自衛隊芸人やす子が、即応予備自衛官だった件
テレビでよく見かける芸人やす子。陸上自衛隊を除隊後も、予備役の一種である即応予備自衛官をやってるらしいことは知っていた。
WAC(陸自の女性隊員)だから、重迫撃砲中隊とか本部管理中隊かなとかってに思っていたが、どうやら需品科(後方支援部隊の一種)の所属らしい。
この即応予備自衛官(略して即自)は、おれも去年の初めの頃までやっていたことがある。ふだんは会社勤めなどをして働いてる人が、年間30日も訓練のために駐屯地に出頭しなければならない。
予備自衛官が年間5日間だけなのに対して、かなり敷居が高い。その代わりに、即自は年間50万〜60万円の収入になる。もちろん訓練参加中は、食事、宿泊費はタダとなる。
会社員が有給をぜんぶ使ったとしても、年間30日も訓練に参加することは困難である。だから必然的に、自営業者やフリーター、無職の人が多いのではないかと思う。
また、企業給付金制度を利用するという手もある。これは、隊員個人に給料が支払われるのとは別に、雇用企業に対しても防衛省から給付金が支給されるのである。その説明のために、防衛省地方協力本部から、自分が働いてる職場のほうに説明に来てもらったこともあった。
当時勤めていた特養には、「即応予備自衛官の訓練に参加するために、有給休暇とはべつに特別休暇をとらせてほしい。その代わりに、そちらには国から企業給付金が支払われるはずですよ」ということを、法人本部のほうに説明して了解をとった憶えがある。
このように、即応予備自衛官をやるためだけに、こっちとしてはそれだけのことをしなければならない面倒くささはあった。そうまでして参加したけど、結局コロナがはじまって訓練のほとんどは中止になってしまったから笑えない。
この制度の一番の問題は、国民の間に即応予備自衛官がほとんど知られていないし、あまり理解されていないことでしょう。このため、勤務先や同僚などが予備自衛官制度に対して無理解であることが、隊員の訓練参加の足かせになってる面はあると思う。
次に、訓練参加の融通がきかないことも挙げられる。部隊のほうは、年間30日というのにやたらこだわる。それ未満でもそれ以上でもダメ。訓練一回あたり、2日〜4日の予定で参加するわけだけれども、それで合計30日間でなければならないようである。もっと融通をきかせてもいいんじゃないかと思う。
上記のような問題点は感じていたが、制度としては存続してもいいんじゃないかと思う。ただおれは、幹部自衛官という立場が嫌で自衛隊をやめたのに、予備自衛官でも幹部をやらなければならないことにウンザリしてるところはあった。
予備自衛官や即応予備自衛官については階級を取っ払うか、あるいはもっと階級の指定についてもっと柔軟に運用してはどうかと思うところはある。おれの場合は、階級を降格してもらいたいと思っていたから。
また、訓練の詳細については、今年の2月に「自衛隊、予備自衛官/即応予備自衛官とはなにか」という記事を書いているので、そちらもぜひ参考にしてもらいたいと思う。