ひとり者・独身者の住処(すみか)について考える。

ネット上で見かける言説に、「男が40すぎて独身だと、気が狂う」みたいな主張を見かけることがある。
 これは極論だと思うけど、たしかに一人暮らしによる孤独感は健康に悪いというのは日々感じている。精神衛生上、決してよくはないと思う。また、夜に部屋で一人で寝ることは睡眠を悪化させる、という主張もある。

エジプト人は、都市に住む人も田舎に住む人も、世界の大半で見られるある方法で眠る。ワースマンはそれを「合同睡眠」と呼ぶ。通常、大家族の全員が広い部屋で一緒に眠り、一人で眠る人はほとんどいない。…年齢性別を問わず一人で寝ている人もいて、そうした人は不眠症やその他のメンタルの不調を抱えていた。
 「GO WILD 野生の体を取り戻せ」ジョン・レイティ他

そういえば昔、自衛隊にいて集団生活を送っていたことがあるのだが、あの当時は不眠とは無縁で、夜はぐっすり眠れたことを憶えている。
 大昔の狩猟採集生活の時代から、人間は社会的な動物なので、誰かと一緒にいることが安心感をもたらし、そのおかげで周囲の危険な動物から身を守ることができた、ということなのかもしれない。

それでは、じゃぁ一人暮らしを避けるためには結婚するのが万人にとって正解かというと、そんなに単純な話じゃない。それはそれでまた別の問題があろうし、第一いまのご時世には自分が望んだからといって結婚できるわけではなくなってきている。

一人暮らしには問題があり、そして一人で暮らす人はおそらくこれからも増える一方だ。それならば、独身者の居住環境について考えなおす必要がある。いったいどんな環境ならば、一人でも幸せに暮らせるというのだろうか?
 その一つの答えは、住居とコミュニティが一体となった居住環境を作り出す必要があるのではないか
。すでに述べたように、以前にわたしは自衛官だったことがあり、その時は営内班とよばれる集団生活を基本的には送っていた。自衛隊では入隊時の教育隊はもちろん、各地の部隊に配属されたあとも他の隊員との相部屋で共同生活を送ることになる。それはまあ窮屈ではあるけど、一方でメリットもあったのかなと今さらのように感じている。自衛官はこのような暮らしを、結婚などで営外居住になるまで、あるいは幹部の階級になるまで続けることになる。
 そうした軍隊みたいな生活をいい年した社会人が送るわけにはさすがにいかないけど、そういうシェアハウス的な居住環境こそが、孤独と孤立を防ぐためには必要なんじゃないのか
 個室は必要だとしても、トイレや浴場は共用、また食堂がついていてバランスのとれた食事が取れる、そして他の住人とも相互に交流できるスペースや空間もある…そんな住環境が望ましいのかもしれない。

今世紀は、全世界で孤独に苦しむ人が増加する、という研究がある。日本は孤独先進国だと思っているけど、国を挙げて実態を調査して、対策を講じるべきではないか。
 そうすることが、国民の健康を改善して、医療費削減にもつながる可能性があるし、個人だけでなく国家にとってもメリットのあることだと思う。