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Zoom(ZM):FY2022 3Q決算|Five9の買収を断念し、高成長から普通成長に。
ワクチン接種が進み、経済再開に伴い、対面での面談の機会も増えたことでその高い成長に陰りが見え始めたZoom
多角化の1手として期待されていたFive9の買収も9月末に断念
今回は2021年11月22日に決算発表があったテレワークに欠かせないWeb会議システムZoom(ズーム)のFY2022 第3四半期(8-10月)を解説していきたいと思います。
また最近Youtubeも始めたのでこちらも合わせてご覧ください!
なおこの記事は2021年11月29日(月)に執筆され、足元の変異株に対する憶測が連日報道されている中で、3.市場の反応が変わる可能性が高い点はご了承ください。
1.FY2022 第3四半期(8-10月)業績ハイライト
ZoomのFY2022年 第3四半期(8-10月)売上高は前年同期比(YoY)+35%の$1,051m(約1,200億円)、営業利益はYoY+51%となる$291m(約330億円)と増収増益、世界でオフィスの再開が進むなかで、前四半期比での減収となる予想が広がっていましたが、市場予想を上回る結果となりました。
但し、売上高成長率は300%を超えていた前年度と比べて大幅に減速しており、ここ2四半期は”普通”の成長率が続いています。
2.決算説明会のハイライト
続いて顧客の獲得状況を見てみましょう。
2022年度 第3四半期(8-10月)における直近12ヶ月の売上高が10万ドル以上の取引先数はYoY94%増加となる2,507社、3カ月前と比べて229社増加。
従業員数が10人超の取引先数はYoY18%増となる51万2100社となり、いずれも伸びは鈍化しています。
一方でNet Dollar Expansion Rate(既存顧客の継続率)を見てみると、14四半期連続で130%を超える高い水準を維持。
Net Dollar Expansion Rate(既存顧客の継続率)は既存顧客の売上高が前年度比べてどれくらい増減しているのかを図る指標であり、解約やアップセル(プランのアップグレートや、オプションサービスの追加利用)を加味して算出されますが、Zoomは顧客企業の従業員数の増加や「Zoom Phone」や「Zoom Rooms」のアップセル等によって既存顧客からの売上高が増加しています。
地域別の売上高でみると北米が前年同期比と比べて30%増加しているのに比べて、その他地域は47%増加
顧客と締結された長期契約で将来的な売上高となる未収収益は前年同期比で51%増加、これから12ヶ月に計上される見込みのある未収収益は$1,635m(約1,800億円)と前年同期比で38%増加しています。
そして2022年第4四半期(11-1月)は、売上高$1,051-1,053m(約1,200億円)、調整後の営業利益は$361-363m(約400億円)となる見通しが示されており、さらなる成長の鈍化が見込まれていますが、市場予想の平均値である$1,020mを上回る見通しとなっています。
3.市場の反応
今回の決算発表を受けて、2022年度第3四半期(8-10月)実績や、第4四半期の見通しがともに市場予想を上回る結果ではあったものの、翌日には15%も株価が下落しました。
同日に来期のFRB議長にパウエル氏の再任が決まったことで、今までの金融政策が維持されるとの見通しから、急速に利上げ観測が高まり、Zoomの決算が悪かったわけではなかったものの、10年債金利が上昇に伴い、Zoomを含むハイパーグロース株が激しく売り込まれる結果となりました。
それに加えて、足元では経済再開に伴い(オミクロン株の感染拡大懸念はあるものの)、伝統株が業績を回復させており、売上高が35%の普通成長企業であるZoomのような”旧”ハイパーグロース株は相対的な魅力に乏しく売られています。
実際にZoomよりも成長率が高いTwilioやOktaといった現役ハイパーグロース株ですら売られている地合いにおいて、”旧”ハイパーグロースの普通成長企業Zoomが選好されるのは難しいと思います。
もっともオミクロン株によって再びコロナ感染症急拡大というシナリオが再燃すれば、長期金利は下がり、再びハイパーグロース株にも目が向き、Zoomにも成長期待から再び買われる局面がくるかもしれませんが・・・
4.最後に
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またこれからもGAFAMをはじめとする米国や中国の高成長テック銘柄を取り上げて記事にしてますので、これを機に是非フォローをお願いしますm(_ _)m