を再現できている。

サウンド
・植松伸夫氏、光田康典氏、仲野順也氏、濱渦正志氏と当時のスクウェアの豪華メンバーが並ぶ。
・基本的にはオーケストラ楽器系の曲が多いが、テクノ・シンセ系の曲なども場面によって用意されておりバリエーション豊か。

システム
・ヴァンツァーと呼ばれるロボットを駆り敵を倒すのが基本。LVや装備、熟練度などが用意されており、勝てなければ鍛えることでアクションが苦手な人でもクリア出来るバランス。

装備:ヴァンツァー本体
・アルベルトが搭乗できるヴァンツァー本体は4種類が用意されており操作上の性能差はなく、防御力や積載できる装備量などに差がある。後半の機体ほどサイズが大きくなるため当たり判定は多少変わっているかもしれない。
・初期機体の「ハービーG」は操縦席が半オープン仕様なのだが、水中や成層圏でも普通に活動する。

◆装備:メイン武装
・ライフル、ショットガン、レーザー、火炎放射器あたりがメイン武装として用意されている。どれも一長一短…ではなく、圧倒的にショットガンが強い。バランス崩壊レベルで強い。
・武器ごとにリロード方式が異なるのも問題。例えばライフルはアイドリング中に1発ずつ回復する仕様だが、ショットガンは弾切れ後に数秒待つことで満タンまで回復する方式。明らかにショットガンの方が攻撃機会が多いと思われる。

装備:サブ武装
・真上に発砲出来る「アッパーバルカン」、格闘で敵を殴る「ハードナックル」、回復用の「リペアフィールド」、ファンネルのような「ワイヤレスガンポッド」等バリエーションは多岐に渡り、攻略の幅を広げてくれる。

装備:移動用ユニット
・飛行用バーニア。初期のバーニアはジャンプ距離を少々延ばす程度の性能だが、中盤以降は短時間の飛行が可能になり、最終的にはほぼずっと飛行可能になる。
・ダッシュユニット。これも同様にLVの高いものになると航行距離が伸びてゆくのが基本だが、この内LV3のユニットだけは一瞬しかダッシュできない代わりに爆発的な加速力を持っており、個人的にはこれを装備して跳ね回るのが最高に楽しかった。

僚機システム
・ストーリー上で「爆薬をセットする必要がある」とか「粒子レーザー砲をシールドで防ぐ必要がある」などの理由で仲間の僚機を出撃させる場面がある。必要でなくても普段から出撃可能で、2コンでの操作も出来るし成長もする。ただし基本弱いのであんまり使ったことはない。

白兵戦闘
・必要に応じてヴァンツァーを降りて生身で戦うこともある。例えば狭い通路を通ってスイッチを操作する等。ちなみにいつでも降りられる上、ヴァンツァー無しでもゲームは普通に進められる。
当然ながら生身で敵ヴァンツァーと戦うのは厳しいバランスなのだが、生身にもLV・熟練度が用意されており全編生身縛りでクリアするようなプレイヤー・動画なども存在する。
・生身で進めるとセリフが変わる部分などもあり、とても丁寧に作られているなという印象。開発側も生身プレイを想定していた感はある。

ツッコミどころなど
戦争を題材とした作品として
・(基本)一人用アクションゲームである以上仕方ない部分もあるが、リアルな戦争を描写するというよりは無双とかロボットヒーローものっぽい作風である。
・部隊を率いて緻密な戦略で拠点を攻略するというような内容ではなく、基本的にはアルベルト一人のゴリ押しで基地だの戦艦だのを壊滅させる展開の連続。前述のように白兵戦闘が可能なので、生身で基地を壊滅させることも出来る。
・敵ヴァンツァー、特にボス級はロボットアニメのようなフィクション要素が濃いものが多い。どれも基本的に巨大兵器で「分離・ドッキング型」「荷電粒子砲搭載型」「浮遊型」などなど。

・そういった要素がリアルじゃないからダメ、というような評価はあまり見かけず、むしろ半分シュールギャグとして好意的に受け入れているユーザーが多い印象。

キャラクター
・キャラ立ちもなかなかのもの。なんだかんだで主人公アルベルトに関しては特に狙っているわけではないのにゲームジャンルの都合上セリフや描写がシュールになってしまっているという印象が目立つ。特にインパクトの強い人物やセリフ類をいくつか。

アルベルト軍曹
正義感溢れる常識人として描写されている主人公が非常識な戦闘力で次々に敵勢力を蹂躙してゆく様は逆に笑いを誘う。
海上のオイルタンカー上で戦闘するミッションがあるのだが、散々施設を破壊しまくった張本人が「そんなことをすれば海が汚染されるぞ!」と叫ぶシーンはファンの間では迷ゼリフとして有名。
様々なイベントやミッションがあるが、白兵戦で挑むと大抵のシーンはギャグと化す。生身+ジェットパックで巨大飛行戦艦に取り付いて墜落させる様はシュール以外の何者でもない。EDでの「やめろ アニタ!」何故か有名なセリフ。
システムとの兼ね合いの結果天然ボケっぽく見えるという珍しいキャラ。

ジェノス
赤い機体のライバルキャラ。孤高系というかコミュ障気味であまり会話が成り立たない印象。部下からの信奉は厚く、カリスマ性はあるようだ。

オーウェン大統領
「もう我慢できん!」と叫びながらトレーラーでアーク大佐のヴァンツァーに特攻。アンタを無事に逃がすために頑張ってるんだよこっちは!

ビショップ
ジェノス率いるクリムゾンブロウというチーム所属、赤髪で見た目にも性格的にもインパクトは非常に強い。
戦闘狂で感情の起伏が激しい狂人タイプで、迷ゼリフとして特に有名なのは「(撃つまで)10秒待ってやる、10…9…8…ヒャア我慢できねえ!0だ!」まさに外道。

ランドルフ少佐
ロシアっぽい北国の軍人。主人公サイドに協力的で、礼儀正しく物腰の柔らかいとても良い人。ただし完全に悪役顔。どう見ても裏切りそうにしか見えない。

近衛隊長
名前は明かされない。後半で出てくる某組織の主力で、クールなルックスに加え無感情に味方への粛清を行うなど強者感を醸し出す。
また彼の操るヴァンツァーは流体的なフォルムかつ槍のような近接兵器のみを装備しており飛び道具を一切使用しない点も印象的。
プレイするたびこいつと戦う時は礼儀としてパンチのみで戦うようにしているのだが、残念ながら別に強くない。

■まとめ
・アクションゲームとして純粋に面白く、操作感も快適。そしてLVや熟練度によって苦手な層でもクリアできる良好なバランス。UIも良く練られておりストレスが無い。
・ただし左から右に進むだけというマップも多く、単調な印象を受けるミッションは多い。

・リアルな戦争ものとして見ると微妙な設定だが、それを吹き飛ばすくらいの魅力のある作品。

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