受験国語 J 「 ピカ」
終戦記念日でしたから、少し書かせていただきます。戦後75年ですから、みなさんにはなじみのないことかもしれません。しかし、日本は世界で唯一の被爆国です。戦後の復興をのりこえて、強くたくましく生きている方がいることを知ってください。
🧡題名「ピカ」
ピカっと光るものは何でしょうか?題名をみて予想しましょう。
😀本文
「どうして文芸部の部長さんなんかが来るの?学校で話せばいいじゃない。男の人でしょ?部屋のドア、開けとくのよ。」
母の反応にうんざりした。
インターフォンが鳴り玄関のドアをあけると、吉田部長が、かしこまって立っていた。そして母に直立不動のまま、
「吉田です。おじゃまします。」
と礼をした。母は、その姿を見て一瞬驚いて、黙った。そして笑顔で、
「お暑い中、ようこそいらっしゃいました。どうぞ、お上がりください。」
と、中へ手を向けた。
吉田部長は、京子の本棚をつぶさに見てから座ると、
「山下は恵まれてるのう。ワシャのう。おやじとお袋が、ピカ落ちたときに、市内に住んでての。死んでもうたんや。死ぬ前にワシが生まれたんじゃが、こんな体でのう。胎内被曝や。じゃが、夢みたいなもんがあってのう。いつお迎えが来るか知れんが、精一杯生きてみるつもりなんじゃ。」
一時間程で、ダブダブの制服を着た部長を見送ってから、母は、もう何も言わなかった。
😀知識問題を先に解く
直立不動→まっすぐ立って動かないこと
一瞬(いっしゅん)
驚い(おどろい)て
お暑(あつ)い中
本棚(ほんだな)
お袋(ふくろ)→母親のこと
胎内被爆(たいないひばく)→母親のお腹にいる時に被ばくすること
お迎(むか)え→あの世からのお迎え
精一杯(せいいっぱい)
😀出来事→心情が変わる→態度が変わる
男の人でしょ?→母は娘の部屋に男の先輩が来るので心配している。
ウンザリした→やましいことがないのに、母がうるさく心配するから
かしこまって立っていた・直立不動のまま→つつしんで、まっすぐに立って礼をした
その姿を見て一瞬驚いて黙った。~~そして笑顔で中へ手を向けた。→体が小さいのに驚き、まじめな様子から、自分の心配が的はずれだと分かった。
つぶさに見て→京子の部屋の本棚をていねいに見に来たということが分かる。
ピカ落ちたとき・市内に住んで・死んでもうた・こんな体・胎内被曝→被ばくという言葉、また広島弁であることから、ピカとは広島に投下された原子爆弾であることが分かる。
夢みたいなもんがあって、いつお迎えが来るか知れんが、精一杯生きてみるつもりなんじゃ。→どんな悲観的に見える状況でも、あの世からのお迎えが来るまでは、夢の実現に向かって力いっぱい生き抜くという先輩の決意。
ダブダブの制服→部長の体が小さいから
母は、もう何も言わなかった→部長が自分の境遇に負けず、まじめに懸命に生きている人だと分かったので、心配がなくなった。
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