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母の見守り日記〜記憶違い〜

9月三連休の最終日は敬老の日だった。
だから、、と言うわけではないのだが、その日、車で1時間ほどの漁港で開催される朝市で、母の大好きな大赤エビや新鮮な魚をたくさん買ってきたので、一人暮らしの母を招き夕食を共にした。

近隣スーパーの魚介コーナーでは見かけない魚もたくさんあり、
しかも、安い!! 
店員さんに料理を教えてもらって、その日は魚三昧の夕飯になった。
久々の賑やかな食卓を喜んでいた母だったし、少し親孝行した気分の私。

我が家の食卓に並ぶ器は、私たち夫婦が陶芸教室で作った陶器が多い。
その日もそんな器に乗せた料理を見ながら、母がポツリと言った。
『お母さんもね、こないだコップを作ってきたのよ。』

(コップ?)
確かに、姉夫婦に連れて行ってもらい、滋賀県のとある場所で陶芸体験をしてきた話は聞いていたけど、、
その時に作ったのはフクロウの置き物だったはず。
写真も見せてもらったのだが。。。

母に尋ねるとフクロウの置物と一緒にコップも作ったと言う。
なかなか良くできたのよと満面な笑顔。

私が、今度見せてね、と言うと喜んでいた。

後日、母の家で作ったコップを見せてもらった。
手にしてきたのは、私が以前作ってあげたコーヒーカップだった。

トルコブルーの釉薬をかけた口元に少し丸みを持たせたコーヒーカップ。
母に見せたら『とてもいい!』と気に入って、『欲しいわ』というので
プレゼントしたものだった。

『これよ。なかなかいい色でしょ!滋賀の焼き物ってみんなこの色なのかしらね~』と母、コップを手に取り愛でながら言う。 

カップの底には、私の名前の一字を平仮名で掘った印が入っているのだが、
小さいので判読できず、『係の人が何か書いてくれてるみたいね』と、気にしていない。

訂正することはやめて、
『いいコップだね。飲みやすいの?』と聞いてみたら、
『気に入ってるわ』って。

気に入って使ってくれてるなら、まぁ、よかった。
これから先も細々とした記憶違いって出てくるのかしらね。

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