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東京カウボーイ・井浦新 舞台挨拶 in福山シネマモード


2024年7月12日 「東京カウボーイ」14:30の回(上映最終日)
上映後、主演の井浦新さんの舞台挨拶とサイン会がありました。


■東京カウボーイについて
「東京カウボーイ」(原題:TOKYO COWBOY)は、マーク・マリオット監督作品で、井浦新さんが初めて出演(主演)したアメリカ映画。
脚本はNetflix「忍びの家House of Ninjas」シリーズで脚本、監督を務めたデイヴ・ボイルさんと主人公の恋人役も務めた藤谷文子さんの共著で、キャストには国際的に評価の高い俳優、國村準さんも名を連ねています。

【あらすじ】(公式フライヤーより抜粋)
アメリカ・モンタナ州にある経営不振の牧場を立て直し利益化すること。それを最重要案件として意気込み、渡米した商社マンのヒデキは、いつものスーツ姿で壮大な計画をプレゼンするが、東京の常識は通じず、すぐに行き詰ってしまう。トラブル続きの最中、郷に入れば郷に従えとスーツを脱ぎ、カウボーイ姿に着替え、自然や動物とともに生きる人々と交流するうち、自身の効率一辺倒の働き方を見つめ直していく。

<東京カウボーイの感想>
井浦さん演じるヒデキは、大手の商社に勤めるイマドキの堅物仕事人間で、恋人で上司のケイコ(藤谷文子)と比べると無能さが目につく。でもだからこそ、このアメリカ出張があるまでは、完全に独り立ちしたことがなかったのかもしれない。だから後ろ盾(日本にいるケイコ、同行した和牛専門家の和田さん(國村準)や車)を失って、40前(年齢設定はそうらしい)にして初めて自分の頭で考えて、挫折してモンタナの人々をわかろうとした。そんな不器用なヒデキ(どこか「おっさんずラブ‐リターンズ‐」の和泉を思い出させる)が本当に愛おしく、応援したくなる映画でした。
ドラマや映画で多い井浦さんの役といえば、例えば「最愛」の加瀬のような全知全能タイプや、「アンナチュラル」の中堂のような人を寄せ付けない変わり者の役が多いのですが、今回のヒデキは「いい歳をして、そんなこともわかんないの?」と周りに思わせるような世間知らずで。

でもだからこそ、だんだんモンタナのカウボーイ色に染まっていく彼を見るのが嬉しかったです。そしてモンタナの人々はおおらかで優しく、ちょっと厳しい。そんなTHIS IS AMERICAな牧場も、昔流だけではやっていけない時代。そこを本来は買収するために来たヒデキだけど、だからこそ、成功のカギは“温故知新”。ハビエルのキヌアのように、今までのことをよく理解した上で新しいものにも目を向けないと生き残れないのだなあ。と考えさせられる映画でした。

<いつもの席で登場を待つ>

席近くの扉

私は、地元劇場「福山シネマモード」で舞台挨拶のチケットを取る時は、必ず(取れたら)控室から舞台に入る入口扉前の席を取ります。映画や舞台上はちょっと見えにくいのですが、登場前に耳を澄ませると、登壇者さんの息遣いや声がかすかに聞こえたりするからです。そして何より、最初と最後の登壇者を見ることができる!そしてごくごくまれに、退場前どさくさ紛れにちょっと握手とかしてもらえたりする(笑)

今回の井浦さんもその扉から登場されました。(今回は退場がなかったから最初だけでしたが)颯爽と登場された井浦さんは、黒髪短髪(バックはかなり刈り上げていた)に黒縁眼鏡。ダークブラウンの七分袖シャツと白い緩めのパンツに、黒地に白のラインが入ったスニーカーを履かれたスポーティーなスタイルでした。

登壇者にもよりますが、基本シネマモードの舞台挨拶は、スタッフが司会進行し、質問も司会者だけが行うスタイルなのですが、井浦さんは「みなさんの声を直接聞きたい」とおっしゃって、必ず自らがマイクを持ち、ティーチイン方式を取られます(少なくとも私が参加した舞台挨拶はそうでした)そういうところが潔く、男気が感じられて大好きなのですが、今回も緊張でしどろもどろになってしまった質問者に「いいですよ、ゆっくり話してくださいね」と言って下さったり、「二階の人の声も聞きたいなあ」と気を配って下さったり。実はかなり進行が上手で気配り上手。そんなティーチインの様子、簡単にまとめてみました


■「東京カウボーイ」ティーチイン
<登場するなり…>
以前、舞台挨拶の時に「役を選ぶときは流れを大事にする」つまり同時期や前後に全く違う役柄は極力入れないとおっしゃっていた井浦さん。

今回はお話される口調も少し陽気な感じで、明るい役柄を演じられたあとなのかな?(それとも進行中かな?)と思わせる感じで、出てくるなり舞台から客席を見渡して「ああ、やっぱりいい劇場だなあ!」とおっしゃったので、ちょっと嬉しくなりながら「あみ子以来だっけ?」と思っていたら、自ら「こちらあみ子の舞台挨拶以来2年ぶりです」と言ってくださいました。

<「東京カウボーイ」について>
「東京カウボーイ」の撮影は2022年に行われ、モンタナで10日間、日本では5日間行われたそうです。井浦さんにとっては初めてのアメリカ映画だったそうですが、日本でもアメリカでも撮影形態は変わらず、やりやすくて心地よかったということでした。

と、いうのも監督のマーク・マリオット氏は映画監督になる前に広島県で宣教師をされていたそうで、山田洋次監督に自ら弟子入りを志願し、「男はつらいよ 寅次郎心の旅路」の撮影現場にも参加経験があるという、かなりの日本通。日本の文化や日本を題材とした映画を撮りたいと、映画界に入った方だそうです。脚本は「忍びの家House of Ninjas」シリーズで人気のデイヴ・ボイル氏と国際的に活躍している女優の藤谷文子さん(スティーブン・セガールの娘さん)の共著。アメリカ、日本、メキシコの文化の違いを精査した映画作りを心掛けたということでした。

そんな配慮があるからこそ、そんな文化の違いがありながらも、人と人の関わり合いが違和感なく見られ、心にささる映画になっているのではないかと思います。

<質問者と井浦さんのトークセッション>
Q:好きなシーンは?
井浦:(ハピエルの姪の)誕生日のシーンです。ハッピーな雰囲気で、モンタナの撮影の中でも心に残りました

Q:モンタナの撮影で印象に残ったのは?
井浦:どこまでも続くロッキー山脈とステップ(半乾燥気候下の樹木のない草原地帯=プレーリー)日本人(の僕)には規格外の風景でした。
 北海道にも広大な大地の風景がありますが、それを超える大陸の風景。360度大地という印象でした。

Q:モンタナの現場と日本の現場の違いは?
井浦:違いはプロ意識の出し方。日本の現場ではいい演技だったことなどを全部終わった後で(例えば打ち上げの席などで)伝えたりすることが多いけど、アメリカでは、その場ですぐ反応が返ってくる。それがいいなと思ったので、それ以来ずっと、日本の現場でもポジティブなことなら、思ったことをすぐ伝えるようにしています。

Q:アメリカンジョーク的なセリフが結構出てきたが、理解できましたか?
井浦:ブリガムテイラーというプロデューサーが、アメリカンジョークを連発していて、時にはオヤジギャグにも似たようなことを言っていたけど、わからないことも多くてそのたびに藤谷(文子)さんに聞いて説明してもらいました。

Q:演技の時に意識していることは?
井浦:自分の得意なもの、テクニックを磨きたいと思う反面、うまくなりたくないこともあります。(自然な演技を大切にしたい?)その両方で初めて自分らしくいれると思います。あと、心を大事にしています。その人間(役柄)の内側を演じるのが大事。
  心のままに演じていれば、役の見え方が変わってきたりもするので、内側の心をそのまま重視しています。それはアメリカでも通用する演じ方だと思いました。


<フォトセッション>
今回の舞台挨拶では最後にフォトセッションの時間が設けられ、その時間だけ写真撮影可だったのですが、井浦さん曰く「写真を撮ったら必ずお友達やSNSで見せて、みなさんに今日のことを伝えてくださいね!」ということでした。
フォトセッションの際はさらにテンションが上がって、パネルを持ちあげておどけたり、来週来館される毎熊克哉さんのことにも触れ、「藤原季節君が主演して、福山出身の毎熊克哉君たちが作った映画、東京ランドマークもみなさん見てください」とおっしゃったり、自由度が増していた井浦さん。「東京カウボーイの方が面白いけど!」と、冗談めかしてはい
ましたが、後輩を応援する気持ちが溢れたお言葉に井浦さんの最大級の優しさを感じて、私は嬉しくなりました。

■最後はサイン会
この日(2024年7月12日)に、井浦さんはシネマモードの他にも広島市のサロンシネマ、尾道市のシネマ尾道、岡山市のシネマクレールという近隣ミニシアター4館で舞台挨拶をされ、かなりの強行軍。だから最後にサイン会が予定されていても、時間的に無理かな~と思っていたのですが、パンフレット購入者先着100名限定ではありますが、無事サイン会も開催され、当然私も参加しました。

「次の予定がありますので!」「新幹線の時間がありますのでサインをもらう方はお名前とか言わず、手短に!!」と、スタッフさんの注意喚起が飛ぶ中、私は井浦さんにサインを書いてもらっている間に相槌など期待せず「インスタ見ていました!今年見た映画で一番よかったです!!」と、手短に声をかけました(笑)

するとなんと、井浦さん「ありがとうございます!嬉しいです」と、言って下さり、(多分)会話成立!

今回、井浦さんの舞台挨拶は4回目の参加だったけど、今年も良い思い出ができました。そしてまた機会があったらぜひ参加しようと心に誓った私なのでした。


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