驚異的な成長 フードデリバリー最大手Door Dash IPO
2020年12月9日、米国最大手のフードデリバリー会社であるDoor Dashが待望のIPOを果たし、公開価格$102を86%も上回る価格で取引を終え、時価総額約$59Bil(約6.2兆円)に達しました。
日本では馴染みがないDoordashですが、アメリカではUber Eatsよりも利用されており、コロナ禍で更なる拡大をサービスそんなDoor Dashとはどんな会社なのかまとめてみたいと思います。
1.Door Dashとは?
Door Dashは、飲食店の宅配メニューを簡単に注文できるオンラインフードデリバリーサービスです。日本でオンラインフードデリバリーサービスといえば、Uber Eatsや出前館が有名ですがアメリカではDoor Dashが一番利用されています。
2013年にスタンフォード大学に在学中であった創業者が周辺のパラアルトの飲食店の宅配メニューをデリバリーするサービスをはじめたところからわずか7年近くで時価総額$67Bil(約7兆円)の会社にまで拡大しています。
同社の2020年12月期第3四半期(1-9月)の売上高$1.9bil(前年同期比:+116.4%)、粗利益$944mil(前年同期比:+181.8%)、全米でユーザー数1,800万人、契約レストラン数39万社、Dasherと呼ばれる請負配達員は100万人、2018年1月と比べ2020年10月にはシェア17%から50%まで拡大しています。
2.ビジネスモデル
Door Dashのビジネスモデルは1.食事を注文したい消費者、2.注文を受けるレストラン、3.レストランから注文を届ける配達パートナー、をマッチングするマーケットプレイスです。
食事をしたい消費者が注文した料理代金の一部を手数料として受け取り、その中から配達パートナーに支払っています。
自社で配達人員を雇う余裕のない中小零細の飲食店からすれば、自社で配達員を抱えなくてもDoorDashと契約すれば配達員までも手配してくれるので収益の機会を増やすことができるようになります。
また配達パートナーはDoorDashに登録すれば好きな時間に自分の登録したエリア内のレストランからの配達を請け負うことで報酬を受けることができます。
3.競合環境
そんなアメリカのオンラインフードデリバリー業界の歴史を見てみるとDoorDashが誕生する2013年頃までは、GrubhubやSeamlessのように飲食店のメニューをオンライン上に掲載し、消費者からの注文を飲食店に取り次ぐだけのフードデリバリービジネスが主流であり、後に統合するGrubhubとSeamlessが業界を席巻していました。(2013年GrubhubがSeamlessを買収)
そのためDoorDashのように注文からデリバリーまでを手掛けるサービスが誕生した2013年頃、GrubhubのCEOであったMatt Maloney氏がDoorDashのようなサービスを指して「どこまでいっても採算がとれない非常にばかげたビジネス」と揶揄するほどDoorDashのビジネスモデルには懐疑的な関係者も多かったようです。
"the dumbest business you could ever be in”
出所:Grubhub CEO Matt Maloney氏の発言
しかしその数年後にはGrubhubはDoorDashをはじめとする新興系のフードデリバリーサービスの躍進によってシェアを奪われ始めたため、投資家からの圧力もあり、デリバリー専業の会社を買収する形で注文から配達までを一貫して行う体制を整えますが、2020年12月現在においてはDoorDashなどに後塵を拝しており、欧州大手のJust Eat Takeaway社に$7.8Bilで買収されることが決まっています。(関連ユースはこちら)
ご参考までに世界のオンラインフードデリバリープレイヤーの勢力図です。
アメリカ:Door Dash、Uber Eats、Grubhub
東南アジア:Grab Food
中国本土:美団点評(Meituan Dianping)、アリババ系のEli me
日本:Uber Eats、出前館
4.市場規模
アメリカのオンラインフードデリバリー市場は2020年の推計で$26.5bilあり、内訳としてはRestaurant to Consumer (ドミノピザのように自社宅配サービス)が$15.6bil、Platform to Consumer(Door Dashのようなプラットフォーマー)が$10.9bilです。これはコロナ前の数字であるため、DoorDashの今年度の成長を見てみると大幅に増加していることが推察されます。
またDoorDashの推計ではアメリカのテイクアウト市場規模はおおよそ$302.6bilあるということからもオンラインフードデリバリー市場は成長できる市場です。
5.業績
次に業績を見てみると同社の2020年12月期第3四半期(1-9月)の売上高$1.9bil(前年同期比:+116.4%)、粗利益$944mil(前年同期比:+181.8%)とコロナ禍におけるロックダウンの影響が強かったアメリカで急速な成長を遂げています。
特に2020年12月期第3四半期(7-9月)のわずか3ヶ月だけで$879milと2019年12月期(通期)の売上を超えるなどコロナによっていかに成長したかを物語っています。
また規模の拡大に合わせて粗利益率も高くなり、直近期では53%にまでなっており、資金調達で得た資金も含めて投資拡大は継続し更なる成長が見込まれています。
6.最後に
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