SmartHRのコムデのアートディレクターがイベントロゴをデザインする上でヘヴィメタルしたこと
こんにちは。SmartHRのコミュニケーションデザイングループ(通称コムデ)でアートディレクターをしているhiroponでございます。
普段はサービスデザイン領域として、マーケティングなど様々な施策で必要となる制作物の製作チームでアートディレクターをしています。
具体的には、アイキャッチ画像、ebook、展示会什器、パンフレット、セミナー登壇資料から営業資料まで、タッチポイントによって多岐にわたります。
さらに特徴として、わたしはメタルやハードコアパンクのような激しい音楽が大好きな重度のメタルヘッドです。
かつてはバンドマンとして界隈で活動したり、現在も個人の活動として様々なメタル、ハードコアンドのジャケットのアートワークやロゴの製作、アートディレクションを行っています。作品も以下より見ることができます。
もちろんそんな偏った専門知識はSmartHRの仕事に登場することはまずありません。
ところが今回、とある企画の製作でそのスキルをフル活用して、存分にヘヴィメタルすることができました。
今回はその内容をお伝えしようと思います。
依頼の打診〜そこからの爆速アウトプット
ある日、わたしのSlackに1通のメンションが通知されました。
それは弊社プロダクトデザイングループのVPであるoujiさんからのものでした。
oujiさんはヘヴィメタルなnoteでもおなじみの方です。
スレッドを遡ると、どうやらディベート形式の採用イベントを企画しているようです。
メイヘム(騒乱)を冠したそのイベントは、なにやら荒々しい雰囲気をご所望のようでした。
そこで、わたしのメタルヘッドさを知っていたoujiさんからお声がかかったのです。
(余談ですがわたくしhiroponは社内Slackにて「エクストリームミュージック研究会」という趣味チャンネルを主宰しており、oujiさん含む社内のメタル好きと日々交流しています。)
わたしはお声がかかったその日のうちに、2つのラフを制作しました。
「早いほうがカッコイイ」
SmartHRのバリューを体現するような速度感だったと思います。
まず爆速でイメージをアウトプット・共有することで企画の解像度の向上に良い影響を与えられればと考えていました。
上はデスロゴをベースとしたブラックメタルイメージ、下はオールドイングリッシュ書体(ブラックレター)をベースとした、トラディショナルなブラックメタルをイメージした案です。
30分程度でラフを作成できたのは、私の長年の豊富なメタルロゴ知識とデザイン経験があったことに他なりません。手慣れたものです。
企画の確定〜要件の整理
そのような動きから、採用企画の内容が固まり、正式にロゴの製作を開始します。
タイトルは「デザイナーズメイヘム!」
アクセシビリティスペシャリストとプロダクトデザイナーがお互いの領域や存在意義を懸けて舌戦を繰り広げるというものです。
本制作物に際し、ラフをもとにoujiさんから以下のような要望がありました。
Mayhemを冠するイベントであることと、暴力的な印象を与えたい狙いがあるので、シンメトリーなデスロゴの方のロゴでいきたい。
Nargarothのロゴのように道具のメタファーを入れられたらよりデザイナーイベントらしさも出るのでは。(鎌とかモーニングスターの代わりにタブレットペンとか定規とか…)
その要望に対し、わたしは以下のようにお返事をしました
双方何を言っているんだという感じですが、
そこには、マニア同士の豊富な知識を前提とした信頼がありました。
より良いコミュニケーションのためにロゴの要点を整理
本制作物のラフや要望からわたしが考えた方針は以下になります。
1.ラフ時点では、デスメタル的な荒々しいニュアンスは十分だが、ブラックメタルらしい麗しさが足らない
oujiさんはメタルの中でも特にブラックメタルを愛する方です。
oujiさんのアウトプットにもたびたびブラックメタルらしさが登場して、社内、社外ではおなじみだったりします。
ブラックメタルのロゴは、荒々しさだけでなく、北欧のシンフォニックさを象徴するような線の美しさも特徴に挙げられます。
そのようなブラックメタルらしさをもっと出すことで、ただトゲトゲの過激なだけではなく、「VP of Product Designのoujiさんらしいイベントだ!」というイメージをより強固にしたいと考えました。
2.メタルロゴであれど、文字は読めるようにしたい
メタルバンドのロゴあるあるで「読めない」というのがあります。
見た目の過激さを追求するあまり、識字性の優先度が下がってしまうのです。
今回のイベントはメタルファンに向けてではなく、SmartHRに興味を持ってくださった幅広い方を対象としています。
激しいニュアンスは伝われど、しっかり文字も読める機能もロゴのコミュニケーションとして必須であると考えました。
3.具体的なモチーフが入ること
要望にある通り、デザイナーイベントらしさの表現をモチーフで足すことになります。
メタルロゴは十字架やサタニックなダークなモチーフを組み合わせることが多々あります。
様々なユースケースをあたって、らしさを保ちつつ、イメージができる最適なモチーフを考える必要があります。
デザイン〜そして完成へ
以上の要素を踏まえて、ロゴの清書に入ります。
十分にブラックメタルでありつつ、暴力的なニュアンスが強いものと考える中で、案を2つ作成しました。
A:骨太暴力デスコア
デスメタル色のバランス強め、力強い太い文字のモダンでブルータルなデスコア要素を取り入れた案です。
B:麗しきプリミティブ残虐ブラックメタル
ブラックメタルらしい冷たい残虐さを全面に押し出した案です。
oujiさんとの確認で
「Bの方が文脈的には好みだがAの方が勢いもあり立派なイベントに見える」というフィードバックからAの「骨太暴力デスコア」に決定しました。
後はひたすら細部を描きこみ、バランスを調整していきます。
そして完成したロゴがこちらです。
文字はデスコアテイストでトゲトゲしつつも、書体のシルエットを維持させ、ちゃんと読めるようにコントロールしています。
そのバランスの中で、書体の形状や、装飾がメタルロゴらしさの所以であるシンメトリーになるように調整を行いました。
ペンとベジェ曲線をモチーフとして用いたことでほんの少しのポップ感がありますね。
細部のポイントは、仕上げとして行った、ボロボロのなにかが垂れたようなあしらい処理です。
昔のブラックメタルの。クラストでおどろおどろしいイメージの演出や、このモチーフにも施すことによって、要素が浮かず全体に調和する効果を狙っています。
ロゴの展開〜イベント当日
こうして完成したロゴはイベントの各所に展開されることになります。
存在感がすごいですね。2行にして正方形的にまとめるようにして正解だったと思います。
告知後、Twitterなどで様々な反響がありました。ロゴの製作がなんちゃってメタルではなく、ガチの人がやっているという感想はとても嬉しかったですね。
クリエイティブのクオリティが高いと、運営チーム内や外部にもポジティブなバイブスが生まれるのを感じます。
「なんだこのイベントは...」、「ふざけていると思ったらガチだ...」そんな困惑の声が出てしまうくらいの狂気や怒りを内包するだけでなく、さらにその先のグループの未来、社会への真剣な信念があるイベントです。
その真剣(ガチ)さをロゴのクオリティを通して内外に示すことができたのかもしれません。
イベント当日、プロダクトデザイナー陣営のfumiyaさん、アクセシビリティスペシャリスト陣営のmasuP9さんの間で熱い激論が交わされます。
このイベントの熱闘の模様は、oujiさんが執筆されたイベントレポートでくわしく書かれておりますので是非こちらもご覧ください。
非常にHEAVY METALなイベントでした。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
自分のメタルヘッドとしての経験が思わぬ形でSmartHRの事業活動に活かせたお話でした。
今回は非常に特殊な例ですが、通常の仕事でも常にお客さまや外部のみなさまとSmartHRが接するタッチポイントにおいて、良い体験になるようなコミュニケーションをデザインを通して設計するのが我々コミュニケーショングループの役目です。
さらにわたしはその中で、グラフィック領域を中心に、依頼者が表現したいものや背景を汲み取り、SmartHRという枠組みの中で的確に表現を設計することがミッションであり、わたしなりのヘヴィメタルだと思っています。
わたしたちは仲間を募集しています
みなさんも会社や個人でそれぞれの役割、それぞれのヘヴィメタルで日々戦いを繰り広げていると思います。
SmartHRでは、コミュニケーションデザイン、プロダクトデザイン、その他多岐にわたる業種で、共に戦う仲間を募集しています。
カジュアル面談もありますので、是非お話しましょう。