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【今日のコラム:学生時代の変な奴④】

【今日のコラム:学生時代の変な奴④】

「学生時代の変な奴シリーズ」、いよいよ4弾目に入った。
思えば、学生時代は、ホントに変な奴が多かったなあ。
ま、私も含めてであるが。

このシリーズ、何作まで続くか分からないが、思い出し次第更新してゆこうと思う。
 
今回は大学時代のサークル(軽音楽)の後輩、ノジーくんについて語ろう。
 

■ノジーくん
 
ノジーくんは、確か一つ下の学年で、背丈は小さく、より目で、そうだな、分かりやすく言えば、ちょいとヲタク系な雰囲気を醸し出している、いわゆる、友達少な目の後輩だ。
 
前から見ると、どちらかというと短髪なのであるが、なぜか、彼のアイデンティティーなのか、後ろ髪をちょこんと結んでいた。
そう、彼は彼なりに、アイデンティティーやこだわりが強く、周りに相手にされずとも、自分をさり気なく出して行くタイプであった。
 
こんな奴、音楽に向いているのだろうか?といつも不思議に思っていたが、たまたま、組んでくれたバンドでボーカルを担い、確か、THE BOOMのコピーバンドで、予測をはるかに歌回る歌唱力を披露した。これが、見た目通り、歌が下手くそなのであれば、「変な奴」とは呼びづらいが、そこそこのヴォーカリストであるところが、変な奴度を高めていた。
 
上記、アイデンティティーが高いため(?)、よく私は彼のアパートに誘われたが、色々理由をつけては断っていた。少し気味が悪いからだ。しかし、いつしか、超ヒマな時があり、その時に再度、自宅にお呼ばれしたので、興味本位でノジーくんの部屋へお邪魔することになった。
 
玄関はまあ普通で、わりと小ざっぱりと清潔にしていた。リビングに入り、見てはならないものを見てしまった。私自身、テレビの中でしかみたことがない、ルナシーの河村隆一が来ているロングコートが、カーテンのレーンに掛かっていたのだ。「これ、いつお披露目するのだろう?」と、もちろん言葉に出しては言わなかったが、何か、彼の最終兵器のような逸品に感じたのを今でもよく覚えている。それからは特段普通で、先日のBOOMのコピーライブした際のビデオを見せられたりと、普通に帰ることが出来た。
 
一番印象に残っているのは私が大学3年生に上がったばかりで、彼は2年生に上がったばかりのことだった。 新入生向けのサークル紹介冊子に載せるため、サークル員全員(30名弱かな)の集合写真を、キャンパス内の食堂横のほんの小高い丘というべきか、その頂上で写真をおさめた。まあ、ものの7~8分で終わり、慣習として、そのまま学食の我々のテリトリーへ向かうべく、その小さな丘を駆け足で皆降りていた。その際、ノジーくんは足をもつれさせ、前のめりに大げさにぶっ倒れたのである。もちろん、キャンパス内の、あらゆる生徒の注目のまとになったのは言うまでもない。すごく恥ずかしいハプニングだ。
 
そして、ノジーくんはこともあろうと、私と別の後輩、2人に駆け寄ってきた。恥ずかしいから、仲間がいるんだぞ、というところを見せたかったのであろう。われわれは、その恥ずかしさをシェアされるのが嫌だったので、速足でノジーくんに追いつかれまいとしたが、彼の足は驚くほど速く、我々の懐に潜り込んできた。最悪だ。
そしてノジーくんは言い放った。その言葉は、昨日の出来事のように覚えている。
 
「ぎょえ、呪われた!」と。
 
その表現自体、はしりであったビジュアル系バンドを彷彿させるひと言であった。
ノジーくん、われわれ2人をふくめ、キャンパス内の「恥ずかしい奴」になってしまった。
 
私は無事、留年することなく4年生を終え、地元の北九州に就職した。(大学は熊本県のFラン校であった)。卒業して以来、ノジーくんと会っていない。風のうわさでは、ノジーくんは卒業間際で、大学を辞めたと訊いた。
 
本当に呪われた、アイデンティティーの高い、不思議な男であった。
ということで、変な奴に認定したいと思う。
 
 
 
つづく


 


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