病院の介護職、なにかおかしくないか?
以前の記事でも書いたことがあるが、わたしはいま療養型病院にて介護職をしている。それまで病院では看護師としてしか働いた経験がなかったものだから、介護で働くのは初めてである。
しかし、そこでいろいろな疑問や不満も抱いている。それらを様々な側面から見ていきたい。
まず、組織の編成について。介護職は“看護部”のもとで看護部長の下で働くことになっているが、そもそもそこからおかしい。看護師と介護士は二つの異なるプロフェッショナルではないのだろうか? そうであれば、看護部とはべつに独立した介護部がないのはおかしいだろう。
看護部の下で働くということは、看護師の下でいいように使われるということで、だったら介護職ではなく介護助手として採用すればよかったのでは? わたしの認識では、介護職と看護助手はまったく異なる別の職業です。
次に、業務について。組織の編成からして介護職が看護部の中に組み入れられているので、介護士の仕事についても“ナースの補助、雑用”的な仕事が多分に入っている感じがしている。
それはたとえば、吸引びんの清掃がある。以前働いていた病院では、吸引瓶は使い捨てのディスポーザブルのものを使用することが当たり前だったし、衛生的にもそうすべきだろう。しかし、この病院ではなぜか使いまわしており、その清掃を介護がやらされているのである。患者の吸引はナースがやる、その清掃や組み立ては介護がやる、そんな棲み分けになってるようである。
働いていて感じることは、看護師たちは介護職をどこか“再教育の対象”として見なしているようだ。それは、「自分たちのように看護教育も受けていないし医療の知識や経験がない」と考えているからかもしれない。
申し送りは看護から介護に伝えられるのであって、その逆ではない。ケアのやり方やミスについて、ナースサイドから細かい突っ込みや指摘を受けることもあるようだ。こういった些細なことも両者の立場を象徴しているようだ。
オムツ交換のときなど、介護の人員が足りないときなナースが手伝うこともある。そのとき、どこか遠慮の意識が働いてしまうのもよくないと思う。看護と介護は連携すべきだが、両者の間にはこのように隔たりがある。
最後に、人間の特徴について。一般に病院の看護師は性格がきつい女性が多いのだが、療養型など慢性期の病院はそうでもない。穏やかな人も多いし、中年・年配の女性が多い。
しかしこれは看護のはなしで、介護はまったく違うようである。病院の介護職(とくに女性は)は性格がきついというか、ガサツでサバサバした女が多いという印象を受ける。
本来ケアの仕事って、もっと繊細で気配りのできる人間が求められているはずだ。ところが、人手不足のあおりもあってケアの原点からどんどん離れていき、現場ではますますスピードや効率が優先されるようになっている。その結果、まともな介護職が定着せず、このような粗野なタイプの人間ばかりが幅を利かせるようになっているのではないか?
また、ほかの老人ホームとかとは違って挨拶も励行されていないのも気になる。なにかで読んだ覚えがあるが、「挨拶が励行される施設のほうが人間関係も良好らしい」からだ。いまの職場では、出勤してから誰とも口を利かないまま勤務に入ることさえある。実際、働いていてどこか険悪な雰囲気さえ漂っている。
このように、夏から働いてきて、自分なりに気づいたこと感じたことをざっと記してみた。正直不愉快なことも多く、契約を更新したことを後悔したこともあった。
しかし病院で介護職として働くのは初めての経験であり、ひとつの学びにはなっているのだろう。これを反面教師として、つぎに活かしていきたいところだね。また、どんな職場であれ、そこを去るときには一抹の寂しさみたいな感情を感じることも事実である。